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私の問いかけに、今度はジョンが頷いた。
「我々は実は、ずっと君たち…人類を観察していた。我々の星のルールで他の生命体の文明には無闇に干渉してはならないのだよ。ただ、見守るのみ」
「なるほど」
「ワタシたちは進歩した科学によって、未来を見ることが出来る」
突然、正体を明かした宇宙人が、今度は未来予知が可能だと言いだした。
ますます、夢のようだ。
私は黙って、ジョンの話の続きを待った。
「もちろん、超能力的な意味ではなく、地球人がするのと同じ、データや推測に基づく予想だよ。ただ、我々は君たちよりも分析できるデータや能力が優れているので、的中率は限り無く100%に近い」
「………」
「その未来予知によると、この星の君たちの文明は明日終わる」
「終わる? それは人類が滅ぶという意味なのか?」
私は急速に、口の中が乾いていくのを感じた。
ジョンの言う人類の滅亡とは、もしや…。
「そうだよ。人類は明日、自らの開発した核兵器によって滅ぶ。核戦争だ」
やはり。
大統領は、ついに破滅へのボタンを押し、敵の共産主義国家もそれに応えるということなのか。
人類は越えてはならないラインを越えてしまうのだ。
「君たちが蓄えた強力な核兵器は地面の奥深くにあるシェルターさえも破壊し尽くして、全ての人類は死に絶える。地球は生命が何ひとつ居ない、死の星になるのだよ」
最近の社会情勢を見て、いつかこんな日が来るのではと思ってはいた。
人類は恐ろしく愚かだと自ら証明するのか。
「2ヶ月前に、この結果を知った我々は決断した。地球の行く末と人類の終焉に干渉するのは難しい。我々が決めたルールを破ることになるからだ。ルールは厳格だ。しかし、人類が完全に滅んでしまうのを見過ごすのは、あまりに忍びない。そこで核戦争の前に我々と感性や精神、倫理感等が近い人間を救い出そうと決まった。そしてワタシは助ける対象として、君を選んだのだよ」
ジョンが私の顔を指差した。