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「ししょー! お待ちしておりましたぁあ!」
弟子たちがわらわらと群がってくる。
3人いる我が弟子たち。それぞれがきらきら輝く眩しい瞳を俺に向ける。
ここは山田浜高校と山田浜小学校の狭間にある小さな山である。小学生はもちろん大人も立ち入り禁止となっている私有地である。
しかし、それが故に何人たりとも邪魔をすることができない場所としてこの山は俺達の神聖な修行場となっている。
直立不動の姿勢で俺の前に立つ3人の小学生。弟子たちの前でにやぁと口角が上がってくるのを抑えるのは並大抵のことではない。
何故かだと? まさに愚問だろう。子供たちの純粋無垢で、まっすぐな尊敬の眼差しがこの俺に向いているのだ! この快感を形容することは実に難しい。一度体感してしまうともうやめられない――そんな麻薬のような魅力がある。
「うむ。しっかり修行をしていたかお前たち」
むりやり眉間に皺を寄せ、口をへの字に歪め、威厳のありそうな表情を作る。
「はい! おれらちゃーんと、ししょーがいったように人間がクソな理由についてみんなで話し合いをしてました!」
「では、その答えを聞かせてみるがよい。自分の考えに自信がある者が挙手するがいい」
はい! と坊主頭の少年が手を勢いよく上げた。
「よし、ひろし! 言ってみろ」
「に、人間はよくぶかです! とても頭が悪いのにえっとぉ…欲ばってばっかです! だからクソです!」
「悪くない答えだ。次」
はぁああい! おかっぱの歯抜けの少女が飛び跳ねながら手を上げる。
「咲。言ってみろ」
「にんげんはぁ、周りの目ばっか気にします! な、なぜならとってもおー、おろろか」
「愚かだ」
「それでーす! おろかなのでー、ばかなんですぅ! クソなんです! しんじゃえ!」
「私情が入り過ぎているな。だが、言いたいことは伝わってはくるところは評価しよう。よし、次」
「は、はい…」
眼鏡の針金のような少年がおずおずとした様子で控えめに手を挙げる。
「優太! いつも言っているだろう! 発言をする時は自信をもって堂々としろ!」
「ご、ごめんなさい」
「そしてすぐに謝るな! そんなことだから人間共に嘲笑われるのだ。まぁ、いい。お前の考えを聞かせろ」
「にんげんは弱いものをいじめ、強いものには媚をうります…。あいつらはぼくみたいな弱いものにだけ暴力をふるうんです。クソです…。あいつらみんな…しねばいいんだ」
優太は消え入りそうな声で人間への憎しみを吐露し、その後ぶるぶると震え始める。
「いいぞ、その憎しみ…苦痛を忘れるな。いいか、お前たち。人間たちは糞だ! 決して人間に近づくな。そして、覚えておけ――仙人になることがこの憎しみから苦痛から逃れる唯一の方法なのだと」