終わり
「わ、レティちゃんひどい怪我だね、転んじゃったかな」
子供たちに囲まれるトーガ。あの冒険から、五年は経った。は……というのも、リヴィと夕霧は、あの冒険のおかげでできた人脈を辿り、困ったモンスターが出るとその退治に出かけ、その先でまた問題が起きて……の繰り返しで、ずっと旅を続けていたのだ。
そして五年ぶりに立ち寄ったリオンの街。トーガはすっかり保育士として独立していて、なんとフェイも同じ職業を志して勉強しているらしい。
「トーガせんせー、あの人達こっち見てるぅ、怖いよー」
トーガを見るリヴィと夕霧に気がついた子供がトーガを呼ぶ。ニヤニヤと彼を待つ二人。どんな反応をするだろうか。
「ママ、あのお兄しゃんがトーガ?」
三歳程の子供を抱く夕霧。まぎれもなくリヴィの子供だ。名前はトコロス、愛称トコだ。
あれから本当に男女交際をした二人は、普通の恋愛というものがわかっていなかったため旅をしながら自分達なりに愛を育んだ。夫婦喧嘩で街を潰してしまう危機に陥ったりと大変なこともあったが、意外と二人とも子供の世話が好きなようだ。
「そうだよ、トコの先生にぴったりだと思ってね」
不審者を退治せんと駆け寄ってくるトーガ。しかしすぐにリヴィと夕霧、そしてその息子トコロスに気が付いたようだ。
「リヴィ! 夕霧! まったく、久しぶりってレベルじゃないよ? なんか子供できてるし!」
もう、少しくらい連絡くれたっていいじゃん、と怒るトーガ。
「トーガにトコをお願いしようかと思ってね」
リヴィがトーガに言う。トーガの表情が、怒りも忘れてぱぁっと輝いた。
「いいの? オレ、昔からリヴィの子供を生徒にするの夢だったんだ! お母さんも夕霧だし、気合入れて預かるよ!」
任せて、とトーガ。
「頼んだ。で、私の家族はどこ行った?」
両親と薫とも五年程会っていない夕霧。彼女の家族は即決でこちらの世界へ戻ってきたのだ。薫ものびのびと過ごしこちらの世界で楽しく暮らしているらしい。
「夕霧達が出発してからヴィペールに行ったよ。ソラニテが夕霧のお母さんを離したがらなくてさ」
トコはトーガの周りに寄ってきた子供たちと遊び始めている。
「あれ? トコをここに預けるってことは、ここに住むの?」
トーガはすごく嬉しそうだ。
「うん、よろしく」
夕霧も嬉しそうに答え、これからまた楽しい生活が始まるであろうことが暗示されている。
「あぁ、でもモンスター退治はやめないよ」
ばさ、とジャージをはおる夕霧。
もうボロボロで、いい加減捨てなければならないのだが愛着があるジャージ。
「それ着てた方が夕霧らしいや」
くす、と笑うトーガ。
昔に戻ったかのような感覚。ジャージ一つで、あの時の記憶がありありと思い出される。
当時はどん引きで受け入れられなかった職名だったが、今では自信を持って言える。
「ジャージのヒーローだからね」