第17話 最終話 性別なんて関係ない
——理玖が驚いて固まってる。
俺のバカ。好きだなんて、誰にも渡したくないだなんて言ってしまって……
男同士なのに。
そんな趣味があったのかって思われただろうな。
でも、性別なんて関係なかった。
理玖が理玖だから好きなんだ。
もう、言わずにはいられなかった。
だけど、コイツには……
「ごめん。一方的に告ったりして。
六原もさっき言ってたけど、お前には誰か告白したい奴がいるんだよな?」
俺は視線を逸らして言った。
恥ずかしすぎて、まともに顔なんて見れない。
「うん」
やがて理玖は返事をした。
「じゃあ、オレも告白するよ、湊に」
「え」
「好きなんだ、湊の事が。
多分ずっと前から……」
俺は驚いて彼を見た。
緊張しているのか、色素の薄い頬がほんのり紅くなっている。
「理玖」
「だから、ありがとう。嬉しいよ」
紅い顔のまま夢の中のように微笑む。
「えっ……マジで?
はは。気が合うじゃん」
俺も照れ笑いをした。
なんだ、お互い片想いをしてたって訳か。
よく言う両片想いって奴だったのか……
「これ……あの、一応『親友』超えて『恋してる』って事でいいかな。
男同士なんだけど……そういうの関係なくそう思えるんだ」
恥ずかしいけど聞いてみる。
ああ、六原の事言えないなあ。
「オレも実はそう……で」
理玖もおずおずと言って来る。
「じゃ、じゃあ……付き合う?」
「うん。よろしく」
「わ。よろしく」
俺達は思わず握手をした。
そのまま少しだけ見つめ合う。
理玖が手を離し、口元を隠すようにしてクスクス笑った。
「湊は熱出した時に、既にオレに『ずっと側にいて、理玖』って言ってた」
「えっ、嘘」
「ホント」
「恥ず……」
彼が得意そうにクルリと半回転して、俺に振り向いて言う。
「熱が出て苦しくて不安だからそう言ったのかと思ったけど、その時はもうオレの事が好きだったんだな」
「うう。記憶ないけど多分そう」
「ははは。湊って可愛い」
「お前に言われたくないっ」
俺達はそんな言葉を交わしながら、教室に戻った。
そのまま二人で、夕暮れの中を歩いて帰る。
「でも『付き合う』って言ったって、今までとどう変わるのかな?」
理玖が聞いて来る。
彼とはよく二人でいる。
昼飯の時も、取ってる科目も同じだから移動教室の時も一緒に行く。
「あー……考えてみたら既に付き合ってたようなもんだな」
「うんうん」
クラスの奴らにたまに揶揄われていた事も分かる。
俺達は単に親友だからとしか思っていなかった。
「でも、そうだな。
俺はもっと理玖と二人でいたい。今度遊びに行こう」
「それなら、スポッチャとかVSパークとかに行きたい」
「お、いいね〜予定が空いてる日ある?」
理玖がスマホを出してスケジュールを確認しだした。
俺も自分のスマホのアプリを開く。
「2週間後の日曜なら空いてる。VSパークの予約取る?」
そう言うと、彼が俺のスマホの画面を覗き込んで来て答える。
「うん、オレもその日は空いてる。それでいいよ」
少し癖はあるけど、サラサラの髪が頬に触れた。
ほぼ1日経っているのに、まだシャンプーのいい香りがする。
下を向いた目元の睫毛が本当に長くて、顔の造形が綺麗だ。
「近い近い近い」
俺は思わず手でガードして言ってしまう。
理玖がキョトンとして見て来た。
血色が綺麗で艶やかな唇も近い。
「オレ、もう彼氏なのに」
「理玖が彼氏なの? てか、俺も彼氏なの?
あの、すんません、俺にはそういうのまだ早いんで」
「確かに、六原みたいにはなりたくないな」
「うーん……そうじゃないんだけど、お前の事は大事にしたいから」
「?? ありがとう」
理玖は六原に怖い目に遭わされたばかりなんだ。
本当は触れたいけれど、怖がらせるわけには行かない。
……いつかは変わって行くかも知れないけれど。
でも、今はこの心地良い関係を壊したくない。
それは理玖もきっと同じだと思う。
「あ、学校の創立記念日で平日休みの日があった。
こっちの方が人が少なそうだから、この日にしない?」
彼が気が付いて提案して来た。
確かにその日なら施設も空いてそうだ。
「そうだな。10時からでいい?」
「うん」
予約画面に必要事項を入力し、送信ボタンを押す。
その様子を見て理玖が言った。
「ふふ。デートの約束だ」
「ホントだ。付き合い始めの初デートだ」
俺の返事に、彼は嬉しそうに笑って、肩をトンと叩いて来た。
終わり
こちらでこのお話はおしまいです。
お付き合いいただきありがとうございました。




