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第0話 世界が生まれた日、俺は異世界に巻き込まれた

# 第0話 世界が生まれた日、俺は異世界に巻き込まれた


 その日、俺はいつもと変わらない一日を過ごしていた。

 朝起きて、仕事に行き、決められた作業をこなす。

 帰宅すれば食事を済ませ、風呂に入り、明日の準備をする。

 四十七歳。

 特別な才能があるわけでもなく、人生を変えるような大きな夢があるわけでもない。

 ただ、明日も今日と同じように過ぎていくのだろう。

 そんなふうに思いながら、俺は夜道を歩いていた。

 空には雲が広がり、街灯の光が濡れたアスファルトを照らしている。

 雨が降ったわけではない。

 帰り道に立ち寄った店を出たときには、地面は乾いていたはずだ。

 それなのに、足元だけが妙に濡れている。


「……なんだ、これ?」


 立ち止まり、靴の裏を確認する。

 水たまりを踏んだ覚えはない。

 顔を上げると、街の景色がわずかに歪んでいた。

 陽炎のような揺らぎ。

 だが、季節はまだ暑さの残る時期とはいえ、夜の路上に陽炎が立つ理由はない。

 目をこすり、もう一度見直す。

 景色は元に戻っていた。


「疲れてるのかな……」


 最近、仕事の疲れが抜けにくくなっている。

 年齢のせいか、それとも単に体力が落ちただけなのか。

 いずれにせよ、今日は早く寝たほうがよさそうだ。

 そう考えて歩き出そうとした、その瞬間だった。

 ――世界が、鳴った。

 音というより、感覚に近かった。

 耳で聞いたわけではない。

 頭蓋骨の内側から、何か巨大なものが響いたような感覚。

 空気が震え、視界の端に無数の光が走る。


「なっ……!?」


 思わず後ずさる。

 道路も、街灯も、向かい側の建物も、すべてが一瞬だけ透明になった。

 その向こうに見えたのは、星だった。

 無数の星々。

 見慣れた夜空とは違う。

 地上から見上げる空ではなく、宇宙そのものを外側から眺めているような光景だった。

 その中心で、光が膨らんでいく。

 ひとつの光が、無数の光へ。

 無数の光が、広大な空間へ。

 そして、何もなかった場所に、星々が生まれていく。

 俺は息をすることすら忘れていた。

 何が起きているのか、理解できない。

 ただ、それが人間の手で起こせる現象ではないことだけは、嫌というほどわかった。

 やがて、光景は急速に遠ざかっていく。

 星々の間に、青い惑星が見えた。

 海と大地。

 雲に覆われた空。

 遠くから見れば、地球によく似た星だった。

 だが、その惑星を認識した瞬間、俺の胸の奥で何かが反応した。

 理由はわからない。

 懐かしさでも、恐怖でもない。

 もっと根源的な、存在そのものを揺さぶられるような感覚だった。

 ――見つけた。

 誰かの声がした。

 いや、声ではなかった。

 言葉が直接、意識の中に浮かび上がったのだ。

 誰が言った?

 何を見つけた?

 問いを形にするよりも早く、足元に黒い亀裂が走った。


「うそだろ……!」


 反射的に飛び退こうとする。

 だが、身体が動かなかった。

 亀裂の向こう側から、強烈な力が俺を引っ張っている。

 踏ん張ろうとしても、靴底が地面を捉えない。

 まるで、俺の身体だけが世界から切り離されようとしているかのようだった。

 視界が暗くなる。

 街灯の光が遠ざかる。

 最後に見えたのは、いつもの街並みだった。

 何も変わらない道路。

 誰もいない歩道。

 俺がつい先ほどまで立っていた場所。

 そこには、俺の姿だけがなかった。


     ◇


 どれほどの時間が過ぎたのか、わからない。

 意識が戻ったとき、俺は硬い地面に横たわっていた。


「……う、ぐっ」


 身体を起こす。

 頭が痛い。

 服はそのままだし、財布もスマートフォンもポケットに入っている。

 どうやら、身体の一部だけがどこかへ飛ばされたわけではないらしい。


「ここは……どこだ?」


 周囲を見渡す。

 そこにあったのは、見覚えのない森だった。

 背の高い木々が頭上を覆い、葉の隙間から青白い光が差し込んでいる。

 空は、先ほどまで見ていた夜空とは違っていた。

 薄紫色の雲。

 見慣れない配置の星。

 そして、地平線の向こうに浮かぶ、淡い光をまとった巨大な月。

 いや、月なのだろうか。

 大きさも色も、地球から見るものとは明らかに違う。


「……夢、じゃないよな」


 頬をつねる。

 痛い。

 もう一度つねる。

 やっぱり痛い。

 夢なら覚めてくれ。

 そう願っても、景色は変わらなかった。

 スマートフォンを取り出す。

 画面は点灯した。

 時刻表示もある。

 だが、電波は圏外。

 地図アプリを開いても、現在地を取得できない。

 当然だ。

 こんな場所、日本のどこを探しても存在するはずがない。


「落ち着け……まずは状況を整理しよう」


 自分に言い聞かせる。

 何らかの事故に遭った可能性は?

 いや、あの光景は何だったのか。

 突然、世界が透けて、宇宙が見えた。

 そのあと、足元に亀裂が生まれ、身体が引っ張られた。

 説明できるものなど、ひとつもない。

 それでも、考えるのをやめるわけにはいかなかった。

 まずは人のいる場所を探す。

 誰かに助けを求め、現在地を確認する。

 帰る方法を探すのは、それからだ。

 そう決めて歩き出そうとしたとき、森の奥から物音がした。

 枝が折れる音。

 続いて、地面を踏みしめる重い足音。

 俺は動きを止めた。

 野生動物だろうか。

 だが、音が近づくにつれて、妙な違和感が膨らんでいく。

 足音が重すぎる。

 しかも、四本足の動物というより、人間が歩いているような間隔だった。

 木々の隙間から、何かが現れた。

 最初に見えたのは、黄色く光る二つの目。

 次に、灰色の皮膚。

 そして、人間よりも大きな身体と、手に握られた粗末な棍棒。

 ゲームやファンタジー小説でしか見たことのない姿。

 そいつは俺を見つけると、口元を歪めた。


「……ゴブリン?」


 思わず口からこぼれた言葉に、相手が反応した。

 低いうなり声。

 次の瞬間、そいつは棍棒を振り上げて走り出した。


「うわあああっ!」


 俺は反射的に横へ飛び退いた。

 棍棒が地面を叩き、土と小石が飛び散る。

 まともに食らっていたら、ただでは済まなかっただろう。

 逃げろ。

 頭の中で警告が鳴る。

 だが、背後にも木々があり、足元は悪い。

 ゴブリンは棍棒を引き戻すと、すぐさまこちらへ向き直った。

 俺は両手を構えた。

 格闘技を習ったことなどない。

 喧嘩だって、最後にしたのは何十年前だったか。

 それでも、何もせずに殴られるわけにはいかなかった。


「来るな……!」


 ゴブリンが飛びかかってくる。

 俺は咄嗟に拳を突き出した。

 拳が、ゴブリンの頬に触れる。

 その瞬間だった。

 ――ドンッ!

 拳が当たった衝撃とは別に、もう一度、何かが弾けた。

 ゴブリンの身体が横へ吹き飛び、太い木の幹に叩きつけられる。

 乾いた音が森に響いた。

 ゴブリンは地面に転がり、しばらく動かなかった。


「……え?」


 俺は自分の拳を見つめた。

 確かに殴った。

 だが、あんな威力が出るはずはない。

 拳に痛みはある。

 それなのに、もうひとつの衝撃が、相手の身体を押し飛ばしたように感じた。

 何が起きた?

 考える間もなく、今度は頭の奥に鋭い痛みが走った。


「ぐっ……!」


 視界が揺れる。

 膝が折れそうになるのを、どうにかこらえた。

 まるで、頭の中で複雑な計算を無理やり続けさせられたような疲労感。

 何かを使った。

 俺自身が理解するより先に、身体が何かを発動させていた。

 その事実だけが、妙にはっきりと伝わってきた。

 倒れていたゴブリンが身じろぎした。

 まだ生きている。

 俺は後ずさった。

 今の力を、もう一度使えるのか。

 そもそも、どうやって使った?

 わからない。

 わからないことだらけだ。

 それでも、ひとつだけ確かなことがあった。

 ここは、俺の知っている世界ではない。

 そして俺は、ただの一般人のまま、この場所へ放り出されたわけでもないらしい。

 遠くで、獣の遠吠えが響いた。

 一度ではない。

 二度、三度。

 森のあちこちから、何かが動き出す気配がする。

 俺は拳を握りしめた。

 生き延びなければならない。

 この世界がどこなのか。

 なぜ俺がここにいるのか。

 そして、どうすれば元の世界へ帰れるのか。

 その答えを見つけるまでは、死ぬわけにはいかない。

 夜空の彼方で、見知らぬ星が静かに瞬いた。

 その星の下で、ひとりの男の異世界生活が始まった。

 本人の意思とは、まったく関係のないところで。

【あとがき】

ここまで読んでいただき、ありがとうございます!

今回、初めて小説の連載投稿に挑戦します。

本作は、大樹 霜様の作品『ワールドクリエイター ~異世界転生だと思ったら、創造神になりました~』の設定を参考に、AIを活用して制作している作品です。

原作の世界観に魅力を感じ、自分でも物語を作ってみたいと思ったことが執筆のきっかけです。

小説執筆も初心者のため、至らない点もあるかと思いますが、AIと一緒に試行錯誤しながら、自分自身も先の展開を楽しんで書いていきたいと思います。

原作者様や原作ファンの皆様にご不快な思いをさせてしまうことがありましたら申し訳ありません。原作への敬意を忘れず、創作を楽しんでいけたらと思っています。


※0話から11話までは10分おきに投稿予定です。

12話からは12時とストックがあれば19時で投稿したいと思います。

原作者様と違い不定期になる可能性は大になるかもですがよろしくお願いします。

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