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蹂躙命運  作者: 琥月銀箭
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第一章 痛感忘却 〜冬に咲き誇る向日葵〜 08

08


 ◇◇◇


 式礼を手に、対峙する巫の女と包帯巻きの魔術士。共々、お互いを敵視し合い、一色触発の状況にある。

 私は、円城にさっさと自宅へと向かわせた。どうせ、ここにいたって、円城にとっては心の枷となるだろう。思うに、円城のことだ。どうせ、琥凛さんを救いたいという馬鹿馬鹿しくも輝かしい想いで溢れてるに違いない。故に、この場に留めておくことは、円城にとって苦なのだ。万が一の場合を備えて、衛樹もつかせてあるし、心配はいらないだろう。

「いいのか? お前は行かなくて。俺と対峙したって、何にも出ないぜ? 俺には時間がないんだ。無意味な戦いをしようとしてるんだぜ」

 包帯巻きの魔術士は笑って、私に言い放った。私は「えぇ、別に構わないわ。私もさっさと円城達と合流したいのは山々なんだけどね、あんたとの蟠りはまだ取れてないのよ」と、敵視する意思を強く見せ付けた。

 負けず嫌いな私にとって、この者には負けたくない想いがあった。捨てきれぬ、私だって、馬鹿馬鹿しい愚か者だけど、それでも円城の愚直さには負けない自信があった。

「今度こそ、あんたを私の足許に平伏してくれるわ」

「おぉ、恐ろしい。だったら、俺だって望むところだ。その想い、引き裂いてでも、お前を再起不能にでもしてあげようかね」

 式神に念を込める。十二時辰でいうと、また豚を召喚し兼ねない。だから、この場合は避けることとして、なら私が今回呼び出す式神。加古ちゃんから貸してもらった金狐と銀狐を使役する。

(はら)(たま)(きよ)(たま)ふことを (あま)(かみ)(くに)(かみ) 八百万(やほよろづ)(かみ)たち (とも)()こし()せと(まを)す」

 一挙に禊を展開する。金狐と銀狐を使役するのに、この場の浄化が必要だった。血に塗り固められたこの土地の雰囲気は、金狐と銀狐を穢しかねない。荼枳尼(だにき)天の化身とされる為にも、結構デリケートな妖狐なのだ。

 包帯巻きの魔術士が笑みを浮かべた。「何を始めるのやらと思ったが、禊か」と、嘲笑った。私も嘲笑い返し、禊による浄化を済ませた。

 妖狐が拠り所の式礼を頭上に投げた。ひらひらと、和紙は宙を弄ぶと、忽ち燃えた。金狐は金色の炎から。銀狐は銀色の炎から。各々姿を現した。人一人を軽く背中に乗せてしまう程に大きい金狐と銀狐は、敵対する包帯巻きの魔術士を睨んでいた。喉を唸らせ、敵を威嚇する。ただ、包帯巻きの魔術士は臆することもなかった。

「二つの式神を使役したとて、俺の大蛇に勝てると思っているのか?」

 それは一瞬のことだ。何の詠唱もせずに、包帯巻きの魔術士は大蛇を呼び出すと、手慣れた手つきで大蛇の背中に乗った。

 大蛇と金狐銀狐が睨みあう。ただ、それも一瞬のこと。先手を打ったのは大蛇だ。大きな巨体をくねらせながら、金狐と銀狐に襲い掛かる。だが、妖狐ニ匹とて、そう簡単にやられる式神ではない。何せ、四神家の次女である加古さんの式神である。元々、四神家自体の力は強く、故に式神の強さも他を劣らぬ強さを持っていた。おまけに加古さんは、動物に愛情は人一倍込める人であった。こないだの、鶏と戯れる光景だって、あれも一種の愛情の込めである。実のところ、四神家で飼っている家畜は、皆加古さんに懐いている。あの子は、素質的に動物に愛される人物なのだ。

 その加古さんの愛情を一心に注がれたニ匹の妖狐は、華麗な足さばきを見せながら、宙を舞う。

 目標を見失った大蛇は、地面を己の牙で穴を穿いた。

 次なる一手に転ずるには、少々時間がかかる。そこを、ニ匹の妖狐は好機と見てはすぐさま攻守を逆転させる。宙に浮いた体を、大蛇目がけて落としていく。

「っち、させるか!」

 そこを包帯巻きの魔術士が、防御魔術陣を作っては、ニ匹の妖狐の攻撃を凌いだ。だが、その防御の爪跡が残った。

「な、なんちゅう呪力だ……」

 魔術陣がそう簡単に傷つくことはない。簡単に傷ついてしまうのなら、防御としての意味を果たさない。こうして、辛うじて身を守ることは出来たものの、爪跡を残す程の攻撃をしたニ匹の妖狐に、包帯巻きの魔術士は驚愕の声をあげた。

 隙あり、の如く、私も戦闘に参加する。式礼を手に、それを大蛇に向かって投げた。投げた式礼は、一時的に弱体化を試みる呪術のこもった式礼。しかし、それは呆気なく、大蛇自身によって打破されることとなった。式礼を喰われた。幾ら弱体化させるとはいえども、効果が発揮できる状況下ではないと意味を果たさない。あれは対象者の皮膚につくことで、効果を発揮出来るのだが、喰われたとなると、どうしようもない。

 ギロリ、とこちらを向く大蛇。一瞬にして、その視線に射抜かれた。足が竦む。一歩も動けそうにない。焦燥する私に、大蛇はまるで嘲笑っているかの如く、口から舌を伸ばして近づいてくる。

 その光景を、金狐が危機と察し、すぐさま私と大蛇の間に割って入ってきた。そして、体から糸が切れたかの如く、自由が効いた。

 なんなのあれ……、見られただけで足が竦むなんて。

 まるで、視線によって殺されているような気分だった。推測するに、あの大蛇の双眸には、何か仕込まれているに違いない。あの目が危険と察するに、そう簡単には視線を合わせてはいけない。あれは、文字通り、目力が強過ぎる。故に足が竦んだのだろう。

「っち、そのまま視線に殺されればいいものを。この狐は。邪魔だ! ニ匹もいると、注意が削がれる。お前はこの金の狐を殺せ。俺は銀のをやる」

 返事をするかの如く、大蛇が体をくねらせながら、金狐に近寄っていく。金狐とて、返り討ちにする心構えがあった。次なる一手の体制になる。

 包帯巻きの魔術士は、大蛇の背中から降りると、真っ先に私と対峙した。

「まったく、どこからこんな強力な使い魔を作れてきたのかね」

「あんたを討つべく、ちょっとお借りしてきただけよ」

「っけ、俺を討つべく為か。他にはいないのか?」

 別に、こんな包帯巻きの魔術士と対峙したって、意味はない。本当だったら、円城達と合流して、この者は程ほどにしておいて、自宅へと向かう必要があった。何より、元凶があそこにはいるのだ。私の式神が見た光景から察した事実。ここで時間を割くわけにはいかない。

「あんたには負けたくないのよ。私の性って、負けず嫌いなもんで」

「そうか。なら合点がいく。だが、面倒な相手だな。だが、面白そうだ」

 ニヤリと笑っては、包帯巻きの魔術士は魔術の詠唱を行う。私は、眉を顰めて構えた。銀狐は咄嗟に駆けだす。詠唱を止める為に、己の牙を持って立ち向かって行った。

 牙が包帯巻きの魔術士にかかる刹那、銀狐は突き飛ばされていた。肉眼では視認出来ない、何かがぶつかった。その後、銀狐は地面に平伏して、苦心の表情を浮かべ、喉を唸らせた。

 銀狐から包帯巻きの魔術士を護ったもの、それは紛れもなく、あの大蛇だった。

「残念だったな!」

 好機と見た包帯巻きの魔術士は、魔術回路を轟かせる腕を地面についた。

「地に飲み込まれるがいい!」

 足許が揺らぐ。まるで地震の震源が真下にある感覚に捉われる。そして、土が若干盛り上がったと思った次には、一角の土が飛び出していた。空高々に目指すその一角。飛び退いて助かったものの、あのまま反応に遅れていたら、足許から突かれて、私は絶命していたところであった。

 だが、一撃では終わらなかった。それは何度も何度も続き、しかも地面が揺らぐ為に、バランスを取れない。まるで、踊らされているようでなんとも滑稽だった。

 それを見兼ねた銀狐がこちらに駆け寄って、私の背中に乗せると、宙へと駆けた。

 宙にいれば、まず地震に心配はない。だが、相手は魔術士だ。何をしでかしてくるかわからない。

「地を司る魔術士なのかしら……」

 魔術士自身には、得意な術というものが存在するのは至極当然のこと。あの魔術士は、土に特化した魔術士なのだろうか。地面を揺らす程の術の持ち主となると、そう考えるのは妥当だった。

 私は自然を司る一介の呪術士。相性としてみても、これといってお互いに不利ではない。

「困ったわね。戦略が立て難いじゃない」

 弱点が見付けられたのなら、戦略は多いにたて易いのだが、ないとなるとそれはそれでどう攻め込むべきか、見当がつけられない。最初は様子見でいいだろう。

 ニ撃目が地面より繰り出される。一角の土は、地面から飛び出し、浮遊する私達を狙ってきた。銀狐は左右に踊るかの如く避けた。三撃目、四撃目と何度も繰り返し、狙ってくるのだが、銀狐には一切掠りもしない。

「銀狐、行くよ!」

 銀狐が答える。包帯巻きの魔術士へと降下し、私は式礼を取り出した。

 速効で決める。

 包帯巻きの魔術士との距離は一挙に縮まり、私は銀狐から飛び降りると、勢いのままに包帯巻きの魔術士へと向かって行く。持つ式礼を、強く握りしめた。

「やろっていうのか!?」

 包帯巻きの魔術士は手をこちらに差し出すと、詠唱を行った。

 距離はやがて極限に縮まり、私はし式礼を投げた。真っ直ぐに飛ぶ式礼は、私の狙い、包帯巻きの魔術士の額に向かっていく。

 だが、包帯巻きの魔術士は差し出した手より、魔術陣を作ると、それをバリケードに式礼を拒んだ。式礼は、バリケードに張り付いたが、何も起きることはなかった。逆に魔術陣によって滅ぼされてしまった。

 流石に、魔力の壁は通れないか。

 予測はしていたが、魔力の壁には打ち勝てると思っていたのだけれど、駄目だった。なら、あの手以外に、相手を倒す方法はないかもしれない。ただ、あれはあれで、自分自身に過負荷のかかる呪術技故に、奥の手である。そう簡単に出すわけにはいかない。

 包帯巻きの魔術士は、すさかず反撃の手に出て、私を狙った。咄嗟に私は右へと地面を足蹴りし、その場から離れた。すぐさま、銀狐が近寄って来て、私の後ろについた。そして、主の一言を待っていた。

 思えば、金狐の方へと一瞥すると、そちらはそちらで圧しているように見える。大蛇の鱗のように堅い皮膚は、金狐の容赦ない爪による攻撃によって、酷く傷ついている。金狐には何ら問題はなさそうだ。金狐があちらの気を逸らしている間に、何としてでもこちらは仕留めておきたい。

 ふと思い出した。包帯巻きの魔術士の防御陣は、私の攻撃では傷一つつけられなかったの対し、妖狐の攻撃は結構大きいものがあった。なら、防御陣を銀狐によって消し去り、私が薄れた防御陣を突破すれば、攻撃は可能かもしれない。

「銀狐、いい?」

 銀狐は頷いた。お互いに言葉は交わさなくとも、式礼を操る契約の許、主と獣との間にはお互いの意思が通いあっている。

 銀狐は走り出した。包帯巻きの魔術士は、片手に防御陣を張り、片手で次なる一手の準備に取り掛かる。察するに、時間を要する魔術ばかりを持っているのだろうか。

 一撃目の銀狐の攻撃が防御陣に猛威を揮った。包帯巻きの魔術士の顔が歪む。やはり、妖狐の攻撃は余程強いのだろう。一介の魔術士では護り切れないと見る。

 薄れた防御陣を突破すべく、式礼を飛ばす。一直線に飛ぶ式礼は包帯巻きの魔術士の額については、電撃が全身に走った。苦悶の声をあげながら、包帯巻きの魔術士は詠唱した。

「契約を解く……。互いの理によって成り立つこの主従の権限を、今ここに!」

「契約を解くですって!?」

 私は耳を疑った。包帯巻きの魔術士は、それだけを残して、その場に平伏してしまった。

 契約を解く相手となると、大蛇しかいない。言わば、猛犬から手綱を手放したのと同じ。自由を得た大蛇は、契約という縛りを解かれた。曰く、もう歯止めは効かない。

「酷いお土産じゃない……」

 私は銀狐に大蛇へと向かわせ、私は包帯巻きの魔術士に駆け寄った。包帯がどこもかくしも破けており、地肌が見えている。その地肌一杯に、拘束の呪印は描かれていた。とてつもなく強力で、簡単には解くことが出来ない程の。それに、魔術回路が焼けている。大蛇を使役するのは、過度だったのだろう。魔術回路は、ところどころが破損し、修復不可能だ。一から何もかもが壊れている。よくもこれで詠唱したものよね、と罵倒する言葉しか出てこない。

 さっき、「時間がない」って言ってたけど、このことだったのかしら。それに、この拘束印に時限爆弾のようなものまで仕込まれてある。円城と同様、自分は生贄だとか言ってたし、この人も、結局は被害者なのよね。

 私は周囲に呪術陣を張ると、すぐさま祝詞を呟いた。

 最低限のことしか出来ないけど、多少の供養くらいなら。

 この者の魂が、黄泉に送られるよう、必死な思いを込めて私は祝詞を呟いた。


◆◆◆


 金狐と銀狐の組み合わせは、大蛇へと立ち向かっていた。大蛇は幾度も攻撃されては傷を一つと作っていく。完全に圧されていた。しかし、なかなか倒れることはない。それ程、強大な魔力を貯蔵しているのだろう。これだけの巨体だ。本来ならこんな大きな蛇など、この世には存在しえない。それを魔術により体を大きくしている。魔力の貯蔵量も比例して多いだろう。

 あまり長引かせたくはない。私だって、金狐と銀狐を操るのに、呪力は要することとなる。呪力は無尽蔵なわけではないんだ。底は必ずある。早めに仕留めておきたい。

 まったく、とんでもない置き土産だ。

 私は金狐と銀狐の双方に命じた。そして、三角形のように共々立つと、私は祝詞を呟き始めた。

 弱体化を試みる。とにかく、今は一刻の猶予さえない。出来る限りのことを、今出し尽くすだけだ。

 悶え始める大蛇。

 効いているかもしれない。そう確信し、ニ匹に命じた。金狐と銀狐は咄嗟に動き出した。自らの牙と爪を武器に立ち向かう。これで、決める、そう思った時だった。大蛇の眼がぎょろりとこちらに向いた。足が竦む。動けなくなってしまった。

 しまった、と思った時にはもう遅い。

 大蛇は身を翻し、ニ匹の攻撃を避けると、こちらに一直線に向かってきた。大きな牙を見せつけながら、こちらに巨体を揺らして寄って来る。駄目だ、逃げられない。

 これでは、確実に食い殺される。まさに一巻の終わりではある。

 自分は終わった。終焉を迎えるのだと、悟った。


◆◆◆


 娼女から罪人となるこの瞬間。まるで蛹から蝶へと華麗に変態をするかの如く。

 あの人は嗤っていた。一つの骸を石造りのベッドの上に乗せ、傍らに幾つも転がる瓶詰された人を構成する物質達。丁寧に保管されたそれは、私が今まで狩ってきた者達の物だ。例え、所有者がいなくなったところで、それは亡者達の物だ。決して、これから蘇生されるべき者の物ではない。そして、この一連に巻き込まれる兄さんと姉さん。今ここで食い止めておかないと、もう後がない。背水の陣で私は望んでいた。

 真赤な体液に染まったこの着物。もう、これを着て外には出れないだろう。この状況下の中だけで着衣を許されるこれとも、もうお別れなのだ。

 あの人が愛用していた鉈だって、もう血の味を知り過ぎて、新たなる犠牲者を求めていた。なら、供物としてあの人を差し出そう。私の手によって。

「さぁ、もうすぐだ! 珀、須雀、琥凛。お前らの命など、俺の愛す妻の物となるのだ! 喜べ!」

 踵を返して私に向き返るその人。地下室は酷くじめじめしており、肌に纏わりついてくるけど、もうそんな感覚さえ麻痺していた。

「ククク、アハハハ。穢い体だな、お前は」

 全身を彩るような古傷。それは何十年と積み上げてきた凌辱の果て。自らの人形と蔑み、忘れようとした私の汚点。加えて全身を覆う服従の印。特に私は、一切の脱走と認めぬよう、顔を除いて印が描かれていた。

 兄さんが見たら吃驚するんだろうな。ばれないように、リボンまで巻いて隠してたんだもん。こんな穢い体は、誰にも見せられない。誰も欲してはくれないだろう。こんな私を。満身創痍な私を。

「父さんには言われたくないわ……」

 こんな時であろうと、相手を父として認めてしまう自分が愚かしい。

「よく言ったもんだ。流石、何十人と喰ってきたお前だ。その凌辱によって積み重ねきた想いは、不屈の精神って奴か?」

 ケラケラと笑うその人。その笑顔が憎い。その図体も憎い。そこにいるだけで憎い。何もかもが憎い。全てを終わらせる。この想いと共に、葬ろう。




 庭に咲いた向日葵は、その存在意義を今ここに発揮する。今まで溜め込んだ呪力をこの身に継ぎ足し、ここに九尾の狐を召喚する。

 憑き物一家、殺生石に魅入られた末裔。この身に流れる血に、ある九尾の狐の使役を可能とする。ただ、それは許容範囲を超える技。だが、この人を殺せるのなら、別に構わない。




 九尾の狐は、高々に泣くと、高笑いする志戒に向かっていく。それはあっという間だった。組み伏せることは、何ら問題はなかった。

 あとは、殺すだけだった。

 だが、志戒は簡単には倒すことは出来なかった。早々には倒れることはなかった。志戒は、呪術を唱えて九尾の狐に抵抗する。呪術自体は、高位な呪術であり、そう簡単には会得出来ない呪術を披露する。普通、殺すんだったら、別に刃物とかでもいい。でも、呪術士である時点で、そんな一般的なことは通用しない。私が九尾の狐をこうして召喚に至ったのは、確実に相手を殺す為でもある。

 防御の陣を張っては、抵抗するものの、九尾の狐は何のお構いなしに志戒を嬲っていく。玩具で遊ぶ動物の如く。

そして、一時の間のうちに、志戒は噛み殺されてしまった。最後の最後まで抵抗しておいて、結局は九尾の狐に屈してしまった。骸はまた一つ出来てしまった。

 今までの怨念を晴らし、私は憎きこの人を殺したんだ。

 九尾の狐は、骸を食らっていた。その場にどさりと尻餅をつく。

 酷く疲れている。立てそうにない。壁を背もたれ代わりにして、私は荒い呼吸を整える。これで、もう、何もかもが終わったんだ。志戒を殺すことが、私にとっての生きる糧だった。だが、もうそれは果たされた。もう生きてたって意味はない。呪術士としての命、呪術回路が焼けているのがわかる。

 痛い、痛い、痛い。全身を苛む。おかしいな、自分は痛みなんて感じない人形だと蔑んできたのに。主に弄ばれるだけの人形なら、痛みなんて端からないと思ってたのに。それでも、何故か痛かった。呪術回路が焼けているからではない。これは、心の痛みなんだ。そうか、私は、ハクちゃんとはもう顔合わせ出来ないんだよね。だから、痛いんだ。このままでは、絶命することは確実だった。呪術回路が完全に焼けてしまえば、忽ち身体は重力に侵される。もう、取り返しのつかないほどに。九尾の狐を戻すことも出来ない……。あそこまで、召喚してしまったのだから。




 数年ぶりだった。痛みというものを感じたのは。初めて志戒に娼女としてなる為に凌辱されて以来、痛みだけはどうしても避けたいものだった。お人形さんなら、玩具だ。痛みなんて端からない。そう想い、自分に重ねてこの日まで生きてきた。まさか、こんなことで痛みの感情がぶり返すとは思ってもなかった。痛感忘却していた私は、最後は痛感に苛まれながら、深い眠りへと落ちようとしていた。その時だった。

「琥凛!」

 ハクちゃん? あの子の声だ。自らを失い欠けているこんな時に、もう音なんて聞こえてこない私に、まるでそよ風のごとく届いてくるその声。

 心の中で想う。「ごめんなさい、不甲斐無い妹で。私……、兄さんと姉さんの幸せを願ってますから」と。




 ◆◆◆


 あの惨劇のあった地下室を抜け出し、俺は廊下へと戻った。そして、衛樹と合流し、更に奥へと進んでいく。ここにいるだけで嫌悪は最高潮に達し、気分が物凄く悪くなる。呪力の汚染なのだろうか、それともこの場の雰囲気が俺達の気を殺しにきているのだろうか。とにかく、この場からは早く離れたい気分であった。

 奥に進むにつれて、気配が強くなる。衛樹が先陣を切って進み、俺が続いて、須雀が最後だった。

 須雀は終始、俺の服の袖を掴んで離そうとしなかった。一瞥すると、そこには心配な顔と悲哀な顔の混じった表情を浮かべている。よほど、琥凛のことが気になるのだろう。それもその筈だ。須雀と琥凛の姉妹は、昔から仲がよかった。今思い返せば、あの村に住んでいた頃の話まで遡る。琥凛とはよく遊ぶ間柄であり、琥凛を通じて須雀とも時々顔を合わせることがあった。あの頃はとても引っ込み思案で、滅多に顔を合わせることのなかった須雀だったのを覚えている。やがて、共々遊ぶようになってからは、姉妹の睦まじい光景はよく見せられたものだ。妹の世話をよくする姉であった。非の打ちどころのない姉妹と言っても過言ではない。

 一連の事件に琥凛が加わっていることもあり、須雀は心が折れる想いだろう。袖に捕まっていないと、立つことも出来ない。そんな状況であった。

 狭き廊下を進み続け、やがてある扉が現れた。その扉から漏れる呪力。とてつもなく脅威的な力を含んだその呪力から察するに、ここで何かが行われようとしているのは確かだった。

 扉は簡単には開くことはなく、衛樹と俺が体当たりしてやっと開いた。

 そして、部屋に足を踏み入れて、三人共々驚愕した。




 金色の毛を持つ九尾の狐がいた。白面金毛九尾の狐だ。殺生石に封印され、挙句の果てに玉砕されたとされる。その九尾の狐が、今ここに顕現していた。

 圧倒的な呪力を持ち、近寄らせることを自然と避けている。

 たった今、志戒が九尾の狐に噛み殺されていた。




 そして、そんな状況下の中、部屋に片隅では、琥凛が静かに座っていた。俺は駆け寄った。須雀も俺と同じく駆け寄る。

「琥凛!」

「琥凛!? ねえ、琥凛!」

 俺の次に須雀が琥凛の名を叫んだ。だが、琥凛は気付くことはない。衛樹がこちらを一瞥して、九尾の狐を対峙した。

「殺されかけてるのか?」

「……。こ、琥凛……。貴女って人は、なんて愚かな……。私達を巻き込みたくないからって……、仇相手共々逝こうなんて……」

 須雀の双眸から一つの涙が零れた。

「おい、衛樹! 殺されかけてるってどういうことだよ!」

「そのままの通りさ。琥凛さんは、九尾の狐を召喚させた。だが、九尾の狐が妖狐としてはランクの高いのはわかってるだろ。それも、悪狐だ。普通じゃこんなの召喚出来ないよ。たぶん、自分じゃ扱い切れてないんだろう。九尾の狐を」

「扱い切れてない?」

「そうだよ、九尾の狐なんて、そんな簡単に扱えるわけがない。呪術回路を焼いてるよ。いずれ、呪力が漏れだして、体を汚染し始めるだろうね。それまでに、この狐はどうにかしないと」

 琥凛に一瞥する。酷く憔悴している。須雀の声にも一切反応見せなかった。ただ、苦しそうに顔を歪めている。

 ふと、琥凛が言っていた言葉。「もうすぐ、私死んじゃうから」と言ったあの一言は、これを意味していたのだろうか。自分の命を引き換えにしてまでも九尾の狐を召喚し、そして、目標を達成してしまえば、あとはおさらばだって言いたいのか。なんて、馬鹿な妹だ。

 俺と須雀を巻き込みたくないからって、志戒を殺したら自分も身を引く。馬鹿だ、お前はなんて馬鹿なんだ。なんて自分勝手な奴なんだ。




「琥凛! お前は死なせないぞ。あとでたっぷりと贖ってもらうからな」




 徐に立ちあがって、九尾の狐と対峙する。

「衛樹。九尾の狐はどうしたらいい? アイツを倒せば、琥凛は救えるだろ?」

「たぶんね。一時的弱まれば、一気に畳みかけて召喚を無効させれば、琥凛さんは解放される。でも、円城。どうやってだ? 俺はともかく、円城はどうやって九尾の狐を倒すつもりだよ」

 過去の残像。この右目は、常日頃から父親を見てきた。あのチャネリングを披露する姿を。俺はいつもそれに憧れを抱いていたのを覚えている。その姿を見ることが続き、この右目は、チャネリング浄眼となりえた。そして、今の俺に出来ること。霊を通しての思想を垣間見ることだった。

 右目が痛む。そして視える九尾の狐の思想。こちらに殺気を向けてきているのはわかる。

 そして、咄嗟にこちらに向かってくるのがわかった。俺は衛樹に「右に!」と咄嗟に叫び、九尾の狐の突進を避けることが出来た。

 九尾の狐が踵を返し、再び襲ってくる。衛樹は詠唱に入った。魔術陣を形成し、魔力を込めていく。そしてそこから出される魔力の塊は、九尾の狐めがけて飛んでいくものの、傷一つ作ることが出来ない。衛樹の顔が歪んだ。

「なんて強さだ……。流石悪狐……、簡単には倒れないってことか」

「衛樹、大丈夫か?」

「な、なんとか。でも、その場凌ぎしか出来ないかもしれない。せめて、巫弥が来てくれれば」

 俺はある意味戦力外である。この場において、俺は武器を持たない。せめて、この右目というのが唯一の武器なのだ。しかし、これはあくまで攻撃的な物を持っていない気がする。攻撃は全て衛樹に任せてしまうこととなる。だが、どうやら衛樹だけでは戦力不足であった。

 そこに見兼ねた須雀が、徐に立ちあがった。そして、呪術を唱えて始めた。

「須雀?」

「私とて、見てられません。兄さん、琥凛と私は姉妹なのですよ。私も呪術士、少しながらお力になります」

 ゆっくりと瞼を閉じ、瞑想する。落ち着いた容貌で、唱えていく。それは、今までの須雀とは違う。一介の呪術士としての須雀がそこにはいた。

 やがて須雀が三匹の猫を召喚した。どれもこれも、普通の猫ではない。妖狐と同じ、妖怪の類に属する猫達である。

 召喚された猫達は、すかさず九尾の狐に向かい、そして、三匹というコンビネーションを使って相手を翻弄していく。小賢しく鼠のように動き回る猫達三匹を、九尾の狐は狙いが定まらず、なかなか攻撃出来ないでいた。そこを衛樹がすかさず魔術で攻撃するものの、相手とてそう容易い相手ではなく、咄嗟にこちらに気付いては、猫達の妨害さえももろともせずに、避けてしまった。

 またもや猫達が立ち向かう。

「兄さん……、早めにお願いします……。私は、琥凛と違ってあまり呪術には長けてないの……。あっという間に猫達も消えてしまう……」

 須雀曰く、家系の中で琥凛は最も強大な呪術士であった。憑き物家系としても、最高峰を誇る呪術士であった――それで、九尾の狐さえも召喚することが出来たのだろう――。それに比べ、須雀自身はあまり呪術の素質はなかった為に、猫三匹を召喚するのでやっとだった。

「ったく……、巫弥が……、早く来てくれれば……」

 衛樹の表情の雲行きが怪しい。いい方向へ進んでいないように見受けられる。それもそのはず。さっきから、猫達で陽動しておきながら、俺達の攻撃など一切あたらないのだ。もはや、運に身を任せる以外の手立てはない。巫弥が来てくれれば、戦況はだいぶ変わるというのに。

 そんな中、一匹の猫が噛み殺された。いとも容易く、それも丸飲みだった。形さえも残らず、この場から姿を消してしまった一匹の猫。

 なんて奴だ……。丸飲みで殺すとは。

 俺はというと、九尾の狐の思考を読み取るので一杯だった。怨念の塊を孕んだ九尾の狐から視えてくるのは、復讐を成し遂げる為に、己を奔走させることばかり。しかも、主である琥凛は伏してしまった。制御の利かなくなったことで、九尾の狐は誰とて敵に回している。自我暴走していた。

 また一匹と殺されていく。それは呆気ない。一匹目同様に、跡形もない。手立てが悉く潰されていく。そんな時だった。一人と一匹の増援がきた。


 ◆◆◆


 何かが衝突する。右腹を突かれ、私はそこから追い出された。そして、難を逃れる結果となった。

 苦痛に揺れ動く鳴き声。身体に突き刺さった大蛇の牙は、深く入り込んで肉を抉っていく。大蛇が噛みついたまま、振り払った。牙から解放され、宙を舞う妖狐は、どさりと地面に倒れた。身体に出来た二つの穴。穿たれた穴から流れ出す血。立つことさえままらない。

 私は、銀狐に突き飛ばされていた。そして、深い傷を負った銀狐は、やがて力尽きていく。儚く散っていく命の灯火。もう、二度と強き炎を見せることはないだろう。

 銀狐が殺されたことで、私の中で何かが吹っ切れた。呪術回路の最大限に能力を引き上げる。仲間を失ったこの想いはもはや止められることが出来ない。全力で戦うだけだ。金狐とて一緒であった。

 金狐は高々に鳴く――人間でいえば、銀狐が死に、泣いているのかもしれない――と、大蛇に食らいついていく。

 大蛇は颯爽と食ってかかって来る金狐に、銀狐を襲ったあの牙で早速攻撃をしかけただが、金狐は銀狐のことを見ていたこともあり、軽々と避けると、背後に周り、今度は自分の爪で猛威を揮った。

 さっきより切れがいい。私はそう思った。そして、少しずつ敵はおされている。このままいけば、勝利を見出すことが出来るかもしれない。

 しかし、流石に一匹となると、銀狐がいたときより、劣ることはある。ならば、私がそこを補うまで。

 私は懐から一枚の和紙を取り出すと、祝詞を呟いた。

 あと呪力は少ししか残ってないけど、これくらいの術くらいなら、使える。苦渋の選択であった。

 祓いの呪術。不浄を取り除く際に使われる技。本来なら、神託などを受け賜わる際に行うものなのだが、この場合だと、せいぜい相手の行動を数秒封じ込めることしか出来ないだろう。しかし、この手以外ない。相手の行動を封じ込め、相手を一挙に追い込む。

 榊を大蛇を囲うように四方に巻き、和紙を投げ込む。和紙は燃えながら、大蛇へと向かっていき、やがて和紙の炎は大蛇を飲み込んだ。

 好機と見た金狐は、すかさず飛び込み、大蛇に大きな鉤爪の痕を残していく。そして、私も前に出て、右手に持つ榊を握った。金狐に跨り、頭上に飛びあがると、金狐から降りて大蛇の頭めがけて落ちていく。そして、榊を刺した。

 悶える大蛇から宙へと離れ、私は金狐に拾われると、すぐに下がった。

 燃える大蛇。それは酷い呻き声をあげてる。手応えはあった。

 炎は燃え続け、大蛇が倒れるまでずっと燃えていた。あの炎は不浄を糧とする。燃え尽きたとなると、不浄はなくなったのだろう。もう、動くことを見せなかった。金狐を式礼に戻し、旅館に向かおうとした時だった。伏せっていた包帯巻きの魔術士が、木の幹にしがみ付きながら立っていた。私は咄嗟に構えたが、相手は敵意を見せない。

「殺しやがった……。なんて巫女だ……」

 まるで私を褒め称えておきながら、同時に呆れているように見えた。

「やめろ、やめろ。もう、俺には魔力はないんだ。察してるだろうが、もう魔術回路はボロボロだ。どうしようもねぇ」

「そうでしょうね、大蛇まで出しておいて、倒れてしまうほどなんですから」

「っけ、馬鹿な巫女だ。俺なんかほっとけばいいのに」

 そう言って、踵を返す包帯巻きの魔術士。私は「ちょ、ちょっと……」と声をかけるが、こちらに振り向きもしない。「またな。今回はやられたが、今度はお返しさせてもらうからな」とだけ言って、この場から去っていった。

 どうやら、私にライバルが登場した、予感がした。


 ◇◇◇


 増援は巫弥と金狐だった。すぐさま、九尾の狐と対峙する金狐。巫弥は疲れたようすで俺達のところに寄ってきた。息が荒い。包帯巻きの魔術士との戦いでかなり疲弊した様子だ。

「大丈夫かよ、所長」

「なんとかね……」

 衛樹に対する返事さえ、覚束ない様子だった。

 巫弥は一見してこの状況を把握した。

「九尾の狐がどういうこと?」

「あれは、琥凛が出した妖狐だよ。俺達はそれを止めようと」

 じゃないと、琥凛は息絶えてしまうのだから。

 巫弥は眉間に皺を寄せながら、九尾の狐を見た。巫弥とて恐れる妖狐なのだ、それはそれで恐ろしい妖狐なのだろう。

「それで、戦ってるわけね。全く、あんな妖狐に挑もうなんて、無茶なことするわよね」

 巫弥は俺と衛樹、そして須雀にそれぞれ視線を送り、最後には溜息をついた。

「もう、向こうじゃ大蛇と戦っておきながら、こっちでは悪狐か……。これじゃ、一発で決めるしかないわね」

 金狐が喉を唸らせる。九尾の狐に対する敵視は、傍から見ても恐ろしいものがあった。一触即発の状況下である。

 止まっていた時はやがて動き出す。先手に出たのは金狐であった。

 己の爪を使い、相手を追い込もうとするが、相手も妖狐だ。それも悪狐の最高峰である。爪痕なんてつけることも出来ない。呪力によって圧し負かすことさえ出来てしまう。

「エメラルドとの同調……、完了。術への変換、及び行使、金狐強化術の完成。金狐の強固にする!」

 衛樹だった。宝石の術を使い、金狐の強化を試みたことだった。

 須雀が猫を下がらせ、消滅させた。この場において、猫は不要だった。それに、これから起きることの感じ取っていたのかもしれない。

 右目は痛いままだ。若干読み取れる、九尾の狐の思考。朧げながらだが、金狐に対する敵視。全てを成し遂げる為に、己を突き動かしていること。この場の者全てを敵と見做す。言わば、止まることはない。

「円城! 須雀さん! ちょっと来て!」

 巫弥に呼ばれ、俺と須雀は近寄った。巫弥は近寄った俺と須雀に言った。「呪力を貸してほしい」と。

 人間は誰だって、魔力、呪力は基本的に微量ながら持ち合している。巫弥自身は、もうすぐで呪力を使い切ってしまうところであった。だから、俺と須雀から呪力をもらい、金狐にあてる。全てを乗せて、九尾の狐を打ち破ることだった。

 拮抗し合う妖狐ニ匹。さっきから目まぐるしい攻撃を繰り返しつつ、お互いを(せめ)ぎ合っていた。しかし、それも全てを終わらせる。巫弥と金狐。そして、俺達の組み合わせによって。

 準備が整う。俺と須雀から呪力を摂取し、付け足し、その全てを金狐に乗せる。そして、宝石魔術によって強化された。

 金狐の爪が九尾の狐を襲う。一撃、そしてニ撃と繰り返される攻撃。激しい攻防に塵埃が舞い、その場が騒然とする。そしてそんな中、また一撃が加えられた音が聞こえた。ドサリ、と音がする。

「ちょ、ちょっと張りきり過ぎたか、な……」

 巫弥が前のめりに倒れる。それを衛樹が必死に受け止めた。妖狐が消える音。やがて、塵埃はやがて治まり、視界が晴れていく。

 そこには、九尾の狐がいた。数々の負傷を負い、体を抉られたその姿。立つことさえ覚束ず、その場に倒れると、ゆっくりと消えていった。

 それは、九尾の狐を倒したことに、他らなかったことを、衛樹が一言呟いた。そして、巫弥に「お疲れ様」と言うのだっ

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