悪い噂3
そのため、楽しいことに飢えている生徒たちからは、「溺愛執着系彼氏と小悪魔系彼氏のカップル」だと噂をされるようになっていった。ゲイカップルで寮の部屋も同じと思われていては、揶揄わずにはいられないのだろう。それは二人にとっての学校生活は楽しいだろうと、いつも揶揄されていた。
光彰自身はそのことを全く意に介さず、むしろ喜んでさえいるようで、いつも黎だけが一人で狼狽えている状態が続いていた。その光彰が、黎に一人で寮に帰れと言う。これが驚かずにいられるだろうか。
「ああ、今日はいいんだ。ただ、まっすぐ部屋へ帰れよ。絶対に寄り道をするな。そして、部屋に着いたらメッセージをしておいてくれ」
普段と違う行動をしはするものの、いちいち細かく指図をするあたりに変わりはないようだ。敷地内にある寮で生活しているにもかかわらず、寄り道をするなとはどういう事だろうか。過保護にもほどがある。
「はいはい、わかりましたよ。まっすぐ帰るし、メッセージしておきます。じゃあ、後でな」
そう言って黎が手を振ると、嬉しそうに光彰は目を細めた。そして、そのまま軽く手を振り返すと、
「ああ。また部屋で」
と優しい声で答える。その光彰の表情に、黎は思わず目を奪われた。
それは、黎ですら滅多に見られないような穏やかな表情で、驚きのあまりに黎は思わず胸を押さえた。彼ですらそうなのだから、クラスメイト達にとってはそれこそ青天の霹靂のようなものなのだろう。普段の笑顔だけでもざわめく教室に、悲鳴が巻き起こるほどの大騒ぎとなった。
「ねえ、今キングの笑った顔見た? 破壊力凄かったんだけど」
「ねー! すっごいドキドキしたー! やっぱり顔がいいわ。さすがキング」




