今年の選手名鑑ができました
「今年の選手名鑑ができました」
いくつかの出版社では、プロ野球の選手名鑑を発行している。選手の入れ替わりがあるため、新しいものを毎年つくる必要があるのだ。
「では、今年も送っておきますね」
完成した選手名鑑を各球団に送るのが、この出版社では毎年の恒例となっている。
担当者はリストを見ながら、真新しい選手名鑑を次々と箱に入れていく。球団ごとに送る数が違うのだ。その球団に今年から加わった新人たち(新外国人、育成選手も含む)が、一人一冊ずつ手にできるよう、数を確認して送っている。
この選手名鑑には、プロ野球選手全員の顔写真やプロフィールが載っているのだ。どの球団の新人からも毎年、気の利いたプレゼントだと好評を得ている。プロになった記念の品であると同時に、他の選手たちの顔や名前を覚えるのにも役立つからだ。
もちろん、この出版社はただの親切でやっているわけではない。下心があった。
こうしておけば、「一年目に選手名鑑をくれた会社」として記憶に残る。この好印象がある分、その選手たちをのちのち取材する時に、他社よりも有利になるのだ。これは未来への投資である。
同じ頃、別の出版社でも、今年の選手名鑑ができあがっていた。
「では、今年も送っておきますね」
担当者はリストを見ながら、真新しい選手名鑑を次々と箱に入れていく。
「えーと、この芸能事務所に送る数は・・・・・・」
所属している芸能人に、どこの球団のファンが何人いるのか。その情報は、事前に各芸能事務所に確認して、きちんと把握している。
こうしておけば、「選手名鑑を毎年くれる会社」として記憶に残る。この好印象がある分、野球好きの芸能人たちにコラムやエッセイを依頼する時に、他社よりも有利になるのだ。
こんな風に各出版社では、自社の野球雑誌、その誌面を充実させようと、さまざまな工夫をしている。
たかが選手名鑑、されど選手名鑑。
次回は「ノーヒットノーラン、達成間近のプレッシャー」のお話です。




