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そう言ったジョンの姿が瞬時に、かき消えた。
陽はすっかり落ちて、辺りは完全に暗くなっていた。
見上げると夜空に満天の星が輝いている。
この中にジョンの星もあるのだろうか?
私は家の中に戻り、これからのことを考えた。
翌日になっても私の視力は失われなかった。
久しぶりの視力を私は堪能した。
時間は過ぎ、夕方になった。
夕陽が家を照らし始める。
私は庭に出て、昔、父とそうしたように地平線に沈んでいく太陽を眺めた。
それは言葉では言い表せない美しさだった。
ジョンが正しければ、この景色は、もう二度と見られない。
地球最後の落日だ。
そう思うと私はセンチメンタルな気持ちになり、いつしか両眼から流れ出た涙が頬を濡らした。
「やあ、マイク」
ジョンの声がした。
振り返ると、銀色に輝く彼の姿があった。
「泣いているのか?」
ジョンの言葉に私は涙をぬぐった。
返事はしなかった。
認めてしまえば、もっと泣いてしまうに違いない。