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「あはは…ししょー。また嘘ついてる」

 咲が無理やり笑顔を作る。

「そうだな。ししょーは嘘つきだもんな」

 ひろしも声を震わせながら、乾いた笑い声をあげる。

「師匠が何をいっているのか…わかりません」

 優太も虚ろな目でそう呟いた。

 

 言ってしまった。

 しかし、言うしかなかった。

 こいつらのこんな顔は見たくなかった。

 だが、何も言わずに消えろというのか?

 それこそ無責任の極みではないか。

 

 辛い…痛い…。

 押し寄せる後悔の波。

 下を向くな、前を向け。

 あいつらが見ている。


「嘘ではない…真実だ。俺は明日ここを去る。お前たちとはお別れだ」

「ど、どうしてですか?」

 父親の都合――それがつまらない真相だ。

 俺は父親や母親から独立して、一人で生きていく勇気がない。

 高校をやめ、一人で生きていく勇気がない。 

 俺は散々偉そうなことを言ってきた。人間を超えた存在だと、仙人だと、神だと。

 しかし、所詮そんなものだ。


 俺は一人では、生きていけない。

 ちっぽけな人間だ。


 だが、こいつらの前では――

 最後まで仙人でいたい。


「はっはっはっは! この俺を誰だと思っている! 今世紀最高の仙人だぞ?」

「…ちっ、馬鹿が」

 由佳子が舌打ちをして睨むが、ここでやめるわけにはいかない。

 あいつらの前では尊大で、偉そうで、そして強くなくてはならないのだ。

「俺の弟子はお前らだけではないのだぞ。日本中…いや! いや世界中の弟子たちが史上最強の仙人である天地覇王様を待っている! 俺はいつまでもこの地に留まり続けるわけにはいかないのだ。

だから、だから! ここを――去るのだ」


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