チートアイテムだけどチートじゃない。
目を覚ますとそこは白く漠然とした空間に俺一人だけいた。
俺はこんな所に来た覚えは無いし、ちゃんと自分の部屋で寝たはずだ。
そうだ、これは夢なんだ。
それにしても俺ってなんで真っ白な何もない空間にいる夢なんて見てるんだろう。
もう少し夢なんだからあったっていいでしょ。
そんなことを俺が思っていると、足音が聞こえてきた。
人だろうか。
人であるならば俺の夢は少しは楽しくなるであろう。
軈て足音は大きくなっていき、人影が見えてきた。
ズシッズシッと重い音が響き渡る。
そこに現れたのは、小太りの中年男性であった。
もうこれわけわかんねぇよ…
「君かね、今日死んだっていう子は。」
今なんて?
「私は死んだ人間の魂が行くべき場所を案内するおじさんなんだ。」
俺が…死んだ?
おじさんはふぃー、と息を吐き、タオルで汗を拭いた。
「あの…おじさん。」
「ん?あぁ…私の名前はたけしだ。」
「えーっと…たけしさん?あの…俺が死んだとか言ってたけど…俺死んだ自覚ないんだけど。」
そう俺が聞くとおじさ…たけしは困った顔を浮かべ、直ぐに明るい顔に直った。
「そうだな、まずはここから話そう。君は元々貧弱な体だった。それなのに君はブラック企業につき、過労死した。そして今に至るのだ。」
は?俺学生なんだけど。
「あのーたけしさん…人間違いしてません?俺まだ働いてないんだけど…学生なんだけど。」
「えーいやー面倒臭いし君死んだってことでいいよ。」
たけしは頭を掻きながら少し申し訳なさそうに言う。
少しでも申し訳ない気持ちあるんだったら俺を生かしてよ。
「まぁそのー過労死する運命の人が死ななかったんだし、君が助けたんだし…」
「いやいやいや!!俺だって生きたいよ!人の命を簡単に無くすな!俺にだって友達…はいないけど家族…そう!家族が悲しむんだよ!」
「そうか…そこまで言うなら仕方ない。転生した世界はハーレムとか出来る夢の国だったのにな。」
と、たけしはしょぼんと落ち込んでしまった。
ん?ハーレム?
「たけし様、俺…死んでもいいですよ?」
そういうとたけしの顔はパッと明るくなり、喜んで了承してくれた。
「いやぁ…俺死ぬのかぁ…!!」
ハーレムというワードを聞いただけで興奮している俺は、せめて童貞位は卒業したかった。という後悔と異世界に行けるという歓喜が混濁していた。
たけしが何やらよく分からない詠唱を始め、軈て俺の意識は飛んだ。
普通ならば、転生後は生まれたばかりの姿らしいのだが、ハーレムするまでに時間があり過ぎるので、16才で転生するように懇願したらOKだった。
目を覚ますと、そこは、山の頂上だった。
転生は成功したのだろうか?
俺が歩きだそうとした瞬間、足が何かにぶつかる。
「いってーな…なんだ?」
俺が足にぶつかった物を見てみると、そこには、盾と思われる物が落ちていた。
「なんか地味に凝ってるな…このデザイン…って盾?…もしかしてこの世界って戦闘系な感じなのかな!俺がアニメやラノベで憧れたあの戦闘系な感じなのか!?」
1人で興奮しながら叫んでいると、何やら物音がしる。
ガサガサと草木が擦れる音、動物か何かだろうか。
やめてくれよ…俺は小さい頃から犬や猫でさえ泣きながら逃げるような子だったんだぞ?
「そこの君」
不意に声が掛けられたので、驚いて転けてしまったがさっきの物音がこの人で動物じゃないならまだよかった。
「なんでしょう?」
声をかけてきたのは、1人の女性だった。ここは敢えて爽やかに受け答える。
「その盾取りに来たんでしょ?」
まぁそう見えてもおかしくはない、なんせ手に持ってるからな。
「そうだよ。」
何言ってんの俺。
「やっぱり…『 伝説の盾誰が一番最初に手にすることが出来るか55kmマラソン』で絶対勝てる自信あったのに…」
そういい、彼女は涙を浮かべていた。
俺女の子泣かせちゃったよ…やばい。
「君…泣かないで、お兄さんはやっぱりこの盾いらないから君にあげるね!」
やっぱりこの子はこのマラソン大会の為に努力してきたと思うし、泣いているし、この盾は貰うことはできない。
「いや、盾はいらない。1位になりたかっただけだし、優勝したらその盾売ろうとしてたし。」
あっそうなんですね。じゃあいただきます
【桜田海斗は伝説の盾を手に入れた!】
この世界はモンスター等がうようよいて、それを倒して経験値を得て、更に強いモンスターを倒して経験値を得て、のローテーションらしい、そして、鑑定士に見てもらったところ、この盾は本物らしく、装備したものはダメージを受けても死なないという俗に言うチートアイテムらしい。痛みは感じるらしいから痛みで病む可能性もあるらしいが。
なので、俺はそこら辺にいる雑魚モンスターを倒してみようと思う。
【ぷるぷる Lv1 HP3 EXP2】
コマンドにはそう表示されていた。
見るからに序盤に出てきそうな雑魚感。
青く透け通ってる体に目が1つだけのモンスター。
「うおおおお!!くらえ!!」
俺は本気で殴りかかったが、表示されていたダメージ量は0
本気で0かよ、と落ち込んでいる俺の隙をつき、ぷるぷるが噛み付いてきた。
掴んではなそうとしてもぷるぷるしていてうまく掴めない。流石ぷるぷる。
いや、感心してる場合じゃない。痛い。
かれこれ2時間。一向にぷるぷるは噛み付くのをやめない。
俺は痛さで、精神がいかれそうだった。
そこにだった。
「ファイア!!」
声がした途端、俺の頭の痛みは無くなり、ペチャという落下音が聞こえた。
「大丈夫ですか?…怪我ないですか?」
どうやらこの黒いローブを着た少女はさっき助けてくれた子みたいだ。
「ありがとう!!名前はなんて言うんだ?」
「私はユキっていいます…そうだ!君弱いみたいだし…私一緒に旅しようか?」
弱いとか言うのやめて、地味に傷つくんだが。
「是非、お願いします。」
【ユキが仲間になった!】
時間の都合により、一回の投稿は2000〜3000文字程度となります。申し訳ないです。
また、小説を投稿するということが初めてなので、変な部分はあると思いますが、ご了承ください。




