変化
結局昨日の月食観測は、僕の前髪がなくなったことでぐだぐだな感じで終わってしまった。灯はあの後もずっと顔が真っ赤だった。
僕は結局顔を隠す方法が見つからず、朝から気分はどん底だった。
だて眼鏡をかけたりしているものの、相変わらず視界は良好だし、顔を隠せてるとも思わない。
いつもと同じ様に、無言で後ろのドアから教室に入る。いつもなら、クラスのやつらはちょっと後ろを振り向いて、それで終わりだった。
でも今日は違った。
教室がいっきにざわめく。
「誰あれ…あんなかっこいい男子うちのクラスにいたっけ⁇」
「…え。もしかしてあれじゃない?
ほら…いつも1人でいる…。えーと…」
「違うよ。最近は1人じゃないって。」
「灯と一緒にいる子だよね。…名前なんだっけ?」
「神原 陽だよ。」
「そうそう‼そんな名前だった!」
いろんな声が聞こえてくる。
僕はいつも通り椅子に座る。いつもなら、ここで灯が声をかけてくる。
しかし、今日は違った。
きっと、いつもの様に僕のところに来ようとしたのだろう。しかしそれは、好奇心と野次馬精神旺盛なクラスの女子に阻まれた。
「ねぇねぇ、神原 陽くんだよね。
私、……っていうんだ。」
…きっと、名前を名乗っていたのだろうが、覚えていない。
「私は……」
「あっ…あたしは…!」
きゃぴきゃぴしたかっこいい男子好きの女子が媚びる。
はっきり言ってうるさい。
なんなんだ。前髪がなくなった途端。
「ごめん。1人にして。」
僕が言葉を発した途端、きゃぁっと歓声があがる。
初めて学校に行きたくないと思った。




