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足りない噛み合わせ2

レオンはすでに動いていた。

 前に出る。

 剣を構える。

 一体が飛びかかる。

 横にずれる。

 回避。

 そのまま——

 斬る。

 ——バシュッ

 手応え。

 同時に、あの“流れ”。

 乗る。

 魔物が吹き飛ぶ。

 壁に叩きつけられ、動かなくなる。

「一体処理」

 リシェルの声。

 冷静だ。

 だが——

 次が来る。

 二体、三体。

 数が多い。

「後ろ!」

 ユージンの声。

 レオンが振り向く。

 死角から一体。

 迫っている。

 間に合わない——

 その瞬間。

 地面が凍る。

 ——バキッ

 魔物の足が止まる。

 動きが鈍る。

「今」

 リシェル。

 レオンは迷わない。

 踏み込む。

 斬る。

 二体目、撃破。

「いい連携だ」

 ユージンが言う。

 同時に、淡い光がレオンを包む。

 体が軽くなる。

 傷はない。

 だが、感覚が整う。

「回復ならまだ必要ない」

「軽い補助だ」

 余裕のある返答。

 だが——

 レオンは気づく。

(……噛み合ってない)

 戦えている。

 問題なく。

 だが——

 完璧じゃない。

 自分は“流れ”で動いている。

 反応。

 直感。

 ユージンは“状況”で動いている。

 全体を見ている。

 リシェルは“最適”で動いている。

 無駄がない。

 三人とも違う。

 だから——

 微妙にズレる。

「左、もう一体」

 リシェル。

 レオンは動く。

 だが一瞬、遅れる。

 その隙に、魔物が踏み込む。

 ——ガッ

 肩に衝撃。

「……っ!」

 体がよろける。

 すぐに、ユージンの光が走る。

 痛みが引く。

「大丈夫か」

「……ああ」

 レオンは剣を握り直す。

(……遅れた)

 わずかなズレ。

 それが、当たる。

 リシェルが一歩前に出る。

 氷が走る。

 敵の動きを制限する。

「前に出すぎ」

 短く言う。

「分かってる」

 レオンも短く返す。

 だが、その言葉とは裏腹に——

 体はまた前に出ようとしていた。

 染みついた動き。

 一人で狩ってきた癖。

 それが——

 “連携”と噛み合わない。


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