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朝の詠唱をしようと準備運動を終えて声だしをしている私に喜一兄から声が掛けられた。喜一兄も起床直後らしく洗面タオルを首にかけている
「おはよう。昨日はどこで寝たの?」テントを建てた様子がなかったので聞いたところ
「ああ。鷹継から借りた異空間って奴にホテル設備が有ったからそれを使った」気だるげに答える喜一兄。
「そうそう。お前今から歌うんだろ?それなら風と累が入って来れるようにしとけ」注文をつけられたが、風と累ってなに?と思ってると
「あ?どうした」歌い始めない私を不思議に思った様子の喜一兄。
「喜一。お前、美弥の引きこもりを忘れたのか?」呆れながら助け船を出してくれる海斗兄。そう指摘されて納得したのか喜一兄
「あぁ。美弥はまだ合ったことが無かったか。健斗の従者だ。健斗は分かるよな」探るように聞かれたので
「健斗というお母さんの子供がいる。と聞いたことが有るけど合ったことは無い。確か風の加護が有るから運輸系の仕事をしてるんだよね?」
「そうか。初顔合わせか。健斗の情報は合ってる」どうやって認識させるかな〜悩んでいるようだが海斗兄と裕也さんが相談に乗っているみたいだから良いや。
さて、風の加護者が来るらしいから宜しくお願いします・今日もありがとうございます。と各種守り等を詠唱していると風の気配が強くなった。従者さんなのかな?でも、便乗しての攻撃だと困るからどうしたら良いのかな?
「健斗は馬鹿」ボソッと呟いた海斗兄の声に「「違うから」」「「「そう思うよな」」」返答しているのが5人いる。
「違うと言った奴が従者で肯定した奴等が相談役と部下だから入れてやれ」喜一兄から言われたので、今の人たち入れて〜とお願いしておく。見えないけど信じている神と精霊。見える子はいわく「美弥の周りは精霊だらけ」だそうなのでお願いした後で2・3曲を歌って舞子達と採取に行くために交流する。舞子達も各自取得した技術に磨きをかけるべく朝から基本動作の練習や自習をしている。体術の講座受けるの忘れていたな♪と思い出しながら今日はどこの森だっけ?北だったけ?等といいながらバックに鈴を着けたのをしょい袋(小)を大量に入れて準備完了
喜一兄の周りには健斗さんの従者等がいるから近づきたくないので手を振って挨拶する。それを見て数人になにやら指示出しして居るな〜と見ていると海斗兄と他数人が近付いてきた。
「着いていけ。だと。過保護すぎないか?兄に向かっての口の聞き方がなって無い」呆れつつい話しているのは、お母さん似の25才くらいの男性と少しだけ怒っている。風の加護があるせいなのか、掴み所の無い感じがする。
「まあ。美弥に慣れさすのが主な目的ですし。健斗さんだって美弥の事は知らないでしょ?」フォローを入れている海斗兄。あれ?でも喜一兄は従事が来るって・・・
固まっている私に気づいた海斗兄
「お前が、友達とキャハウフってやっている内に来たんだよ」
「?だとしても解るはずだよ。お願いしているのは風の以外にもいるし。つか、他の属性を黙らす位の加護者でも探知が出来るようにしてるし。この人から生物の息吹は感じれないんだけど?」どういう事ですか?と言っていると風が嬉しさで乱舞しているのが感じ取られた。
「本体は外か。分身と言うかそんなもんを先に寄越していたのかな?」結界の外を見ていると間際まで来た人は先程、愚痴っていた健斗さん。その人だ
「で、入れていいの?悪いの?そろそろ採取に行きたいから早めに決めて。あれだったら結界の全権を喜一兄に渡すって手も」
「辞めろ。制御出来ないだろが」ぷりぷり怒りながら中の方にいる健斗さんの肩を叩きながら辞退している喜一兄。かなり痛いのか叩かれた場所に手をやり踞っている。外にいる方はひきつった顔をしているが何が見えたのやら。
「それも連れて採取に行ってこい。2人合わせ健斗だからな。詳しくは海斗に聞け」そういい送り出してくれる
採取の授業のため北の森の道すがら2人でとはどういう事か説明を受ける
「要するに元々双子が就いていた役職名なんだ健斗って。で、そこの2人が継いだんだ」海斗兄に説明を受けながらそっくりさんだった2人を見る。今では別人だと認識出来るが最初は分身か何かだと思うぐらいそっくりだった。それも、役職上の処置らしく事情を知らない人には双子のように見える魔法がかかっているらしい
「面倒だな。でも、1人拉致られても対処しやすいから良いのかな?風と水か」お母さん似の方が風の加護がある方で母さん似の方が水の加護がある。序に兄妹でした。
「酷いな。離れてても解るだろ?」なんて言われてもすぐ上の喜一兄・咲耶姉。それと長男の寿一さんとしか会話したことがない私にそんなことを言われても。なんだけど。玲奈とは基本的に合わないから互いに避けていたし。母さんとは月に数回会う程度で私の世話をしていた人はお母さんが雇用していた人だからな。長期休みとかになれば喜一兄とか寿一さんが遊んでくれたし週末になれば文句を言いながらお母さんと共に咲耶姉が来て世話や常識を教えてくれていたからなー。他の兄妹たちはみんな何らかの仕事をしていて交流する機会なんて年初めの総会?ぐらいだけど。その時期になると体調を崩していることの方が多いから体調を崩していなくても要注意ですぐに部屋に戻されたから交流っていう交流してなかったし。
「無理を言うな。そもそも兄妹だからと言って交流したことがない美弥に見分けをつけろという方が間違いだ。こいつは、奥様認定の引きこもりなんだぞ」呆れながら代わりに指摘してくれる海斗兄の声を聴きつつ友達と待ち合わせ?場所の北の森へ。先生はすでに来ていていつもの流れで取ってくる薬草を指定してくれたが
「で、そこに居る大人はなんなんだ?」不思議そうに聞いてくる先生
「ああ。美弥の保護者と見学の人です」答えてくれたのは真理恵ちゃん。舞子とタッグを組んで戦法を組み立てるのが上手な参謀タイプ。
「保護者?なんでそんなものが来ている。上からはそんな事は聞いていないぞ」訝しんでいる先生にすっと前に出て説明を始める海斗兄。
「なるほど。護衛のヘルプできた部隊があるといいていたが、美弥さんのご兄妹が所属する部隊だったということですね。で、見学者とは物品を運ぶ後方部隊の方々だと。それはわかったのですが、なぜついてこられたのですか?」もっともな質問である。そもそもなぜ健斗さんたちが来たかは説明を受けてない。見張り役?は咲耶姉さんだったはず。
「ああ。一応どんな状態かの確認と美弥に慣れさせるために連れてきたんですよ。最悪、1年間そのまま護衛に入りそうなので」海斗兄がそういっているからお母さんはそのつもりでいるんだなー。と思いながら渡された今日のお題であるヒイの実とライズの葉を調べている。ヒイの実は魔力を使いすぎた時に飲む薬の初歩に使われていて魔法使い系の人たちに人気な植物。ライズの葉は、解熱剤の材料になるらしい。どこに生えているかみんなでチェックして出発しようと話をしているとザワザワして落ち着かない。ふと海斗兄を見ると来てくれた。
「どうした。泣きそうな顔をしているじゃないか」そんなことを言われてもざわめきが落ち着かない。海斗兄の服の裾をつかんで見上げると
「はー。今日は戻った方がいいかもな。先生。すみませんが調子が悪いみたいなので今日は休ませます。それと、この森を今日は使わない方がいいかも知れなません。何やら変な感じがしているそうなので」先生に忠告している海斗兄。勘が働くというのかどうか、変な感じがするといっているときは敵意を持っている人がいるとか害したいと思っている人がいることを海斗兄は知っているからだ。
「変な感じで採取を止めるわけにはいかないと言いたいところですが、妹さんはこの手の勘が強いみたいですね。採取人が変な感じがするというときは避けた方がいいというのは常識なので。私的には変な感じがしないので、私には無害なのが私の勘にまだ働いてないのか。どちらかですね。今日は早朝の授業は中止とします。明日また会いましょう」理解を示してくれた先生にお礼を言ってその場を後にする私。友達たちは違う場所で採取するかどうか話し合っていたが、ごはんを食べてから仕切りなおすということで話がまとまったようだ。
「あんたがそこまで嫌悪感を抱くんだから。私たちにも被害があってもおかしくないと思っただけだ」と言っている舞子と真理恵ちゃん。
帰ってきた私たちを見て何か感じた喜一兄は、朝ご飯をみんなに配給し始めた。食料は健斗さんたちが持ってきてくれたのを使用して部下の中で料理人の技術を持っている人が腕を振るってくれた。途中からは料理人の適正がある友達が手伝いながら教えてもらっていたので美味しいご飯を食べることができたようだ。なぜようだというと私のご飯だけお粥だったから。しかも、野菜と少しのお肉が入ったなんちゃって野菜粥。レシピ提供は私の世話係であるタキさんとお母さん。帰ってきたのを見てすぐに喜一兄が連絡していたようで、お粥のそばには栄養剤と胃薬が一緒に置いてありました。
「お前は、今日はどこにも行かずに寝ていろ。疲れが出たんだろ。寝ている間に咲耶も来るし、お前の主治医も連れてきてもらう手配だ。気にするな他の奴らも無理しないように護衛などつけてやる予定だ。それに、校内で不審な情報などが上がっているところはこっちで調査する予定だから。温床になっているところは徹底的に潰させてもらう。こんなところにで自分の子が勉強するのが我慢ならないと夫人も言っているいるから。あと、明後日あたりに夫人と母さんがそろってくるからな。それまでにあらかた潰しておかないと親父が出てくる」説明なのかつぶやきなのか良く分からないセリフを言いながらお粥を食べている私を見守りつつ自分のご飯を食べている喜一兄。
「そうそう。ここの結界を少し弱めてくれ。これだとあぶりだしたい人間があぶりだせないからな」ニヤット笑っている喜一兄が寿一さんに似ていてちょっと怖かったです。寿一さんもこんな顔をしながら私の部屋で反乱分子?を潰す計画を鷹継さんと嗣広さんと話していたことがあった。確かあの時も私にちょっかいをかけてきた人間がいたような・・・どうだったけ?と手を止めていると
「どうした?変な味でもしたか?」喜一兄に聞かれたので正直に寿一さんのことを思い出していたと言ったら。
「そうか、最近会ってないから忘れられたか。と心配していたからら寿一兄貴が。たまに写メでも送ってやれと伝えておくか」そういって携帯で何か操作しているのでメールでも打っているいるのかと食事を再開する。ぼそっと何かつぶやいていたが、すぐに携帯を仕舞ってご飯を食べ始めたのでそんなに問題だとは思っていなかった。