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宇宙戦争のあとで  ~現人神は人生を美味がる~  作者: 北見晶


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消し炭にされる未来


 麻婆茄子をおかずに、成未は白飯を消費していた。

 

 スポーツ賭博が火種になった、裏社会組織同士の抗争。

 それもこともあろうに、両方ともコスモマフィア。

 宇宙を股にかけた悪事に手を染めている双方、一昔前では宇宙船でのドッグファイトや補給船を墜としての兵糧責めや本拠地に乗り込んで皆殺しといったパターンであったが、今は違うそうだ。

 なんでもVRゲームを使用して、戦闘を行うとのこと。

 シューティングゲームやら格闘ゲームやら。もちろんVRで負ったダメージは現実にも作用し、液晶世界で死んだら本当に死ぬのだとか。


 血を流さずに済むと思っていたら、しっかり血が流れると知り、息を呑んでしまった。


 もし成未が召集されたのが今なら、戦争も悪趣味なeスポーツまがいのやり取りになっていたのか。

 なんて馬鹿げたことを考えたものの、仕事を受けたなら余程のことがない限り、遂行のみ。


 片方が、かつて敵対を避けたはずの『カオスボウル』だったので面食らったが、それはそれこれはこれと開き直る。仕事は仕事。


 成未としてはゲームに関してはドシロウトであったが、メカに強い社員がいい勤めをしてくれた。

 特殊なゲーム機を使って行われる、コスモマフィアの電子抗争。そこに電波を送って干渉し、一堂に強力な倦怠感を与えたのだ。


 成未たち実行部隊がやったことは、身柄の確保。中には元気な奴もいたが、片っ端からぶちのめしたら戦意喪失した。

「さすが元傭兵……」

 仲間の誰かがが漏らした声に、マフィアの下っ端は硬直して成未を凝視した。

「傭兵じゃありませんよ、傭兵じゃ」

「でもネフェルの奴らを殺りまくっていたんだろ?」

 人を殺人鬼や狂戦士みたいに言ってほしくはなかったが、結局のところは抑止力として働いた模様。

 

 落ち穂拾いも済ませたところで、待ちかねていた自由と給料を得た女。何を食べようかと思っていたら直売所で大量のナスを発見した。


 花は千に一つの無駄もないと称えられたナス。瓜の蔓に生らぬと評されたナス。


 一方で“おたんこ”や“ぼけ”がつけられ、悪口として使われるナス。


 ミサイルにも似た形状の野菜の側に置かれた麻婆茄子の素も相応の量を買った。一目惚れというやつだ。

 食べ物は一期一会。同じ品でもシチュエーションで味わいは変わる。


 以上の過程を踏まえ、麻婆茄子を食する成未。


……今回の仕事でコスモマフィア二組織を壊滅寸前に追い込んだわけだが、どうなるかは見当もつかない。

 縁起悪い話、成未がナス畑の肥料どころか消し炭にされる未来だってありうる。


 でも成未の頭は哲学にも悟りにも向いていない。


 あがけるだけあがくしかないし、あがけなくてもあがこうとするのみ。


 皿についたタレは食パンで拭って食い、成未は息をついた。









 今回で最終話です。今までありがとうございました。

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