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義賊税理士 ZERO  作者: 八雲 海


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13/13

エピローグ 朱印

駅前の商店街を抜けた先、古い雑居ビルの二階。看板は、相変わらず小さい。

 噂は、いつからか、静かに広まっていた。

 すべてを終えた者は皆、あの事務所の机の上で、赤い「済」の判を見ている。押した男は、礼を受け取らない。名を売ることもしない。それでも、困っている者たちの間でだけ、いつしか言葉になっていた。

――あの判を見るまでは、まだ終わりじゃない。

 誰が言い出したのかは、分からない。黒瀬零司の「零」を取って、その男をゼロと呼ぶ者がいた。取りすぎを、一円残らずゼロにして帰すからだ、と言う者もいた。本人は、その呼び名を、一度も名乗ったことがない。

◆

 夕方、階段を上ってくる足音がした。

 黒瀬は、机の書類から顔を上げなかった。机の上には、朱肉と、「済」の印。そして、まだ判の押されていない、一枚の古い紙が、そのままになっている。

 ドアが開いた。

「あの……税金のことで、相談したいんですが」

 黒瀬は、顔を上げた。

「どうぞ」

完

※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・企業・地名・事件は、実在のものとは一切関係ありません。作中の制度・業務の描写には、物語上の創作が含まれます。

作中の税法・制度に関する記述は、個別の税務・法律・社会保険の相談に代わるものではありません。実際の手続きについては、最新の法令をご確認のうえ、専門家または関係機関へご相談ください。

本作は、脱税その他の違法行為を推奨・助長するものではありません。

© 2026 八雲 海

無断転載・複製・再配布を禁じます。


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