第十四章 久しぶりの我が家
そしてそれから2カ月近くが経過、今日は引越しの日。
浩の荷物はたいしてないが、研史もマルコーの軽トラックで寮に駆けつけ引越しのお手伝い。
寮の管理人・平柳のおばさん、そして寮生にあいさつを済ませて軽トラックを走らせる。
そして久しぶりのわが家の前に到着。
そう、家は売られずに残っていた。
すると隣の諏訪さん宅から幸栄、祐衣、祐真、そして諏訪夫妻が出てきた。
麻子は浩の前にくる。
「浩!今度自分の家族に辛い思いさせたら私が絶対許さない!」
すると夫の龍一が間に入り。
「まぁまぁ、今日はお祝いだ。オードブルと飲み物は幸栄さんが勤めていたスーパーに頼んだから。今日くらい俺におごらせろ」
幸栄は、久しぶりの我が家でとても嬉しいのであるが、今までの辛い思いが頭をよぎり若干涙ぐんでいる。
「久しぶりに家に入ったら、けっこう埃っぽくて掃除しておいたから。さぁみんな中へ入りましょ。研史君も入って」
「あ、じゃあ俺、軽トラを会社に戻してすぐ戻ってきます」
研史が軽トラックに乗り走り出すとすぐに軽商用車が金河宅前に到着する。車のドア部分に(スーパーマルトク)の文字あり。
車の助手席から高岡が出てくる。
「ご注文の品、お届けにあがりました。
幸栄さん、またうちのスーパーで働くんでしょ。みんな、待っているからね。良かった、良かった」
運転席の望月も車から出てくる。
「幸栄さん、これからもよろしくね」
そして浩を見て。
「いつも幸栄さんにはお世話になっております」
「こちらこそ今後とも幸栄と仲良くしてやってください」
飲み物、オードブルを渡して車は走り出す。
車の助手席に座った高岡は金河邸前のみんなを見て。
「幸せな家庭に戻ったって感じね」
その言葉に対して望月は、
「幸栄さんの旦那さん、けっこういい男だね。あーあ、どうやら私の感は外れたみたい。うちの店長には私の知り合いの女性、誰か紹介してあげるとするか」
研史も戻ってきて金河宅、お祝いの宴の最中。
「みんな、ほんとすまなかった」
浩は今回の株での不祥事を家族みんなに謝る。
「毎月の小遣いを減らして、祐衣・祐真の進学費用を必ず返済するから」
涙ながらに約束をする。
それを聞いた龍一は、
「奨学金制度だってあるんだから将来行きたい進路は遠慮しちゃいかんよ」
宴を催したおかげで家族、そしてお隣さんとの関係は、以前のように良好になりつつあった。
麻子は涙ながらに喜んだ。
幸栄、祐衣、祐真も嬉しそう。
そして浩はみんなの前で言う。
「俺はもう売買目的優先の株式投資はやらない。好きな株だけ保有して、配当金を貰ったり株主優待の食事券とか、美味しいものとか貰って株を楽しむ。
それで、もし保有株の中ですごく上がった株があったとする。そうしたら、その時は考える。幸栄と相談して決める。株の売買は2の次にする」
もうこの家族、そしてこの家を絶対手放さないと心に誓うのであった。
「でもまだ株価を見ると目がチカチカしてしまう。俺はしばらく株価は見ないから幸栄、たまにでいいから株価見てくれ。その都度株価を教えてくれなくていい。よっぽど上がったり、よっぽど下がったりしたら、それとなく教えてくれればいいから」
祐衣と祐真はさっそくスマホを使って株価をチェックする。
ネットニュースを観ると、
(ステーキブームが落ち着く。ステーキより低価格の牛丼の人気が上がってきた)とのニュースがあり。
吉松家の株価を見ると急上昇している。
祐衣は吉松家の株価上昇を幸栄に教える。
「今日はダメ。教えないほうがいいわ」
幸栄は浩に分からないように吉松家の株価をチェック。
「1,240円で買った株が1,370円。130円上がったという事は200株だから26,000円の利益と言いう事か・・・」
幸栄はずっとスマホ画面を興味津々に見ている。
その光景を見た祐真は
「ママが株を真剣に見ている。ママも株に、はまっちゃうの?」
祐衣と祐真は顔を見合わせ。
「え?」
終わり
本編はこれで終わりです。
来週、「あとがき」という事で文書をアップします。是非、読んでください。




