33、ナンパ師が現れました
橘 信司は悩んでいた。
最近、ナンパ目的の男性が来ていたからだ。
名前はヒカリと言った。
ヒカリは今日も来ている。
「ヒカリ様、他のお客様にお声をかけるのはお止め頂けますか?」
「えー!? 他にも話してる客いるじゃん?」
ヒカリは唇を尖らせて、文句を言った。
「ねぇねぇ、お嬢さん、何読んでるの?」
ヒカリは懲りずに一人で本を読んでいるアリサに話しかけた。
「あの、私は静かに本を読みながら猫ちゃん達を見ていたいんです」
アリサはちょっと怒りながら、ヒカリに答えた。
「あの、他のお客様のご迷惑になるので、お引き取り頂けますか?」
「あれ? そういうこと言っちゃうの? 友達に言っちゃうよ!?」
ヒカリはそう言って、信司にすごんだ。
信司はひるまなかった。
ロイも見かねて声をかけた。
「お客様、ここは猫ちゃん達と穏やかに過ごす場所です。ナンパはお断り致します」
「つまんねえ店だな、分かったよ、二度と来ないからな!!」
ヒカリはそう言って、店を出て行った。
「紅茶一杯で偉そうなお客様でしたね」
ロイはため息をついた。
「紅茶一杯でも、静かに猫様達と過ごしてくださるお客様なら大歓迎なのですが」
信司もため息をついた。
「まあ、客商売だから、いろんな人が来ますよね」
ロイは信司を慰めるように言った。
「猫様の可愛らしさよりも、人間なんかに興味を持たれる方もいらっしゃるのですね」
信司の言葉にロイは曖昧な笑みを浮かべた。




