2-4 闇色の巫女
PV3000突破! ユニークももうすぐ900です。
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ロゼに引かれるままに歩き続け、やっと立ち止まったその場所は、シルドラ郊外にある小さな広場だった。
「こんな所に、何の用なんだ?」
ティアが問うが、ロゼは、何も言わない。ただ、天を眺めている。
皓々と月明かりに照らされて、全てのものが青みを帯びた銀色に染まる。ティアもつられて天を仰ぐと、蒼い真円の月が光を降らせているのが映った。
ふと、夜風がティアのマントを揺らす。それは、思いの他冷たくて、ティアはロゼに声をかけた。
「ロゼ。風邪引くぞ」
一歩、足を踏み出す。そろそろ宿をとらないといけない、などと思いながら。
「おつきさま、きれいね」
ぽつりと、ロゼが呟いた。
「ぎんいろの、おつきさま。…おねぇちゃんのおめめと、おなじいろ」
ことりと音を立てて。ロゼの声が、地に落ちる。ティアは、その場で凍りついたように足を止めた。
「……それも、創世属性の力で知ったのか?」
呻くようなティアの声。それは、常と異なり固く、重い。
「ロゼ、みえるの。おねぇちゃん、ぎんいろ、きらい?」
ティアは、何も言わない。
嫌いではない。けれど、どうしても好きにもなれない、色。
「ロゼは、ぎんいろ、すきよ?」
ロゼは、言った。無垢な微笑を浮かべて、ロゼは動けないティアに歩み寄る。
「おねぇちゃん、すきよ」
小さな腕が、精一杯ティアを抱きしめて…紡ぐ。
「だから…おねぇちゃん、まけないで。
『せかいがあなたをくるしめても、わたしたちはあなたをあいしている。どうか、まっすぐに、あなたのみちを。わたしたちのきぼうのこよ』」
ふわりと風が吹き、ティアのフードを捲る。
月の光の中で、ロゼは語る。何か、神聖な儀式のように…
「……お前、誰だ?」
かすれた声で、ティアは問う。
「ロゼは、ロゼ。『やみいろのみこ』の、ロゼ」
ロゼは、答える。
「よるのなかのよる、かみさまのことばをかたるみこ、それが、ロゼのおやくめだよ」
そうして、ロゼは悲しくなるほど綺麗な微笑を浮かべた。
「やみいろの、みこ…?」
意味も解らずただ繰り返した、その刹那…ふらり、と、ロゼの体が傾いだ。
「ロゼ!!」
慌てて手を伸ばし、ティアはロゼの小さな体を受け止める。ロゼは、健やかな寝息を立てて眠っていた。
「おいおい…」
呆然と呟いて、ティアはロゼを背負う。流石にロゼ程度ならば、ティアでも運べる。
この広場まで来る途中に、一軒、宿屋があったことを思い出し、ティアは歩き出した。
ロゼを起こさないように静かに、しかし早足で歩いて、宿につく。時間が時間であったため、不機嫌そうな宿の主人に頼み込み、何とか1部屋取る。ロゼを寝かせて、ティアも寝台に潜り込んだ。
眠りに落ちるまでの僅かな時間、ティアはセフィを思った。明日はとりあえず、彼を探さねば…。そう考えつつ、ティアは眠りに落ちた。




