第42話 アイテムは全て没収します
「くそっ、だいぶ掛かっちまったな。あいつら迷子になってなきゃいいが......」
失神したクロムを川沿いに置くと、俺は銃を装填した。
見れば、セリカの荷物は拳銃以外そのまま残っている。
「あいつ、銃もナイフも置いてったのか......。モンスターに会ったらどうすんだよ」
突然の奇襲に慌てていたのだろう、アイツにしては珍しいことだ。
一応冒険者のオオミナトが付いているので大丈夫だとは思うが、はてさてジッともしてられない。
「とりあえず合流だな、こいつは......まぁ置いてても良いか」
クロムはとりあえずここに放置。
セリカたちの逃げた森の方から、嫌な魔力を感じる。
とりあえずサッサと行きたいが......。
「――――ヤバそうな物は剥がしとくか」
クロムは上級冒険者、万が一目を覚ました時にまた暴れられても厄介だ。
今は拘束する道具も無いので、武器の類いは全て取り上げることにする。
ぱっと見でも冒険者なら誰もが羨みそうな装備をしており、こんなくだらないことに使われたと思うとため息すら出る。
「こいつ『魔法反射の小盾』まで持ってたのかよ、用意周到なヤツだ......はい没収」
こんなレアアイテムをよくもまぁ持ってたもんだ、上の連中に渡したら量産とかしてくれないだろうか。
盾は念のため装備することとし、クロムから武器になりそうな物は全て取り上げる。
ダンジョン制覇アイテムの魔弓は、見つからないよう草むらに。
ナイフと矢も危ないので処分。
盾はとりあえず没収。
「これで全部だな、衣服は......このままで良いか」
ボディーチェックもやったし、わざわざ脱がす気など起きない。
セリカや俺の荷物をクロムから見えない場所へ移動、銃が見つかれば本末転倒だ。
一応帰ったら警務隊に突き出すし、とりあえずはこのくらいで良いだろう。
「よし、後はアイツらを迎えにいくだけだな――――――ってうおッ!?」
瞬間、森から莫大な魔力が吹き出た。
凄まじい突風が吹き荒れ、それが上位魔法だと確信するのに時間は掛からなかった。
「オオミナトの風魔法か? いずれにせよグズグズしてられん」
アサルトライフルをスリングで首から下げ、俺は駆け出した。




