50 甥の末路①
藍方星。
露見の泉。
スッ、
クロスとイレーズが現れた。
クロスは呆れ顔をする。
敢えて、きつい言葉を放つ。
「オイオイ、ヒミコン!
ゲイルの問いに即答できないのかァ?
粗悪な情に支配されてるゼ」
イレーズは同調する。
「同情的邪心が残っている証拠だね?
それって……、
恥ずかしいよ?」
ヒミコンは反論できない。
ゲイルの問いに即答できなかった。
僅かながら躊躇ってしまったのだ。
魔導師・クロス、
露見の泉のほとりに立つ。
左手をかざして咒を唱える。
ぶくぶくぶくっ、
咒に呼応して水面が泡立つ。
赤黒く濁った湖上、
映像が浮かびあがる。
シュッ、
水中を指さす。
クロスは顎をしゃくった。
「裏陰・未來予見図の魔術だ。
ほらヒミコン、水中を見ろヨ」
イレーズが手招きする。
「ほらほら、遠慮しないでさ?
自分の目で確認しなよ?
甥っ子の未來……、
見せてあげるよ」
ヒミコン、
歯をくいしばる。
露見の泉を覗き込む。
Ⓔイレーズ、
「まずは甥のブンタ、
十三年後の姿だよ……」
……未來予見図・十三年後映像。
岩沼ブンタ、十六歳。
有名私立中高一貫校・高等部二年生。
どうやら成績優秀だ。
クラス内、カースト上位だ。
偉そうに踏ん反り返っている。
ブンタのクラスではイジメがある。
暴言、暴力、嫌がらせ行為……、
横行している。
加害者……、
成績上位層グループだ。
受験勉強のストレス発散とばかりに、
クラスメイトを玩具している。
その主導的リーダーがブンタだ。
痛々しい高慢ちき野郎だ。
イジメの被害者……、
劣等生、苦学生だ。
心を病み不登校になった者、
耐え切れず転校した者、
自主退学に追い込まれた者、
理不尽な末路の生徒たちが数人いる。
ブンタは卑劣だ。
自らの手は汚さない。
高みの見物を決め込んでいる。
実行犯として、
カースト中間層のクラスメイトを利用する。
平然と、犯罪的暴力行為を強要する。
彼らは命令に従ってしまう。
次のターゲットになるのを恐れているのだ。
学園側、
常態化しているイジメ、察知していた。
しかしなぜか見て見ぬふり……、
黙認していた。
なぜなら主犯グループの面々、
Sランクの優等生だ。
飛び抜けて成績優秀、
確実に有名大学合格を勝ち取る生徒たちだ。
保護者はこぞって高学歴・高収入のエリートだ。
寄付金を弾んでくれている。
有難い資金源であり、広告塔なのだ。
Sランクの生徒は宝だ。
学園に多大な恩恵をもたらす。
血統書付きのサラブレッド、
未來の勝ち組だ。
裕福家庭の彼らは、
幼少期から多くの経験を積むことができる。
結果として、自信にあふれている。
彼らは立ち回りにそつがない。
権威者や教師に対しては低姿勢を示す。
教師は気分がいい。
まんざらでもない。
こうして卑劣なイジメ、
秘匿黙認されていた。
公然しゃあしゃあ、
繰り返されていた。




