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没落令嬢は護衛騎士と旅に出ます  作者: つきのくみん
第2章 旅立ち前夜
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20 マリアは好きな人いるの?

 マレーリーの衝撃発言から、最初に正気に戻ったのはルーファスだった。


「マレーリー様、それはどういう意味ですか? まさか、この屋敷を借金の形にしたのですか?」


 ルーファスが強張った表情でマレーリーを問い詰めた。しかし、マレーリーはいつもの気楽な笑みに若干の憂いを含ませただけだった。


「うん。それで借金がやっぱり返せなくてね、この屋敷とはサヨナラしないといけなくなったんだ……」


 ルーファスはマレーリーの借金について追及したいところだったが、マレーリーの性格上それは断念した。彼に常識は通用しない。


「引き渡しの期限はいつですか?」

「2週間後だよ」


 すなわち、6人は2週間後に全員が路頭に迷うということだ。セバスが大きな音を立てて立ち上がり、マレーリーに詰め寄る。セバスの目には涙が浮かんでいた。


「マレーリー様、私たちはともかくお嬢様はどうなさるのですか?! アジャーニ子爵家をどうなさるおつもりですか……!」

「それついては僕も考えていたんだけどさぁ。新しくこの屋敷の持ち主になる人が、このまま僕たちも住み続けて良いって言ってくれてるんだ。あとさぁ、子爵家としての体裁も居候の身では整わないし、もうそれもやめちゃおうかなっと思ってるんだ!」

「な……! まさか、爵位を返上するおつもりですか……!」


 セバスの顔は青ざめ、悲痛な声をあげた。


「その通りー」


 内容に似つかわしくないマレーリーの気楽な返事に、ドリーの叫び声が食堂に響いた。エドはまだ石化したままで、マリアは震えていた。


「で、ここからが大事なところなんだけど。ねぇ、マリア?」


 今までの話に大事ではないことなんて1つでもあっただろうか。マリアがこれからまた何を聞かされるのだろうと怯えていると、叔父から予想外の質問をされた。


「マリアはさぁ、好きな人いるの?」

「え?」


 マリアは怒涛の展開に、既に頭が真っ白になっていた。彼女はこんなときに自分の恋の話なんて、とてもできる気がしなかった。

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