#1 僕は叔母を異性として見ている
小さい頃に両親を事故で亡くした僕にとって叔母の上川真奈美は親代わりでもあった。
僕と叔母は同じマンションの一室で二人暮らしをしていた。叔母も昔は伴侶がいたけど、色々あって別れてしまった。似たような境遇だから十年以上も同棲できるかもしれない。
けど、ここ数年僕にある変化があった。叔母の事を『親代わり』から『女性』へと意識するようになった。初めて出逢った頃より歳を取っているはずなのに、重ねれば重ねるほど魔法みたいに綺麗になっていたからそう思うようになったのだろう。
いや、一番は叔母の魅惑的な肉体に気づいたからかもしれない。叔母は若い頃にグラビアアイドルをしていた。写真集を見ていても、水着からこぼれ落ちるほどの豊満な胸をこれでもかと強調させて、読者を煽動させている写真を何度か見たことがある。
今日もその写真を見て愛を深めようとしたが、叔母に朝食の催促を受けてしまった。
慌ててリビングに向かうと、叔母がエプロンをして僕を出迎えてくれた。横向きの姿だったため、胸の突き出ている部分を直視してしまい、危うく理性が飛ぶ所だった。
「おはよう、智」
「おは、おはよう。叔母さん」
叔母にいつも通りに挨拶をした後、すぐさまテレビのニュースに視線を移して、なるべく目を合わせないように椅子に座った。
「じゃあ、食べようか。いただきます」
「い、いただきます……」
今日の朝食はトーストにスクランブルエッグウインナー。切り分けたゆで卵が乗っかったサラダにヨーグルトまであった。叔母も忙しいのにこんな丁寧な食事を作ってくれると思うと、欲情から食欲へと転換させてがっつくように食べた。
「どう?」
「も、もももももっ!」
「はいはい、美味しいのね。分かったわ」
ふと叔母と目があってしまった。写真の時よりは少しだけ目元が膨らんでいたりしていたが、艷やかな唇に筋の通った鼻は今でも変わらない。
「ん? どうしたの?」
「……ゴクン。な、なんでもない」
僕は誤魔化すように牛乳を飲んだ。
「今日は遅くなるから夕飯、冷凍庫にあるからそれで電子レンジでチンして温めてね」
「うん、ありがとう。雑誌の取材?」
叔母はグラビアアイドルを引退した後も芸能活動を続けている。CMやバラエティ番組に出演しているのを見ると、身内だからなのか分からないけど、何だか誇らしくなる。今日もその美貌の秘訣の取材を受けるのだろう。
「うーんとね。撮影なんだけど」
危うく牛乳を噴き出しそうになった。撮影という二文字には二通りの意味がある。いや、どっちにしてもセンシティブな事に変わりはないのだが。
「えっと、しゃ、写真集?」
「うん。そうなの。変だよね。なんか事務所が出した方がいいって強めに説得させられて
でも、まぁ、その分貰えるものも大きいから……でも、こんなオバサンの身体を見ても誰が喜ぶのだか……ねぇ?」
叔母はそう言って溜め息をついた。僕は『そんなことはないよ』と声をかけたかったが、グッと堪えた。
叔母ほど魅惑的な人はいないと僕は思う。現役の時と比べてみると間違いなくサイズが大きくなっていると思う。胸がエプロンからはみ出ているし。
でも、垂れている訳ではない。むしろ膨らんでいるような気がする。かといって、三段腹が目立つような体型にはなっていない。脂肪は全部胸の方で蓄えられているのだろう。
いや、お尻もあり得るか。こないだふと叔母が掃除をしていた時にパツパツのデニムのジーンズを突き出していた時は思わず抱きつきそうになった。
本当にどうして叔母の夫はこんな魅力的な人と別れたのか、信じられない。
「智、手が止まっているよ」
「あ、う、うん!」
僕は妄想の世界に入るあまり、食事を中断していた。慌てて残りのトーストをモグモグ食べて完食させると、「ごちそうさま」と言ってトイレに急いだ。




