プロローグ2 旅路にて地理を語る
第2部開始しました。
スティライルは、大きな一つの大陸と、大小数個の島で構成されている。
大陸…そのままスティライル大陸、と呼ばれているのが、ティアたちが今いる場所だ。
ここは、大きな3つの半島が、北側で繋がった形をしている。
「昔、師匠には、『アサガオの葉を、少しいびつにしたような形だ』と説明されたんだが…生憎、オレはその『アサガオ』なる植物を見たことがないので、本当にそうなのかは判断しかねる。ここまでいいか?」
「はい、なんとか…」
頭を捻るセフィの横で、ティアは落ちていた木の枝で、地面に書かれた簡易地図に文字を書き込みながら、続ける。
「3つの半島を、それぞれのある大体の場所から、北半島、中央半島、東半島と呼ぶ。ちなみに、一番広いのは中央半島だ。
北半島全体が、そのままヘルブリーティアである。ここのはっきりしたことは、オレでもよくわからない。そして、北半島の付け根辺りが『名もなき大地』。オレが育った場所だ」
北の半島に線を引いて区切り、名を入れる。
「中央大陸は、大きく4つに分けられる。付け根部分、先端部分、真ん中の西側、東側。
付け根部分が、師匠の家のあるクラウンヴィーレ。
先端部分が、宗教国家とも呼ばれる、神のおわす国、ノーヴィアレナ。
真ん中西側が、最も広い国、エリエルリータ。
東側が、これからオレたちが向かう国、リティレイス」
中央の半島にも、同じく線と名前を書き入れる。
「東半島は、3つに分かれる。付け根、真ん中、先端。
付け根が、さっきまでいた国、ファルマフォルク。
真ん中が、『閉鎖国家』なんて呼ばれるほど、内情がわからない国、テュールハウト。
先端が、目的地であるスフィルリオン」
東の半島に書き入れたあと、最後に残った一つの島に丸をうつ。
「で、中央大陸と東大陸に挟まれた海に、幾つかの島が浮かんでいる。小国サイズの島が一つ、小さな島が幾つか。これら全部が、アクラルーシェっていう一つの国だ」
そこまで一息で言って、ティアは大きく息を吐き出した。
「……ってわけだ。解ったか!?」
心底疲れたように木の枝を放り出す。
「ええと…大体は。
それにしても、よく知ってますね、こんなこと。僕、中央半島にある国くらいしか知りませんでしたよ」
「まあ…普通、そうだな。オレは、その辺り一切合財、何から何まで師匠に叩き込まれたから」
セフィはスフィルリオンの場所を知らなかったようで、歩き始めてすぐ、『で、これからどちらへ向かうんでしょう?』との一言。仕方ないと、道から少し外れた邪魔にならない場所に座り込んで、即席地理勉強会、と相成ったわけである。
「全く。師匠といる内に聞いてくれ、そういうことは。そうしたら、師匠が解説してくれただろうに…。オレは説明は苦手なんだよ」
(……いや、師匠のことだ。オレに説明させといて、後で点数でもつけてきかねない。なら、この方が良かったのか?)
「さて…流石にそろそろ行かないと、今晩は野宿になってしまうぞ」
「あ、もうそんな時間ですか?」
二人は立ち上がる。マントについた土を払い、街道に出る。
「次の町、ってどこでしょう?」
「んー…多分そろそろリティレイスとの国境近くだと思うんだが…そうすると多分ラファルの町か?」
遠くに見え始めた町を目指し、二人はまた歩き出した。




