葬式と策略
「コル……」
アリシアが涙を流す。
俺は、その背中を擦っていた。
雨の中、俺達はコルトの墓に花を置いた。
調査の結果、あの核撃魔法は王国軍の兵士が特攻してきたものと判明した。
上官いわく、コルトを含む歩兵部隊員の遺体は、全て跡形もなく消し飛んだらしい。
「コルト……ごめん……」
俺は何も埋まっていない墓を見ながら言う。
このコルトの死は、軍本部で治療を行っているガレスのもとにも届いた。
ガレスは深く落ち込み、自室に閉じこもっているそうだ。
俺達は、手を合わせることしかできなかった。
葬式が終わり、やがて人々が少なくなってゆく。
「じゃあ、私も帰るね。ちょっと用事があるから……」
「あぁ。じゃあ、また。」
アリシアを見送った俺は、一人で墓地へ戻った。
俺は改めてコルトに手を合わせる。
手に握ってあった懐中時計は、無情にも時を刻む。
「俺のせいだ……ごめん……」
「あの……すみません……」
いきなり後ろから声をかけられ、少々驚いた。
「アルトさん……ですよね?」
そこには、銀髪の老人が2人立っていた。
俺は、一目でコルトの両親だと気づいた。
「うちのコルがお世話になりました。」
「いえいえ、こちらこそです……」
コルトの両親はひどく心を痛めている様子だった。
「あの……コルは……どんな兵士だったのでしょうか……?」
「コルトくんは……いつでも冷静で、みんなを笑顔にしてくれるような、そんな人でした。」
コルトには、本当に感謝と謝罪の気持ちしかない。
「彼は……私の大切な親友でした……」
俺は、兵士としてのコルト、友人としてのコルトについて両親に詳しく話した。
「ありがとうございます……コルは、あなたを素晴らしい友人だと……」
その言葉に、俺は胸を締め付けられた。
「アルトさんが良ければ……これからも、コルの思いを……受け継いでいただけますでしょうか……?」
「もちろんです。コルトは、俺の大切な友人ですから……」
俺は墓を横目に答える。
「ありがとう……ございます……」
コルトの両親は、その場で泣き崩れてしまった。
俺は、とても大切な戦友を、失ってしまった。
だが、何故か涙は出なかった。
俺は、仲間の死に慣れてしまったのだろうか……
「そうか……彼の戦友が、か……」
モーリスは葉巻を片手に呟く。
「それにしても、王国があの禁術を使うとはね……」
秘書から書類を受け取ったモーリスは、葉巻を口に咥える。
「核撃魔法……王国も本気というわけでしょうか……?」
「そうだろうね。まさかボクも彼らが禁忌を犯すとは思いもしなかったよ。」
モーリスは書類をペラペラと仰ぎながら、椅子を回す。
その顔は、笑顔に満ちていた。
「嘘ですね。その顔をする時は、絶対に自分の思い通りにことが進んだときです。」
「あちゃ〜 バレちゃったか〜」
モーリスは葉巻を灰皿に打ち付ける。
灰が細い煙を立てていた。
「予想通り、ではあるね……これからが楽しみだ。」




