メンバーが足りないので
「そろそろ不戦敗にしても、よろしいでしょうか?」
審判が申しわけなさそうに尋ねてくる。
イヌ、サル、キジは困ってしまった。
まだ桃太郎が戻ってきていないのだ。
ここ鬼が島に乗り込んだのは、昨日のことになる。
鬼たちが提示してきた勝負は「野球」。
それを自信満々に承諾した桃太郎だったが・・・・・・。
今日の試合直前になって、
「人数が足りませんよ」
審判に指摘されてようやく、桃太郎は気づく。自分は大きな勘違いをしていたらしい。「野球」の勝負というのは、「ピッチングマシンから飛んでくるボールを、何球打ち返したか」じゃないのか!? 勝負するのに、こちらは一人いれば十分じゃないのか!?
審判が言うには、野球の試合をするためには、イヌ、サル、キジを頭数に加えても、全然足りないのだとか。
そこで急遽、メンバーを集めるために、球場を飛び出していった桃太郎。
あれから数時間が経過している。
審判はあと三十分間だけ、不戦敗にするのを待ってくれるそうだ。
この場に残された三匹は不安しかない。
「あの人って、友だちいるのかな」
ここまでの道中、それを感じさせるような話はしていなかった。一人でバッティングセンターに通いまくっていた、そんなことばかりを言っていた気が・・・・・・。
「ひょっとして、俺たちを見捨てて、自分だけ逃げた?」
青い顔をする三匹。
その時だ。
「おーい、お待たせー!」
遠くの方から、桃太郎の声が近づいてくる。
イヌ、サル、キジはホッとした。
けれども、声の方に視線を向けた途端、言葉を失ってしまう。
桃太郎の後ろにいるのは、おじいさん、おばあさん・・・・・・以上!
どうやら実家に戻り、あの二人を連れてきただけのようだ。
唖然とする三匹。人数不足は解消されていない。
イヌ、サル、キジからの厳しい視線に対して、桃太郎が言いわけを始める。
「おばあさんに追加でつくってもらった『きびだんご』、これを使って、ここに来るまでの間に、仲間を集めるつもりだったんだ。しかし、誰とも会わなくて・・・・・・」
次の瞬間、鬼が島チームのベンチ前へと走っていく桃太郎。
「メンバー募集中! 今ならスタメン! この桃太郎と一緒に野球やろうぜ!」
手にしているのは、複数の「きびだんご」だ。
これにより、九人の鬼が仲間になる。
さあ、プレイボールだ。
次回は「リーグ優勝」のお話です。




