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神秘を求める男〜女体を求める異世界人〜  作者: 環 九
第3章〜エルフの美少女〜
39/59

39話〜絶対に見えない服と死んだふりをする男


さて…

俺はミリュと並んで、リティてクルフの後をついていた。理由は単純でオーク(キング)が持っていた凶悪にして美麗な鉈を作った者に会ってみたかったからだ。

いや、会ってみたいという言葉には語弊がある、オーク(キング)はこの鉈を殺して奪ったと言っていた、それが事実だとすればその鍛治師は既に物言わぬ死体となっているだろう

だがそれでも俺はその鍛治師に伝えたい事があったのだ。


「エルフの王様がかなり険しい顔してたけど、お前たちはこの鉈の製作者に恨みとか怒りとか感じていないのか?」


エルフの国…とは言ってもどこまで行っても森の中で、建物は全て木々の一部を利用している。だがそれでも地味な見た目ではなく、むしろ高層ビルが立ち並ぶ前の世界の都会にも思ってしまうほどだった。

その街中を歩きながら俺は尋ねた


「うーんと私はそう言う気持ちはないの、だってそれからは一生懸命な思いしか伝わってこないから、お兄ちゃんみたいな一生懸命な気持ちはリティ大好きだよ?」


オーク(キング)よりも殺傷能力の高いリティのピュアスマイルに頭がくらりとしてしまう。


「そうだな、確かにその鉈がなければもっと楽に戦えていたのは事実だろうが、武器は救うことも殺すことも可能だ、ようは使い手次第、作った者を責めるのはお門違いといったものだろう」


ほうほう、クルフに至っては正論で来たか、もっと感情的になるものだと思っていたが…となると、エルフの王はなんだってあんなにも…


「きっとそれは会えばわかると思いますよ?」


会えばわかる?

いやだが、


「オーク(キング)はそいつを殺して奪ったと言っていたぞ?」


「恐らくそれは死んだふりではないでしょうか?あの鍛治師はそれで幾たびも借金を踏み倒していますから…」


あーなんとなくわかってきたぞ

エルフ王がいやな顔をしたのは、今回の一件が原因ではなく、当の本人の性格が問題だと言うことか。


「さっきから気になってるから一つ質問したいのだけど、いいかしら?」


俺たちの会話に区切りがついたところで、ずっと黙っていたミリュが口を開く。

その問いかけに対して歩きを止めて振り返ったリティのクルフは不思議そうな表情を浮かべながら一つ頷いた。


「クルフはあからさまだけど、リティの服も中々どうして中身が見えないのかしら?」


ミ、ミリュ!?

まるで俺のような質問を…まさか俺の思考を見ていく上で、感染(うつ)ってしまったのだろうか?


「そして、リノも以前そんな感じの服を着ていたわね」


なるほど、きっときっかけは俺の思考だろうけどミリュもリノさんとエルフの共通点を見出したのだろう


「突然なにを言い出すのかと思いましたけど…まぁ服については簡単です。ドワーフによる技術とエルフの魔法技術…そしてかの英雄ターナによるお言葉『ギリギリ見えないのが逆に良い!』ということで開発された衣服でございます。」


俺とは違う言葉遣いに少しだけ違和感覚える


だがなんともまぁ、技術の無駄遣いとも言えるのだが、流石異世界人と言える、エルフ族というのは食べているものの影響なのか肉付きがあまり良くない、言ってしまえばツルン、ストーンといった具合だ


だがそれも肌や顔立ち、プロポーションの美しさで総合的にはプラスとなる、しかしそこには決して見ることのできない秘境があるとすればその魅力は数倍から十数倍になるといえよう。


つまりリエリフの服も恐らくそれであり

以前山の頂を覗こうとしてミリュの肘鉄を食らったのだが、それは無駄なダメージを受けただけということになるな…


「そう…因みになんだけどさ、それって買えるものなのかしら?」


ミリュはクルフとリティに近寄ってそう尋ねていた、最初の一言が聞こえた以外は、俺にさえも届かない小声で話し合っており、興味はあったが女性の内緒話を盗み聞きするなどという悪趣味があるわけではないので、その内緒話が終わるまであたりを見回していた。


しかし、この2人を見ているとそうは感じなかったが、今このあたりにいるエルフ達はどこか気だるそうな雰囲気を持っている。

魔力や体力といったエネルギーが何かに吸われるようにどこかへと引っ張られている。


そしてその全てがある一点方向に向かっており、きっとそこに怠惰のスロウがいるのだろうと確信していた。


ミリュ「あの服可愛い…」

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