第八章 塩田参法 その参「参天突破」
とある日のマルコー赤羽営業所。
浩と研史は特に外回り予定はなし。社内の作業場にある壊れた機械の修理を行う。修理の技術を磨く事になるし、直れば中古品として販売する事が出来る。
この頃の浩は、株主優待でクオカードが貰える銘柄、お米が貰える銘柄なども保有していた。しかし株は塩田参法でやるのが最良であると考えていた。なので何か問題が起きて暴落する株はないか。急に人気が出る企業はないかなど注視していた。
あと、いざという時の為に信用取引口座を開設していた。
お昼12時ちょっと前、機械修理をしている浩・研史のところへ、二本木営業所長がくる。
「急な機械修理の依頼があったんだ。もうすぐ12時だからお昼食べたら行ってほしいんだが行けるかな?」
「分かりました。で、何処ですか?」
「足立区の栄高精密さんだ。栄高精密さんは以前から、ブリディッシュテクニカルの仕事をやっているんだけど今、忙しいらしい」
浩と研史は昼食を食べてから車で足立区の栄高精密へ向かう。
到着すると工場の中から社員さんが出てくる。
「マルコーさんですか。お待ちしておりました。さぁ、中へどうぞ」
名刺の交換をする。この社員さんは、製造主任の森山さんだ。
工場へ入り早速、機械を調べる。
操作画面を見ると、オペレーションオフラインと出ている。NCプログラムを稼働させる為のユニットがダメらしい。即、動くようにするには、ユニットを交換したほうが早い。
浩は工作機械メーカーにスマホで問い合わせる。ユニットの在庫があるとの事。
製造主任、森山さんに修積見積りを提示。
OKをもらいユニット交換修理を進める事となる。
「明日、うちにユニットが届くのでそれから交換修理となります」
「そうですか。明日直るなら何とかなります。とにかく忙しくてねぇ」
浩と研史はいったん帰る。
(次の日)
午前11時、機械のユニットがマルコー赤羽営業所に届く。届いたユニットを車に積み、栄高精密へ行く。
午後3時、ユニットを交換し機械が動くようになる。
帰りの車内。栄高精密が忙しいという事で、浩はスマホでいろいろ調べてみた。
ブリディッシュテクニカルを調べると本日午後2時発表の記事を発見。自社で開発した商品の事が出ていた。
(ブリディッシュテクニカル、アシスト自転車の新アシストシステムを開発・特許を取得。現存するアシスト自転車は、電気モーターを使った電動アシストであるが今回新しく開発されたのはゼンマイを使ったアシスト自転車。平坦な道、下り坂などでチャージスイッチをオンする。そしてペダルを漕ぐとゼンマイが巻かれる。登り坂などでパワースイッチをオンすると巻かれたゼンマイがアシストしてくれて登り坂が楽に漕げるというもの。電気モーター、バッテリーを使わないので電動アシスト自転車より、かなり安価で販売出来る。地球にも優しい)
ヤフーファイナンス企業情報を観る。
(ブリディッシュテクニカル)
自動車・バイクなどの部品を製造。最近では自転車部品の製造が増えている。
チャートを確認。最近3カ月の株価は上がったり下がったり。そして本日午後2時から株価が徐々に上がり始めている。本日終値908円。
「ふ~ん。これから上がるのかなぁ・・・あれ、この株の動き。なんだっけ?」
浩はチャートをじっくり見る。
そして極み相場の塩田参法その参を思い出す。
「これって・・・」
「塩田参法その参、参天突破じゃないのか?」
(株価が上昇して下がる。また上昇するが前回と同じところまで上がってから下がる。これを参回繰り返す。
この直後、この企業がこれから大きな利益が出るだろうという情報が出た場合、株価は今まで上がった最高位を突破し驚くほどの上昇を果たすであろう)
浩は手が震える。
「金河さん!どうしたんですか?」
浩の震える手を見て研史は何事かと驚いた。
「ブリディッシュテクニカルの株、いいな」
(帰ったら幸栄を説得だ!)
家へ帰宅。極み相場の本を確認する。
家族4人で夕食。浩はビールでややほろ酔い気分になったところで話を切り出す。
「株うまくいっているよ。100万円で始めたけど今、証券口座内の資産価値が107万円だ。
それで相談なんだけど実は、急騰する株を見つけたんだ。それで明日、大量買いしたい。積立定期預金、全額おろして投資したい」
幸栄の顔が一瞬にして怖い表情になる。
「何言っているの!これ以上株に注込むなんてやり過ぎよ」
「絶対上がるんだ!いや、絶対上がると思う。今買わないと絶対後悔する」
父と母に言い合いに祐衣もちょっと驚き質問する。
「ねぇパパ、どうして絶対上がると思うの?私は株の事はよく分からないけど、たくさん買ってもし下がったら大損しちゃうんだよね」
祐真も会話に入る。
「研史さんとパチンコに行ってからギャンブルに目覚めたの?」
「実はな、相場の動きを予測する指南書があって、これが当たるんだ。塩田参法という。その指南書にある急騰する動きをする株を見つけたんだ」
幸栄の表情が更に険しくなる。
「はぁあー‼あなた、ゲームとかアニメの格闘シーンで、必殺技とか究極奥義とか好きだけど、その本の奥義を使えば勝てると思っているわけ?本を見てその通りにやったらお金が儲かりましたなんてあるか!」
「指南書にある塩田参法の1と2でそこそこ儲かって、3の動きをする株を初めて見つけたんだ。3は凄いんだ。3は初めて見つけたんだ。これを逃したら一生後悔する。幸栄、祐衣、祐真、頼む。絶対増やすから。絶対に増えると思う!」
「絶対に無理です。コツコツお金を貯めるのが信条のあなたが、なんでギャンブラーみたいになっちゃったの?そんなあなたの事、嫌いになりそう」
幸栄の首は縦に振らない。
それから浩は早々に食事を済ませ入浴。就寝した。




