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魔物襲撃 その1

魔物が襲ってきました

魔物が来た。

そんな知らせを聞いたアークは、迅速な行動をした。まず、守るべき子供や女性、お年寄りを一か所にまとめることを指示した。場所はいつも勉強している教会である。

シルヴァたちは知らなかったが、教会の地下には避難場所がある。村の守るべき子供、女性、お年寄りをかくまってもまだまだ余裕があるレベルである。

そこにシルヴァを含めた子供たち全員、冒険者として出ていない女性、あまり動けなくなったお年寄りが地下に連れていかれた。

シルヴァはラーラが地下に居ないことを不思議がっていたが、ミケ先生が教えてくれた。

ミケ先生いわく、ラーラを主とする元冒険者の女性が守備隊とし、教会を拠点に守り、アークを主とする攻撃隊が魔物を狩るとのことである。


魔物


正直日本に生まれ育ったシルヴァには聞きなれない言葉であり、恐怖すら感じていた。


そんな中で両親揃ってメインで活躍するポジション…。万が一を想像したら、恐怖で震え始めたのが解った。


どうしよう…。後悔したくない…。でも、俺が行って逆に殺される可能性が非常に強い…。


そう考えていると、目の前に人影が…。


「大丈夫。きっとお父さんとお母さんは無事に帰ってくるよ。だから、少し休もうよ。」


人影がいつの間にか背後に周り、俺をギュッと抱きしめてくれている。

あれ?いつの間にか震えが止まったのに気が付いた。

後ろからは「大丈夫だからね。」と少年にしては少し高めの優しい声がずっと聞こえてくる。

この俺を包み込んでくれている両手。見覚えがある。最近一緒に朝ご飯を食べている、そしてアークとの剣の練習でいつも剣を握っていて、最近皮が剝けて痛がっていた手だ。

後ろを見ずともわかる。


アポロだ。


「アポロありがとう。もう大丈夫だよ。そろそろ離してよ。」と言い、両手を握りしめてあげた。


アポロは両手を外し、前に来た。いつも見せてるはにかんだ笑顔だ。

「本当に大丈夫?無理しないでね。何かあったらみんなで辛さを分かち合おうよ。」と言ってきた。ふと周りを見ると、アポロ以外にもギームとベルクが居た。

アポロの家は父親が居ない。父親はアポロが産まれる少し前の魔物襲撃の時に亡くなったそうだ。ギームとベルクは父親もいろいろな事情から戦えないので、この地下に居る。両親揃っていないのはごく一部の家だけだ。そんな中でみんな俺のことを心配してくれた。


俺は後悔したくないんだろ?

俺は何の為に訓練したんだ?

俺は大切な者を亡くしたくない!


そう思い、皆に「ちょっと出かけてくる」と告げ、地下から出ようとした。

その時だ。

ミケ先生が俺に気づいてしまい、入口を塞いできた。

「先生退いてください。俺は今から行かないと後悔すると思うんだ」そう告げると先生は「あなたの両親から皆を守るようにと言われています。なので、行かせるわけには行きません。どうしても行くというなら私を倒してから行きなさい。」そういうと普段の物腰穏やかな先生から想像出来ないくらいの殺気を感じた。

先生も強者で、皆を守るために居る。だけど、俺は外に行かないと後悔する。ならばどうする?


先生を倒して行くしかない!


そう思うと俺から殺気を感じたのか。先生は臨戦態勢に入っていた。ただし先生は武器として持っていた剣を捨て、木刀に切り替えた。万が一にも怪我をしないようにするためだろう。

俺は武器を持っていない。

先生はなめられていると思ったのか、一気に俺との距離を無くしてきた。そう、剣の間合いにしては近すぎ、柔道の間合いにはちょうどいいくらいの距離である。

先生は加減をしたのだろう。それとも気を失わせる位なら木刀の柄の部分で十分だと思ったのだろう。恐らく投げるという習慣がないからだろう。なんにせよ殺気の割には隙が有った。


チャンス到来


まさに俺の頭の中にはその言葉が出てきた。

先生の柄の持った右手の袖を左手でもち、右手は相手の右手に巻き付かせるイメージ。そのまま勢いを利用し相手を投げる。


伝家の宝刀(一本背負い投げ)


先生は投げられ、俺は先生の木刀を奪い、あっけにとられている先生の首に木刀を突き付けた。

「先生、怪我をさせたくないので俺の自由にさせてください。よろしくお願いします。」

そういうと、先生は殺気のない笑顔になり「あそこまでされたら負けね。でも、表に出るには武器が必要よ。武器はどうするの?魔物は今みたいな事出来ないわ。」と言ってきた。


しまった!


武器の存在を忘れていた。

そう思っていたら、ギームが近づいてきた。右手に布に隠されたものを持って…。

「実は父様にアークさんが依頼していた剣だ。サイズ的にシルヴァへのプレゼントだと思う。」そう告げて渡してきた。

布の中には剣が一本有った。長くまっすぐな両刃の剣、普段使っている木刀より少し長い剣。だけど手元はしっくりくる。

ニマニマとみていると先生が

「この村には風習として8歳の誕生日に剣などの武器と胸当てをプレゼントし、16歳で一人前の誕生日を祝う風習があると先日の授業で教えたよね。もちろん覚えていると思うけど。でも、アークさんは、シルヴァの才能を感じ、皆より早くプレゼントする気だったみたいね。」と笑いながら言っていた。

授業聞いていなかったので記憶にありません…。そうは言えなかった。

武器のお礼をギームに言うと、ギームの左手にはもう一本有った。

「これは親友(シルヴァ)に対する俺からのプレゼント。父様みたいに巧くないが、気持ちは込めた。この剣は片刃なので、そこだけ気を付けてくれ。」と言われ、小さい剣をくれた。


それは見覚えがあった


昔の俺の相棒の包丁にそっくりなのである。刃の長さこそ若干長めだが、それは研いでいない新品くらいの長さ、柄の木の部分もそっくりだ。違うのは、剣としてで作られたため、刃の部分にカバーがついている位だ。


「ありがとう」


そういい、俺はプレゼント2個を貰い、表に向かっていった。

というわけで、魔物襲撃になります。

次に続く流れになります。

気になるかと思いますが、次の話期待しないで待っていてください…。

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