独白
はじめて長編に挑戦してみます。
誤字脱字ありましたらすみません。感想くれたらうれしいです。
俺は、長谷川正人。三十四歳。
独身で天涯孤独。
一か月前まで勤めていた中小の印刷屋は潰れ、
次の仕事も見つからず、
家賃の支払い期限だけが、やけに正確に迫ってきていた。
インクと紙の匂いが、まだ鼻の奥に残っている。
どうしたらいいのか分からないまま、
家具もほとんどないアパートの床に座り、
終わる日を待っていた。
そんな時だ。
神様に呼ばれた。
言っておくが、頭は正常だ。
たぶん。
幻覚も妄想も、俺なりに疑った。
なろう系が好きで読み漁っていた時期もあるから、
展開がそれっぽいのも理解している。
だが、転生はしていないし、
トラックにも轢かれていない。
その自称神様は、
俺が納得するまで、徹底的に証明してきた。
月の裏側にも行った。
世界中の観光地を巡り、
カジノでは負け知らずで、
各地の美女にも、なぜかやたらとモテた。
一か月。
やれることは、だいたいやり尽くした。
そして言われた。
――仕事だ。
内容は、神様の使いっ走り。
この世界は人口が増えすぎて、
神一柱では手が足りないらしい。
俺が選ばれた理由は簡単だった。
天涯孤独。彼女なし。
利害関係者が極端に少なく、
先進国生まれで、いい感じに平和ボケしている。
褒められている気はしなかった。
勤務時間は二十四時間三百六十五日。
勤務場所は自由。
この世界のどこでも見え、どこでも行ける。
人間を含む原住生物には、認識されない。
休憩も睡眠も食事も排泄も不要。
報酬は前払いで、今の俺。
退職条件は一つ。
辞めると口にした瞬間、受理される。
その代わり――
俺は死ぬ
大事なことだから二度言われた。
脅迫じゃないか、と聞いたら、
そう思うならそれでもいい、と神様は言った。
かくして、
俺の使いっ走り業は始まった。




