序章の序章Ⅰ(真セスランディア王国記第一章より)
――かつて、精霊と人々が共に生きていた時代があった
精霊を敬い、大切にする人々
また、精霊も人々を慈しみ、惜しみなく加護を授けた
しかし、この穏やかな世界は、突然終わりを告げる
悲劇は、とある精霊が、人族の男に恋をしたことから始まった
その精霊は男のために、他の精霊を差し出し――男に、絶大なちからを与えた
男はちからを受け入れ、いくつもの国を滅ぼし、支配した
そして、自らをセスランディア王と名乗った
セスランディア王国の始まりである
初代セスランディア王のちからは絶大で、誰も逆らうことができず、
世界は希望の見えぬ時代に包まれた
初代セスランディア王は百年以上生きたが、
ちからを使いすぎ、己に加護を授けた精霊の消滅と共に、眠るがごとく没した
人々は、暗黒時代の終焉にようやく安らぎを得た
しかし――悲劇は続いた
精霊の加護を求める声が、世界に満ちた
権力を求める者による、精霊狩りが始まったのだ
精霊を捕らえるだけでは、加護は貰えない
ある者は調べるために精霊を切り刻み、
またある者は、より多くの精霊を手に入れるため、土地を奪った
初代セスランディア王の死後から四百年の間、精霊狩りは続いた
精霊は殺され、時には自ら死を選び、次々と消えていった
悲しみ、恨み、そして――人々を呪った
呪いはやがて瘴気となり、そこから異形が生まれ、人の世を襲うようになった
人々は、精霊狩りの代償として加護を失い、
報いを受けることになるのだった
――【真セスランディア王国記】第一章より




