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第二話 第二の人生?

 あれから俺は自分の身体を何度かチラチラ見ては、この非現実的な状況に対して募る不満をぶちまけていた。

 まぁ口が無いので声には出せないのだが、それでも俺は心の中でこの行き場の無い不満をぶちまけなければ気がすまなかった。



 あぁ~モテる為に俺が頑張って地味に鍛えていたナイスボディーがぁぁー‼。

 爽やかスマイルのイケイケなフェイスがあぁぁー‼


 てかさ、目が冷めたら身体がヘドロの塊みたいになる事なんてあるのか?

 いや、普通はねぇーよな。

 そんなジョーダンみたいな事あってたまるか‼

  

 俺は再度自分の体を確認する。

 そこには先程から何度見ても変わらないスライム状の液体でドロドロしている体があった。


 はぁ。

 やはり何度見ても俺の体はヘドロの塊みたいになってしまっている。

 

 

 あーー!これはきっと悪い夢だ!そうに違いない‼きっと今俺は病院に運ばれてベットの上で悪い夢を見てるんだ。

 そうに違いない‼

 ハハハ!ならそんなに焦る必要もないな!


 なんて俺はこの現状が夢だと半ば強引に決めつけることでこの訳が分からない珍事件を片付けようとした。


 これは仕方無くないと思う。

 目覚めたら自分の身体がヘドロの塊になってました!なんて誰もが何だこれ⁉とパニックになると思う。

 俺が夢だと思うのも当然じゃない?


 そんなこと考えていた俺は視界に映る周りの人達がちらっと視界に入り、視線を自分の身体から周囲の人達に向けた、途端にある事に気づいた。


 あれ?なんか俺の周りの人達の動きがスローに見えるんだけど……どうなってんのこれ?


 急に皆さんパントマイムでもしたくなったのかな?ここにいる人達に皆で息を揃えてパントマイムなんてレベル高いことするなぁ~。


 俺はスローモーションな周りを見ながらの改めて思う。

 マジで目覚めてからの俺はおかしな事ばっかだ。


 見知らぬ場所で胡散臭い奴らに囲まれ、気付けば俺の身体はドロドロのヘドロになっているし、挙句には周りの人達が一斉にスローに見えるとか一体どうなってんだよ。

 マジで誰かこの現状を説明できるものならして見せてくれ。


 その時俺はそう不満をもらした。


 それはこの訳が分からない現状に対してお手上げ状態だった俺からの軽い愚痴の様なものに過ぎなかったのだが、その声は(田中 勇太)のその不満や疑問に応じるが如く、どこからともなく唐突に語りかけてきた。


 《現在普段よりも体感時間を長く感じるのは、Sスペシャルスキル『思考する者』が発動している影響で知覚速度が100倍になっている為です。》


 うぉ!?

 ビックリしたー!

 なんか突然誰かが俺に対して話しかけてきたぞ?

 Sスペシャルスキル『思考する者』の影響?

 知覚速度が100倍?


 何言ってんだ??


 てかこの心に響くような声で俺に話しかけてきたやつは一体誰なんだ?ウーズなんとかって説明してくれたのも声質的に多分同じ奴なんだろうけど。


 一体お前は何者だ? 


 《疑問に対し答えを開示します。今疑問に返答しているのはSスペシャルスキル『導きの星』の能力1つ、星の声による効果です。使用者の意識が戻り魂と肉体が完全に馴染んだ事により能力の使用が可能となりました。》 

 

 ヘ、へぇ~。

 星の声ね~。

 魂と肉体?なんの事だ?

 てか俺、やっぱりあの時死んじまったんだな。

 そんでもって夜空のお星様のとこに来ちゃったてことかぁ〜ハハ。


 まぁ今はそれは少し置いといてさっきからなんちゃらスキル『思考する者』だの『導きの星』だのスキルってなんだ?

 死後の世界にはゲームや漫画の世界みたいにスキルや魔法なんてものが存在するってのか?


 《お答えします。この世界にはスキルや魔法と言ったものが多種多様に存在し、それを行使する事によりこの世界の均衡を保っています。》


 なんと、この世界にはおとぎ話やゲーム漫画の様にスキルや魔法と言った非科学的な事が当たり前に存在する世界らしい!なんとも信じがたいな。


 《スキルについてですが(田中 勇太(たなか ゆうた))のステータスを閲覧しますか?YES/NO》


 ステータスなんてものもあるのか、マジでゲームや漫画みたいだな!

 当然YES!


 《ステータス閲覧要請受諾しました。(田中 勇太)のステータスを開示します。》


 そう声が聞こえ終わるのと同時に、俺の脳内にアイコンが浮かんだ。



 ステータス

  名前 旧:田中 勇太

     現:なし

  種族:ウーズ

  称号:なし

  魔法:未獲得

Sスペシャルスキル

・『導きの星』


  星の声:自身の思った疑問や知りたい事に対し、解析、分析、鑑定を行使したり、情報を開示する。さらに魔法等を行なう際の詠唱をしなくてもよくなる。


  星の輝き:自身に対し悪しき感情を向けるものに対し激しい恐怖を煽るオーラを放ち、逆に自身に連なる者たちに対して星の導きが与えられるだろう。

 発動中は魔法攻撃に対する極小耐性や、精神、魂等への攻撃に対しても耐性が付与される。


・『思考する者』

 

  思考加速:通常の100倍にまで知覚性能を上昇させることができる。


  多重思考:複数の事を同時に思考する事が可能になる。


  予測結果:任意対象に対して現状を分析し、

その後の予測を立てる。


  分析:任意対象を分析する。


・『あやふやな者』


  曖昧なヤツ:解析、分析、または鑑定を自身が受けた時、結果がランダムに変化する。


  形状変化:自身または意志のない無機質な物の形状を自由に変形させる事が出来る。


  変質化:任意対象の性質を変化させる事が出来る。


固有スキル

・『捕食』


  捕食:任意対象を体内に取り込み解析、吸収する。捕食の成功率は任意対象の意志の有無やエネルギー量に比例する。


  胃袋:捕食で体内に取り込んだ物を収納しておく事が出来る。


・『ウーズボディー』:強酸性の粘着質な物質で構成されている不定形な身体。物理的攻撃には耐性をもつ。


スキル

・『強酸』:酸性度の強い酸を生成する事が出来る。


耐性:物理攻撃耐性L

   腐食耐性L

   痛覚無効




 《以上が現状の(田中 勇太(たなか ゆうた))の主なステータスです。》


 へぇ~。俺はこんなに色々わけわかんない能力を持っているのか。


 目が覚めて気づいたら俺のナイスボディー!が、こんなヘドロみたいなウーズボディーなんて意味分かんないやつに変化しただけでなくこんなにも沢山の変な能力を手に入れてしまったわけだ俺は。


 なんとなくだか理解してきたぞ。

 多分だがこの状況、俺は知ってる。


 漫画や小説などでよくある俗に言う異世界転生ってやつかもしれない!

 だとしたら、やっぱり俺、死んでるのかも。


 《その通りです。旧個体名(田中 勇太)は一度死に、偶然にもこちらの世界とリンクした事により異世界転生したものと思われます。

 ただその際旧個体名(田中 勇太)は身体構築を行なう段階で第三者からの魔術干渉事により身体構築をする事が叶わず、そのままでは世界の狭間でただ消滅してしまうところでした。

 なのでこちらで魂の波長が一番近いと思われる種族名:ウーズに身体を再構築する方法を実行いたしました。

 以上が疑問に対しての回答となります。》


 やっぱり俺死んで異世界転生なんて漫画や小説みたいな事になってるんだな。


 まぁ、それはしょうがないな。

 正直薄々気が付いていたし。

 ただ俺は、事実を受け止めるのが怖かったんだ。

 自分が死んでしまった事を認める事が。

 目覚めたら急に自分の身体がよく分からないものになってた事が。

 だって認めてしまったら真実になってしまうような気がするだろう?

 だからもしかしたら夢かもしれない、目が覚めれば病院のベットの上なんだ、なんて思い込んで現実から目をそらしたんだ。


 だけどもう認めよう、俺は死んだんだ。

 そして異世界転生なんてしてしまった。

 文字通り第二の人生ってやつだ。

 あれ?人じゃ無いから人生じゃないか。

 ウーズ生?

 んじゃーウーズ生ってやつだ。

 なら終わったことをうじうじと考えてないで死んでしまったもんは死んだって割り切って、今世は思いっきり好き勝手に生きて悠々自適なウーズライフを謳歌してやろうじゃないか!

 この身体で生きていけるかは謎だけどな。



 なんて俺は割り切ったはいいが本当は1つだけ心残りがある。

 俺の魂の波長の件だ。

 俺の魂の波長ってこのヘドロの塊・・・ウーズって言うんだっけかな?

 こんなやつと同じくなのか?

 嘘だろ?

 何かの間違いだろ。

 俺の魂は気高く力強い、例えばそうだな・・・ドラゴン!

 そう!ドラゴンの魂と似ているとか言われても全然俺は疑問に思わないんだが?

 あらら?

 むしろそうとしか思えないのだが?

 そうだ!ドラゴンだろ!

 どっからどう見てもドラゴンとしか考えられない。

 うん、間違いない!


 《……………。》


 星の声が何か言おうとしてる気がするのだが、気のせいか?


 てかそもそもコイツが俺の身体をこんなんにしてくれた犯人だったわけで。

 消滅から救ってくれたのは良かったけどもうちょっとどうにか出来なかったのかな?ウーズって見た目がグロテスクだし確か某ゲームでもスライスとかのモンスターと同列の扱いの雑魚だった気がする。

 てか可愛さがなくただただグロい分こちらの方がスライム以下とも言える。


 それに私生活するにも手足口鼻無いんじゃ支障きたすでしょうに。

 しかもマイハンドもねーし。

 マイハンドないとかどうやってシェイクすればいいんだ?俺には相手なんかいないんだぞ?

 

 あーあ、そういうとこちゃんと考慮して欲しかったよなぁ〜、ちょっと!星の声さん?考えが甘いんじゃないの?

 あぁ~、やっぱ格好いいドラゴンが良かったなぁー。


 《…………。》


 また星の声が何か言おうとしてる気がする。

 気のせいかな?気のせいだろ。


 そんなこんなでウーズに関してブーブー行っていた俺は、思考加速のせいで時間感覚が麻痺していて、周りに人がいる事をすっかり忘れていた。

 そして気づいときには時すでに遅し、てな具合だった。

 だって、

 既に俺の事を取り囲んでいた数人が俺に接近しており剣や斧をスローモーションで振り下ろす瞬間だったのだから。


 あっ、ヤベ!


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