暗闇の中、独りうずくまる貴方へ
今、貴方はどこにいますか?
夢の中? 深海? それとも、監獄? ――わからない。
だって、自分を包むのは……黒。
視界を埋め尽くす暗闇。
物音1つしない無音の中、上下左右さえもわからないほどの、暗さ。
その不安定な中、“光”なんてものは存在せず、両手両足は冷たい鎖に繋がれている。
目を開けても、閉じても、見えるものに変わりはなく、いっそ閉じていたほうが“見える恐怖”――“見えるかもしれない”という恐怖を感じずにすむのではと、ずっと目を閉じ、小さく縮こまることしかできない。
――『怖い』――
何が怖いのかは、わからないかもしれない。
ただ、漠然と怖いんじゃないかな。
“光”を見ることさえ怖くて。
陽の光は、眩しすぎて、また目を閉じてしまう。
でも確かに、心の奥底では“光”を望んでる。
貴方はもしかしたら、手を伸ばすこともできないんじゃないかな。
手を伸ばしても、この暗闇の中じゃ、誰も見つけてくれず、誰にもこの手は受け取ってもらえない。
諦めてる? ――そう。だから、苦しいんだ。
矛盾しているよね。
でも、だから、苦しいんだよ。
諦めてるって割り切ってるくせに、割り切れない何かが、貴方を苦しめてる。
でもね。
だからって、その“何か”を捨てる必要はないんだよ。
その“何か”は、貴方にとってとても重要な、大切なものなんだと思うの。
もしかしたら、その“何か”が、貴方をそこから出してくれるかもしれない。
例えば、“信頼”という言葉。
貴方は“信頼”を否定しているくせに、どこかで“信頼”を望んでる。
信頼して、信頼されて――。
それができたなら少しは変われるのかと、……あの時に戻れるのではと、期待する。
でも、裏切られるその時が怖くて、それができない。
こういう時、そんな貴方を救うのは――“信頼”。
本当に“信頼”できる相手を見つけることで、貴方は救われる。
「信じることができた」と、笑えるんじゃないかって、思うんだ。
失った【何か】。
その【何か】は、貴方を光に導く鍵になる。
でもやっぱり、怖いよね。
だって、その【何か】のせいで、今貴方は、苦しんでるんだから。
――『どうして?』――
その言葉が浮かんでは、その矛先を自分に向けて。
【何か】を望んだ自分が悪いと自分を責め立てては。
もう傷つきたくないからと、【何か】を自分から捨てたんだ。
――希望や勇気と一緒に。
そうして、闇の中に落ちてしまった――……
だったら、私がそれを拾うよ。
貴方が希望や勇気と一緒に捨てた【何か】を拾って。
手を伸ばせない貴方に、私が手を伸ばすから。
そして、震える体を私が抱きしめてあげる。
ほら、ちゃんと、温もりを感じるでしょう?
独りじゃないって、わかるでしょう?
目を開けて。
その時見えた世界は、まだ貴方には白黒に見えるかもしれない。
でもほら、“独り”じゃないよ。
“独り”は孤独だけど、“1人”は孤独じゃない。
貴方の目に私は映らなくても、その心に私がいるから。
だから、貴方はもう“独り”じゃない。
私が、“独り”にさせない。
だから、一緒に、前に進もう?
隣には私がいるから。
私は貴方の努力を知ってるよ。
私は貴方の涙を知ってるよ。
だから今の貴方がいるんだから。
ほら、今の貴方は前とは全然違う。
ちゃんと“痛み”を知ってるんだから。
貴方は強く、優しくなれたと思うよ。
一緒に進もう。
光のある、色のついた世界へ――――。
“独り”と“1人”の違いは大きいです。
貴方を支える誰かが、心にでもいれば、それはもう“独り”じゃない。
貴方の傷を分かち合える人がいます。
ちゃんと、聞きます。
悩みも、苦しみも全部。
貴方だって、光を望んでいいのですよ。