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没落令嬢は護衛騎士と旅に出ます  作者: つきのくみん
第2章 旅立ち前夜
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21 借金の相手

 マレーリーの突然の質問にマリアは困惑していたが、彼は気にせずに遠くを見て語り始めた。


「僕にはさぁ、結婚したいくらい大好きでたまらない人がいるんだよ……」

「「「「え……!」」」」


 マリア、セバス、ドリーそして石化がとけたエドが一斉に声をあげる。いつでも冷静なルーファスだけが、唯一彼らの中で黙っていた。


 亡きギルバートをはじめ、皆がマレーリーを非婚主義者だと思っていたから、彼にも結婚したいほど好きな相手がいたのなら、それは大変に気の毒なことだった。


 ギルバートの遺言で、マリアの婿養子に爵位を継がせることになっているが、マリアには結婚の予定がまったくない。もしマレーリーが結婚して先に子どもができれば、後継争いが起こる可能性が高いから、そのような事態は避けなければならなかった。

 つまり、遺言を守ろうとすればするほど、マレーリーの結婚は遠ざかるということだ。


「僕が爵位を継いで大変なときから、ずっと支えてくれている人でね。僕ももう爵位とか煩わしいものは捨てて、好きな人のところに行きたいんだ……。マリアが結婚してくれるの待ってたけど、一向にそんな気配もないし」

「叔父様……私のせいで今まで愛する人と結ばれずに……」

「だから僕も自由にするからマリアもそうしなよ。これから、マリアも好きな人を見つけて結婚すればいい。愛があれば、爵位なんて要らないだろ?」

 

「だからさぁ、早くマリアはここから出ていきなよ」

「え……私だけ?」

「お金を貸してくれるのは、もう彼しかいなかったんだよー。彼は屋敷を引き渡しても、このまま住んで良いって言ってくれてるし」

「私だけ……出ていかないといけないの……?」


 マリアは意味がわからなかった。なぜ自分だけが追い出されるのだろう。

 そこで、マレーリーは初めて真剣な顔で答えた。


「だって、僕が借金したのはクルーガー侯爵なんだもの。マリアがこのまま屋敷に残ったら……もうマリアは16歳だし、そういうことだろ?」

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