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破壊者は絆を断ち切らない  作者: 唐紅 那智
『闇色の巫女』
38/53

2-4 闇色の巫女


 PV3000突破! ユニークももうすぐ900です。

 皆様、ありがとうございます!

 



 ロゼに引かれるままに歩き続け、やっと立ち止まったその場所は、シルドラ郊外にある小さな広場だった。

「こんな所に、何の用なんだ?」

 ティアが問うが、ロゼは、何も言わない。ただ、天を眺めている。

 皓々と月明かりに照らされて、全てのものが青みを帯びた銀色に染まる。ティアもつられて天を仰ぐと、蒼い真円の月が光を降らせているのが映った。

ふと、夜風がティアのマントを揺らす。それは、思いの他冷たくて、ティアはロゼに声をかけた。

「ロゼ。風邪引くぞ」

 一歩、足を踏み出す。そろそろ宿をとらないといけない、などと思いながら。


「おつきさま、きれいね」

 ぽつりと、ロゼが呟いた。


「ぎんいろの、おつきさま。…おねぇちゃんのおめめと、おなじいろ」

 ことりと音を立てて。ロゼの声が、地に落ちる。ティアは、その場で凍りついたように足を止めた。


「……それも、創世属性の力で知ったのか?」

 呻くようなティアの声。それは、常と異なり固く、重い。

「ロゼ、みえるの。おねぇちゃん、ぎんいろ、きらい?」

 ティアは、何も言わない。

 嫌いではない。けれど、どうしても好きにもなれない、色。

「ロゼは、ぎんいろ、すきよ?」

 ロゼは、言った。無垢な微笑を浮かべて、ロゼは動けないティアに歩み寄る。

「おねぇちゃん、すきよ」

 小さな腕が、精一杯ティアを抱きしめて…紡ぐ。

「だから…おねぇちゃん、まけないで。

 『せかいがあなたをくるしめても、わたしたちはあなたをあいしている。どうか、まっすぐに、あなたのみちを。わたしたちのきぼうのこよ』」

 ふわりと風が吹き、ティアのフードを捲る。

 月の光の中で、ロゼは語る。何か、神聖な儀式のように…


「……お前、誰だ?」

 かすれた声で、ティアは問う。

「ロゼは、ロゼ。『やみいろのみこ』の、ロゼ」

 ロゼは、答える。


「よるのなかのよる、かみさまのことばをかたるみこ、それが、ロゼのおやくめだよ」


 そうして、ロゼは悲しくなるほど綺麗な微笑を浮かべた。


「やみいろの、みこ…?」

 意味も解らずただ繰り返した、その刹那…ふらり、と、ロゼの体が傾いだ。

「ロゼ!!」

 慌てて手を伸ばし、ティアはロゼの小さな体を受け止める。ロゼは、健やかな寝息を立てて眠っていた。

「おいおい…」

 呆然と呟いて、ティアはロゼを背負う。流石にロゼ程度ならば、ティアでも運べる。

 この広場まで来る途中に、一軒、宿屋があったことを思い出し、ティアは歩き出した。


 ロゼを起こさないように静かに、しかし早足で歩いて、宿につく。時間が時間であったため、不機嫌そうな宿の主人に頼み込み、何とか1部屋取る。ロゼを寝かせて、ティアも寝台に潜り込んだ。

 眠りに落ちるまでの僅かな時間、ティアはセフィを思った。明日はとりあえず、彼を探さねば…。そう考えつつ、ティアは眠りに落ちた。



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