わたくし、何かしてしまいましたか?
AIことぴーちゃんとの会話で生まれた小説です。
目が覚めると、わたくしはベッドの上にいた。
ふかふかの布団。
まるい窓。
壁には、どんぐりのリース。
そして、鏡に映っているのは、白くて丸い、耳の長い生き物だった。
「……は?」
記憶がある。
わたくし、昨日まで日本の会社員だったはず。
残業して、帰宅して、コンビニで値引きのおにぎりを買って、ベッドに倒れ込んで。
そして目が覚めたら、これである。
「お嬢様! お目覚めになりましたか!」
部屋に飛び込んできたのは、黒いベストを着た猫だ。
「お嬢様、婚約破棄の件ですが……」
「婚約破棄?」
「はい! 第一王子殿下が、聖女様とご結婚なさるそうです!」
なるほど。
わたくしは理解した。
これは異世界転生。
しかも悪役令嬢。
前世で読んだ小説の内容が、脳裏に蘇る。
傲慢な悪役令嬢。
いじめられる聖女。
婚約破棄。
断罪。
国外追放。
そして、追放先でスローライフ。
……悪くない。
むしろ、残業がないなら大歓迎である。
「わかりましたわ。」
「お嬢様!? よろしいのですか!?」
「ええ。ところで、国外追放はいつですの?」
「えっ」
「追放先は、できれば人の少ない場所がよろしいですわね。静かなところで、畑でも耕して暮らしたいの。」
侍女は泣いた。
なぜ泣く。
わたくしは、これからの人生設計をしているだけなのに。
その日の午後。
王城の大広間にて、断罪イベントが開催された。
第一王子。
聖女。
貴族たち。
そして、なぜか大量の丸く白い小動物。
「悪役令嬢! 貴様との婚約を破棄する!」
第一王子が叫んだ。
「承知いたしましたわ。」
「なっ!?」
「それで、追放先はどちらになりますの?」
「えっ?」
「できれば水場の近くがいいですわ。あと、家賃がかからないところで、、、」
ざわつく会場。
聖女が震えながら口を開いた。
「お、お待ちください! この方は、わたくしをいじめて……」
「いじめておりませんわ。」
「わ、わたくしのおやつを……!」
「それはあなたが廊下に落としたビスケットですわ。拾っておきましたの。」
「拾って食べたんですぅぅぅ!」
「三秒ルールですわ。」
「この世界にそんなルールはありません!」
「では今、制定いたしましたわ。」
大臣が倒れた。
第一王子が顔を真っ赤にして剣を抜いた。
「もうよい! 貴様を処刑してくれる!」
あら。
これは予定外。
わたくしは、仕方なく右手を上げた。
「では、少しだけ、、、」
指先から、金色の光が漏れた。
次の瞬間。
王城が、消えた。
正確には、王城があった場所に、巨大などんぐりがひとつ転がっていた。
静寂。
遠くで鳥が鳴いた。
わたくしは首をかしげた。
「……あら?」
ステータス画面が浮かび上がる。
【固有スキル:世界再構築】
【効果:あなたが不要だと思ったものを、世界から取り除きます】
【現在の対象:王城】
【処理完了】
「まあ」
わたくしは微笑んだ。
「お掃除が楽になりましたわね。」
誰も返事をしなかった。
その場にいた全員が、巨大などんぐりを見つめていた。
やがて、第一王子が震える声で尋ねた。
「お、お前……いったい何者なんだ……?」
わたくしは、優雅にスカートの裾をつまんだ。
「ただの悪役令嬢ですわ。」
そして、ふと思い出した。
「あっ、、、」
「な、なんだ!?」
「王城に置いてきた荷物がございますわ。」
全員が息をのんだ。
わたくしは右手を振った。
巨大などんぐりが消えた。
代わりに王城が元の場所に戻ってきた。
ただし、建物の外壁はすべてピンク色になり、屋根には巨大なリボンがついていた。
「……」
「……」
「……まあ、かわいらしい、、、」
わたくしは満足した。
その日、王国の歴史書には、こう記された。
『悪役令嬢、王城を消滅させ、復元する。なお、復元後の王城は非常にかわいらしい外観となった。』
そして、その下に小さく追記された。
『王子殿下はリボンを外そうとして三日間泣いた』
大根が登場していないだと???




