対決 3
このままでは、あの助っ人にやられる!
焦燥感にかられながら、牛頭馬頭は助っ人から目が離せなかった。
やがて助っ人は二人の側に来ると、何故かしゃがんだ。
そして牛頭馬頭と目線を合わる。
そして、ノホホンとした声で話しかけてくる。
「よう、お疲れさん。
派手にやられたなぁ。
でも、たいしたもんだ、あの帝釈天に本気を出させたんだ。
手加減無しの蹴りだ。
それを受けても息がある。
感心、感心。
よく鍛えてあるなぁ、実力もそれなりにあるようだね。」
この助っ人の言葉に牛頭馬頭は頭に血が上る。
何が感心だ。
俺等は地獄で生きるため死線をなんどもくぐり抜けてきたんだ。
そう簡単に殺されてたまるか!
そう思った。
助っ人の話はさらに続く。
「だが、勘違いしない方がいいぞ。
今のが本気といっても試合での本気だ。
死闘なら、これでは済まん。
蹴りが入ったとはいえ、本人は寸止めをしようとしたみたいだ。
まあ、ちょっとだけ当たったのはご愛嬌というところかな。」
この言葉に牛頭馬頭は目を見開く。
寸止めだと!
それも少しだけ当たっただけだと!
この威力でか?
巫山戯んな!
声を出して罵倒したいが、声が出せない。
先ほどの蹴りがきいていた。
牛頭馬頭は口をパクパクと動かせただけだった。
そんな二人の様子を、助っ人は楽しそうに見ている。
おそらく二人の顔色で何を言おうとしたのか察したのだろう。
助っ人はそんな二人を暫く無言で見ていた。
二人が落ち着いた頃を見計らって、助っ人は話し始める。
「それでだ、帝釈天が言うにはだ。
あ、そうそう、その前に・・。
今、彼奴は呼吸ができず話ができん。
まあ、お前等の計画通りといったところかな?
毒が体に回ったようだね。
だから、彼奴は今は話せん。
よって精神干渉での会話を彼奴としてきた。
精神干渉って、わかるか?」
牛頭馬頭は肯いた。
精神干渉とは、能に干渉することだ。
簡単にいうと能は考えると微弱な電磁波を出す。
その電磁波を受け取ることができれば、考えていることがわかる。
逆に自分の考えていることを、相手の能に微弱な電磁波を送ると会話ができる。
一種のテレパスだ。
助っ人が話している間に、牛頭馬頭は少しずつ回復してきた。
のんびりした助っ人のお陰で、蹴りを受けてから少し時間がかせげたからだ。
呼吸が少しずつ楽になり、なんとかしゃべれそうだ。
これなら、もう暫くしたら立てる。
そう思った。
助っ人は、牛頭馬頭が精神干渉が理解できることがわかり良かったという顔をする。
「精神干渉が、わかるなら話しが早い。
俺が勝手に話しを作っていないことが分かるな?」
「ああ、分かる。」
馬頭は枯れた声で、はっきりと答えた。
その答えに、助っ人は牛頭馬頭を交互に見ながら話しをする。
「彼奴が言うにはな、これで俺の勝ちだろうと言っている。」
これに馬頭が噛みつく。
「いや、俺達の勝ちだ!」
「ん? 何故そう思う?」
「もう、俺達は立ち上がれる。
片膝をつき呼吸が出来ない帝釈天様に勝ち目などない!」
「本当にそう思うか?」
「!・・・・。」
「なら、やってみればいい。
だがな、今、帝釈天はあまり余裕がない。」
何をいっているんだ、この助っ人は?
毒を喰らって死ぬ寸前の帝釈天様だぞ?
余裕がないのは当たり前だろう?
だから俺等二人でかかれば、いくら帝釈天様でも・・。
いや、待て・・今、何と言った?
帝釈天様にあまり余裕がないと、敢えて何故言う?
余裕がないからどうだというんだ?
・・・まさか!
そういえば・・
今まで帝釈天様は手加減をしていたと言っていた。
それはハッタリではないのか?
いや、ハッタリではないだろう・・・。
それは、認めたくないが認めざるをえない。
毒を喰らい片膝をつきながらも、あの闘気を纏っているだ。
ならば手加減ができないから、気を付けろということか。
俺等に死ぬぞ! という警告なのではないのか?
馬頭に冷や汗が流れた。
助っ人は、そんな馬頭に《《にやり》》と笑顔を向けた。
そして馬頭の考えに同意した。
「ああ、お前が思っているとおりだ。」
この助っ人の言葉に馬頭は硬直する。
・・・精神干渉で俺の心を読んでやがる。
いやな野郎だ。
それにしても神とはなんて理不尽なんだ。
俺等には、精神干渉なんてできないというのに・・。
そう考えた時だ。
「精神干渉はお前でもできるぞ?」
「え?!」
「だが、俺は教える気もないし義理もない。」
助っ人のこの言葉に牛頭馬頭は呆然とする。
俺達にも精神干渉ができるというのか?
そんな呆然とする牛頭馬頭を助っ人は無視する。
「さて、先ほどの話しだが、どうする?
帝釈天に止めを刺しにいくか?」
その言葉に牛頭馬頭は思わずゴクリと喉を鳴らす。




