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間隙④:青狼と金獅子

「……ついにこの時が来たか……」



今日から三日間、関所の審査官の前で演劇を披露し、手形無しでも国外に出しても大丈夫か審査されるのだ。

用意された衣装を身に纏い、とりあえず姿見で処々を確認しながら俺は今までに感じた事が無い高揚と緊張が湧いてくる。

顔には出さない様にしているが、これでも緊張している……んだ、俺は。

口元の布はそのままで良いと言われている。外すつもりは毛頭無いので、俺は布の調整を軽くした。


そして俺は幌から出て、地面に降り立ち……近くに居た人物に視線を向けた。

視線の先の人物は銀の細いフレーム眼鏡を掛けた男……ジルドレット、…… ジル。

だが、この男は……



「……"ルーデナント"様、ですよね?」


「……そう言うお前は"イシュウェル"だな?」


「…………」

「…………」



お互い質問で"答え"が無いが、この台詞で十分だ。

ルーデナント様もここまで……シオの前に来たか。


ルーデナント様はこれから、どうするつもりなのだろうか?



「…………」

「…………」



さて……俺はどうやって、シオとの旅を続けて行ける様にしようか……。


俺が始めの言葉以来黙ると、ルーデナント様は別な言葉を紡ぎ始めた。



「……一応、"向こう"には聖女は見つかり、このまま暫く戻らないと伝えておこう」

「ルーデナント様?」


「このまま、楽しむんだよ」

「……?」


「イシュウェル……お前、あそこに下手に戻って、また聖女至上主義のレジャスターニャにネチネチ邪魔されて、シオーネに会えない日々が続く方が良いのか?」

「そ、それは嫌です!!」

「なら、このままで良いな?」

「はい」!

「よし……。ただ、問題なのは、俺の立ち位置が微妙過ぎるところだ。何とかしなくては……」



そうだな。ルーデナント様はある意味自由に行動出来ない。


……その時、不意に軽い足音が聞こえてきた。


視線を向ければ、こちらに走ってくる人物が……。

あの長い髪の人物はもしや……



シオ? ……シオーネ……?

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