表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
独り苦しむ貴方へ  作者: 桐生桜嘉
*貴方に捧げる言葉*
7/7

暗闇の中、独りうずくまる貴方へ


今、貴方はどこにいますか?


夢の中? 深海? それとも、監獄? ――わからない。


だって、自分を包むのは……黒。


視界を埋め尽くす暗闇。

物音1つしない無音の中、上下左右さえもわからないほどの、暗さ。

その不安定な中、“光”なんてものは存在せず、両手両足は冷たい鎖に繋がれている。


目を開けても、閉じても、見えるものに変わりはなく、いっそ閉じていたほうが“見える恐怖”――“見えるかもしれない”という恐怖を感じずにすむのではと、ずっと目を閉じ、小さく縮こまることしかできない。



――『怖い』――




何が怖いのかは、わからないかもしれない。


ただ、漠然と怖いんじゃないかな。



“光”を見ることさえ怖くて。

陽の光は、眩しすぎて、また目を閉じてしまう。



でも確かに、心の奥底では“光”を望んでる。


貴方はもしかしたら、手を伸ばすこともできないんじゃないかな。

手を伸ばしても、この暗闇の中じゃ、誰も見つけてくれず、誰にもこの手は受け取ってもらえない。


諦めてる? ――そう。だから、苦しいんだ。



矛盾しているよね。


でも、だから、苦しいんだよ。


諦めてるって割り切ってるくせに、割り切れない何かが、貴方を苦しめてる。



でもね。

だからって、その“何か”を捨てる必要はないんだよ。


その“何か”は、貴方にとってとても重要な、大切なものなんだと思うの。



もしかしたら、その“何か”が、貴方をそこから出してくれるかもしれない。



例えば、“信頼”という言葉。


貴方は“信頼”を否定しているくせに、どこかで“信頼”を望んでる。


信頼して、信頼されて――。

それができたなら少しは変われるのかと、……あの時に戻れるのではと、期待する。


でも、裏切られるその時が怖くて、それができない。



こういう時、そんな貴方を救うのは――“信頼”。


本当に“信頼”できる相手を見つけることで、貴方は救われる。

「信じることができた」と、笑えるんじゃないかって、思うんだ。




失った【何か】。

その【何か】は、貴方を光に導く鍵になる。


でもやっぱり、怖いよね。


だって、その【何か】のせいで、今貴方は、苦しんでるんだから。


――『どうして?』――


その言葉が浮かんでは、その矛先を自分に向けて。

【何か】を望んだ自分が悪いと自分を責め立てては。

もう傷つきたくないからと、【何か】を自分から捨てたんだ。

――希望や勇気と一緒に。


そうして、闇の中に落ちてしまった――……





だったら、私がそれを拾うよ。


貴方が希望や勇気と一緒に捨てた【何か】を拾って。


手を伸ばせない貴方に、私が手を伸ばすから。


そして、震える体を私が抱きしめてあげる。



ほら、ちゃんと、温もりを感じるでしょう?


独りじゃないって、わかるでしょう?



目を開けて。


その時見えた世界は、まだ貴方には白黒モノクロに見えるかもしれない。


でもほら、“独り”じゃないよ。


“独り”は孤独だけど、“1人”は孤独じゃない。

貴方の目に私は映らなくても、その心に私がいるから。


だから、貴方はもう“独り”じゃない。


私が、“独り”にさせない。


だから、一緒に、前に進もう?

隣には私がいるから。


私は貴方の努力を知ってるよ。


私は貴方の涙を知ってるよ。



だから今の貴方がいるんだから。



ほら、今の貴方は前とは全然違う。


ちゃんと“痛み”を知ってるんだから。


貴方は強く、優しくなれたと思うよ。



一緒に進もう。


光のある、色のついた世界へ――――。






“独り”と“1人”の違いは大きいです。

貴方を支える誰かが、心にでもいれば、それはもう“独り”じゃない。


貴方の傷を分かち合える人がいます。


ちゃんと、聞きます。

悩みも、苦しみも全部。


貴方だって、光を望んでいいのですよ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ