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低性能悪役令嬢は逃げられない  作者: 音音


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1/3

悪役令嬢のスペック低下中

 死んだ。

 転生した。

 以上!


 それで済ませられたら、楽だっただろう。

 もしくは、転生前の記憶が蘇らなければ。


 王太子妃としての教育を受けている中。

 ピシリ! という鞭の音で私は転生前の記憶を思い出した。

 思い出してしまった。


 セフィラ・アンドロネス公爵令嬢。

 現在十二歳。

 第一王子と婚約が結ばれたのは十歳の春。

 王太子の決定はされていないが、正妃の子であり、第二王子がまだ赤子であり同腹である事。

 第一王子にさしたる問題も見受けられないことから王太子となることが確実となっている為、公爵令嬢という身分と、幼い身ながら優秀さを見せたセフィラを王家が望んだ結果に結ばれた婚約。

 王太子となるであろう第一王子には気心が知れ、信頼の置ける側近が必要と、第一王子の教育は現時点で最低限。

 今は側近候補の子息との交流が優先とされたため、自分の有能さを示し、王太子の教育にも関わりたい教師陣によって、王妃となることが確定しているセフィラへの教育は熾烈となった。

 淑女教育から政治、国家運営、他国の情勢と教育内容は多岐にわたるため、教師の数は少ないときでも三人。

 長年王家の教育に携わり、最初から歴史分野で王太子の教育に関わることが決まっているエドワンド卿と淑女教育分野を担当するため王太子教育に関わることが基本的にないマーガレット夫人の二人は、セフィラに年相応の、とはいえ公爵令嬢であり第一王子の婚約者として侮られない程度には他の貴族令嬢よりも一歩進んだ教育を施してはいたが、他の教師陣は年相応以上の知識を身につければ身につけるだけ自分の評価が上がるとして教育が始まった頃から詰め込むように教育をし、結果、個々に出される課題が重なり王立の学園に通う生徒でも音を上げそうな課題がセフィラへと与えた。

 早い段階で、セフィラが無理だと出来ないと声を上げれば状況はまた違うもになったかもしれない。

 その年齢の子女に与えるには度が過ぎた教育内容であったのだから教師陣も我に返りエドワンド卿やマーガレット夫人のように一歩進んだ教育を施す程度で落ち着いた可能性もある。

 だた、その声を上げるにはセフィラは優秀すぎた。

 そして教師陣も進度が速いだけで順番立てて教育を施していたためセフィラは負担を感じながらも吸収することができてしまったのである。

 しかし、いくらセフィラが優秀だとはいえ、まだ子供であり体力的にも能力的にも限界はくる。

 教育として割り当てられている時間のみであればセフィラも耐えられたのだが、進むにつれ与えられる課題の量も増え、その日に学んだことを復習する時間を確保もできなくなってくる。

 必然的に削られるのはセフィラの休憩時間や睡眠時間。

 せめて教師陣が連携をとっていればセフィラに与えられる課題の量も把握し調整をとっただろうが、

 教える科目は違えど、彼らは互いをライバルと見てしまい逆に競い合った。

 教育の内容は王妃に報告がいっていたが、そこにはセフィラに課された課題の量など記されることは無い。

 報告されるのは教育の進度。

 否定的な結果であれば、どの程度の理解度なのかと王妃も問うただろうが、優秀な結果を出されていますと報告されれば、王妃自身が当時に受けた教育同様年齢に合わせた内容の大枠の部分だと考えているため、理解度はどれくらいなのかと問われる機会は失われた。

 実際は、大枠ではなく年齢以上の細かい部分までセフィラは詰め込まれていた。

 詰め込まれる教育。終わらない課題。削られる睡眠時間。

 せめて生家である公爵家で普段から過ごしていれば課題の量の異常さに両親に気づかれることもあったが、王子妃教育という名の王太子妃教育が婚約とともに始まるのと同時に月の半分以上を王宮で過ごす事になる。

 それでも、公爵家へと戻る日が前もって決められていたことでセフィラは持ちこたえることができていた。

 教師陣は王太子妃、王妃となるのだからこの程度の教育は当たり前だという態度で接してくるためセフィラもできることが当然なのだと頑張るしかなかった。

 しかしそれも持ち帰りとされる課題が積み重なり公爵邸へと帰ることもままならなくならば休息の時間もなく追い詰められミスも多くなる。



 純粋なセフィラであれば、疲労を隠し、短鞭(たんべん)に腕や手の甲を打たれる痛みに耐え頑張っただろう。




 でも、私は違う。


 間違いにピシリと手の甲を短鞭(たんべん)で打たれた私は、羞恥心など捨てて大声で泣いてやった。

 ふふん。


 婚約者の第一王子と側近が飛び込んできたのは驚いたが、これで誤魔化せなくなったのだからラッキーだったと思っておく。


 ✤✤✤✤✤✤


 結果、エドワンド卿とマーガレット夫人以外の教師陣は更迭された。

 ざまぁみろ。

 エドワンド卿とマーガレット夫人には謝られた。

 こんなになる前に気がつくべきだったと。









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