11話
「そうね……たしかに、早くて短くて小さいっていうのが本音だけれど……私たちのあいだには愛があるもの。気にならないわ」
「本当に?」
「……愛と文明の利器があるから、気にならないわ。私は……幸せよ」
姉妹は感動の再会を果たした。
青年は蘇生をかけたがる者たちに何度か殺されたものの無事で、村は総意としてサキュバスの受け入れを決定した。
「ところで、姉妹でえっちなメイドさんになったりする展開は……?」
青年の『住むところがないならウチに来たらいい』という申し出を、ロリサキュバスは断った。
なにせ、彼女にはもう居場所があるのだ。
優しいママに任された――今、独立してはいるが――お店がある。
この村できっと、末永く幸せに暮らせることだろう。
「そう。あなたには、『ママ』ができたのね」
姉は優しく微笑んでいた。
毎日精を注がれているお陰だろう、その顔にはかつてあった幽鬼のような雰囲気はなく、『鶏ガラ』と揶揄された体にもツヤやハリがでてきて、スレンダーならではの魅力を保っていた。
これからは『ロングスカートwith上半身ほぼ全裸ヘッドドレスとカフスのみ装備』という青年の性癖全開の服装で街を出歩くこともできるだろう。
そうしてヒトの街を歩く彼女に、かつての卑屈な雰囲気はもうないはずだ。
愛を知ったから。
幸せだとハッキリ言った姉には、かつて、自分と過ごしていたころの追い詰められた雰囲気はなく、青年は短小なくせにうまくやっているんだなとロリサキュバスは思った。
「ところでだいぶこの街で過ごしたようだけれど、そのあいだ、精は大丈夫だったの?」
姉が問う。
ロリサキュバスは笑顔で答える。
「うん。だって――私には、優しいママの他に、パパもたくさんいるから」
「そっか」
殺さない範囲での吸精も、不可能ではないのだ。
共存する意思さえあればサキュバスもヒトもともに生きていける。
いつか、すべての勇者が勇者パーティーを追い出され、戦争が終わった日――
この小さな百万人の村が、『戦後の人魔共存のモデルケース』となるかもしれない。
……今はただ、静かな希望と、あたたかい未来への期待を胸に。
こうしてすれ違いから始まった愛と憎悪の復讐劇は幕を閉じたのだった。




