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目を覚ますと枕元には心配顔の咲耶姉さんと主治医のお婆がいた。今日来るって喜一兄が言っていたな〜と体を起こしながら思い出していると。背中に腕をまわして起きるのを手伝ってくれる咲耶姉さん。
「起きましたか。これをゆっくり」薬が入ったコップを渡してくれるお婆。渡されたコップには緑色の液体がなみなみと入って居る。基本的に薬湯の色は緑だが薬の種類によって匂いが変わってくる。と言ってもすごく青臭いかどうかぐらいなので飲みなれている薬湯ぐらいしかわからないが、今日は、解熱剤と胃薬のブレンドだな。胃薬は解るけど解熱剤?考えているとグラッと目眩が横にいた咲耶姉さんが支えてくれたので倒れることも薬湯をこぼすことはなかった。
薬湯・薬などは基本的に平民の口に簡単に入るものではない。精製するにもお金がかかるしその人によって調合する量も変わってくるため1杯の薬湯に1万円くらいすることだってある。家はお母さんが薬を生産している関係でコネがあるため薬を調合するのが上手なお婆を主治医にすることができるし薬はお母さんが精製したのを使っているからほぼ無料で手に入る。母さんが薬草を採取する仕事についているというのも強みになっているが。
「少し熱が出てるから寝てなさい。頑張りすぎよ。周りに展開している効力を8割りくらい落としなさい。鍛錬ができないでしょ?「念のためだ。ちゃんと飲めよ」テントを捲り顔を見せている喜一兄。様子を見にきたようだ。お婆が飲むよう掌を下から上に上げて更に促してくるので致し方なく飲む。口のなかに広がる苦味に眉間に皺を寄せ
ている私を見て笑いながらで出て行った喜一兄
「ちゃんと寝てなさい。宜しくね」寝るように促して布団を掛けてからお婆に声を掛け出ていく朔耶姉さん。大人しく横になりながら鍛錬ってなんだろう?といつも以上に回転しない頭で考えていると
「今は何も考えず眠りなさい」そう言いながらガリガリと薬草を潰し調合しているお婆。仕事で母さんがいないときよくお母さんが面倒を見ていてくれていた時みたいだ。なんか安心するなー
人の悲鳴と争う声が聞こえる。何が起こって居るんだ?慌てて体を起こして簡易ベッドから出ようとすると
「大丈夫ですよ。少し騒がしいだけですよ」カラカラと笑って居るお婆。腹が据わっているのか経験の差か。さあ横に為ってください。と促されて横になる
「美弥様は頑張りすぎですよ。まあ、周りがちびっこ達だけだから仕方がないと言えばそうだが」
しわしわの顔を更にしわしわにしてため息を疲れる。傷や病気になると世話になっているため孫のような感覚なんだろう。寝ているのが飽きた事を伝えると笑いながら暇潰しの物品を横に置いていたバックから出してくれるもどれも採取や細工・魔法などの勉強に関する物が無い
「休むのも仕事。外では模擬戦をしているので、テントから出さないようにと申し使っている」外に行こうとする私に釘をさすお婆。さっきの争う声が聞こえたのは模擬戦だったからか。
「お気に召さなかったか。なら、ほれ」出していた暇潰し品を片付けてから差し出した物は本だった。軽く読める感じの内容だったのでそれを読むことにした
「やはり母親だね」本を読んでいる私を見て笑いながら傷薬を作っているお婆。模擬戦と言えども怪我をする人も出るだろうからそのために用意しているのだろう。そこまでの要請をしているということは以前から喜一兄は模擬戦をしようと思っていたらしいが部下を二分しての模擬戦なのかな?争う声には友達の声も混ざっているように聞こえるのはなぜでしょうか?つか、指揮官の声が喜一兄と咲耶姉さんポイのはなぜでしょうか?もしかして、喜一兄の部下・戦闘系の友達とを混合して2つに分けての模擬戦でしょうか・・・・
「それだとしても。ここに来て2・3日しかたって無いはずなのに模擬戦できるのかな?」呟く私に
「普通だと無理だろうが、詠唱の効果が有るときに基礎を行っているんだろ?なら、普通よりもコツを掴みやすいだろうな」お婆が答えてくれる。
「何で?」聞き返す私
「何も知らずにしていたのか?詠唱は神に助けてほしいな。だけではなく簡易的な加護を与えてもらう技術でもある。怪我を少なくとか上達したらいいな。くらいでも毎日していればしてないものより目を掛けて貰う事が出来る」説明をしてくれるお婆。成る程、だから喜一兄が頑張りだと言っていたんだ。納得している私をみて知らんかったかーと呟いているお婆。本を読みながらそんな会話をしていると喜一兄がテントに入って来て
「終わったぞ。遅いが昼食にしようか」 と声を掛けてくる。模擬戦がひと段落したようだ。朝からご飯を食べてないことを思い出してテントからお婆と一緒に出るとテント村の広場的スペースが抉れていたりぐちゃぐちゃになっていて、いかにも戦いました今。という感じになっていうる。ぐちゃぐちゃになった大地に喜一兄の部下や戦闘系の友達が腕や頭から出血しながら座っている。そして、その怪我を回復系の友達や部下たちが回復魔法をかけたり・飲ましたりして回復をさせている。魔力切れを起こした魔法使い系・支援系の部下や友達たちもぐったりして地べたに休んでいる。さながら野戦病院のようだ。ポーションを作ることができる生産系の友達がすごい勢いで薬草を潰し精製しているがすぐに回復のために消えていき作っても作っても終わらない事になっている。
「手伝え!!軽傷な人や見学の人!!」怒鳴っている。いつもはおとなしい彼女が怒鳴る姿を見てビビったようで見学していた人たち?は手伝いに走ったようだ。
そのさらに後ろでは料理人がご飯を作っている。スタミナ・体力が付く料理や魔力が回復しやすい料理など手すきのものを投入して作っていたようでいい匂いがしている。
テントから出て周りを見ている私をつけた喜一兄と咲耶姉さんが立ち上がり近づいてくる。ちょうどそのときごはんが出来たのか料理人から
「自力で来れるものは食事をとりに来い!できないものはあとから配る!!」声が上がっている。
「少し休めたのか?」
「大丈夫?」と心配そうに声をかけてくれる2人に大丈夫だと伝えようとするとポーションを補充しに行ったお婆が帰ってきて
「大丈夫なはずないだろう。あんな規模の結界?を張っていたんだからな。もう少しゆっくりする必要がある。この結界?を展開しないで休まないと体に悪い」そう診断を下しやがった。
「ということは2・3日お休みかな?」喜一兄がつぶやきそれに同意するように頷くお婆と咲耶姉さん。
「それだと授業についていけなくなる。採取だって魔力運営だってポーションづくりだって始めたばかりだし。付加魔法だって基本魔法だって全然やってないんだよ?あと1年しかここでは学べない。来年になれば元の学校に行って発展とかレベル上げとかやすやすとできないじゃん!!」抗議の声を上げる私を見て
「やりすぎは体に良くないわ。ここで体を壊したら来年寝たきりになるかも知れないのよ?そのせいで変な後ろ盾を得て将来大変な目に合うのは美弥なんだから。ここは焦らず数日休みなさい。お前を憎んでいるものだっているんでしょ?弱っているところを畳み掛けるように攻撃するのは基本だから狙ってくると思うの。美弥がが弱って守りが落ちて友達が大変な目に合わないと言い切れないんだから、ここはおとなしく喜一に任せなさい」諭すようにいう咲耶姉さんに言われてしまい我慢することに。体調が万全ではない時に変な攻撃を受けて守り切れるかというと自信がないし。喜一兄もそれについては色々考えてくれて対策を練っているようだから。わかったと頷く私を見てご飯を食べるように進めてくるので昼のご飯を食べることになった。
「そういえば健斗兄さんたちって帰ったんの?ご飯食べて寝ちゃったからわからないけど。それと採取は行ってきたの?」兄妹で食事を終えてゆっくりしているときにふと思い出した。朝に健斗兄たちが来ていたことを。
「あいつらならいるぞ。まだ。風の加護を得ていると情報が得やすいからな。物資を配達するという名目で校内をうろうろしているはずだ。今日は校内をうろうろして情報を得たうえで外と中の情報を教えてもらう手はずになっている」喜一兄のことだから情報を得た時点で上に圧力と正常な先生に支援するとかなんとか言って私物化している先生をどうにかしそうだな。
「採取は行ってないよ。今日はここで模擬戦をすることで戦闘・支援・魔法系の底上げとポーションを作ることで生産の底上げをすることになっているよ」近くでご飯を食べている友達がそう答える。
「そうそう。反省会をみんなで行って改善することにしているし自分のなりたい職業についている人がいるから参考意見を聞こうと思って」そう教えてくれる。
「生産系って言っても鍛冶や被服系の人もいるんじゃないの?」そう聞いる私に
「ここにいるのは戦闘系5人。回復2人。鍛冶が3人。そのうち回復が兼用で支援もできるし。全員ポーションは作れる。戦闘系でも魔法を使える人もいるからね」ちょっと離れた場所にいた舞子が教えてくれた。
「普通は純粋にファイターとか魔法使いとか鍛冶職人とかになるんだけど。ここにいる子たちは副職というか出来ることが多いよね。戦闘系がポーションを作れるとかありえないんだけど。回復系が体術使って攻撃したり。戦闘系が回復魔法使ったりとかね。それに鍛冶が土・火系の魔法以外を使うのもびっくりした。それも攻撃魔法を使っている。最初見たときなんなのって思ったのよ」咲耶姉さんがため息をついている。
「だって。一部先生に目をつけられてポーションとか手に入りずらい状況になったんだもん。純粋にそれだけを極めるのは簡単だけど、それだと回復もできないじゃない?だったら自分たちでできることをしよって話になってね。戦闘系でも適正があれば回復を覚えればいいし。鍛冶だって魔法の適正があるならいざって時に反撃できるようにって攻撃魔法を使えるようになったんだよ。回復系だってその通り。守って貰うことが出来ない状況だってあるかも知れないからある程度の戦闘技術を有さないとね」そう教えると本当に美弥って・・・とため息をついている。
「だからこその模擬戦だったりするんだ。戦闘系が料理をとっているとは面白いがな」笑って調理をしている友達を見ているお婆。
「だって。回復するのにポーションだけだったら味気ないじゃん。料理が出来たら遠征でもごはんに困らないでしょ?森に入れば香草だって取れるし。肉も魚も野菜も手に入るじゃん。それを味付けしないで食べるの味気ないでしょ?」そういうとさらに笑っている。
「さ。見学していたものは模擬戦をそうじゃないものは反省会後、ポーション精製と食事の片づけ・仕込みの手伝いを」号令をかけている喜一兄。全員のレベル把握も護衛の仕事なのかな?
その声でばらけるみんなを見てお婆が寝るように促すが、寝ることに飽きたと主張してポーション作成に混ぜてもらうこととした。無論、魔力を込めることを禁止されたので潰すだけだが、寝ているより体を動かしている方が時間の経過が速いので助かった。
ポーションを作りながら友達と模擬戦について意見を交わしたり今後とる技術の話をしていると2時間なんてアッという間に過ぎて行った。
後半の模擬戦は咲耶姉が勝った。ところどころでありえない?という声が響きわたる模擬戦はかなり見ていて楽しかったと言っておく。




