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イデア  作者: 天汰唯寿
第4部 「終止符」
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第六十話 「鋭利な目」

「ノートを城内に入れるのはマズイな…!」


彼が腕を広げ合図すると、地上から闇が滲み出てきた。



「ネガモルト!!ソイツを始末しろッ!!」


「いや無駄だ。」



走るノートの影が揺らぐ。

これまでこれを幾度と見てきたガルフィスはすぐに分かった。


振り返ったその先。

ネガモルトもいないその先。



彼はその先の未来を走り抜けていた。


「今のは輪廻(ループ)か…!」






後方に銃を構えるクロブは、今やっと分かった。


「そうか!さっき歩いていた時間に別の時間軸の自分を走らせておいたのか…!!

いざという時に自分の位置を変えられるように!」



「そうはさせない。逆行(リトロ)!!」


ガルフィスの目線の先はノートだった。



「…?」


走り抜けていく痛覚。


瞬間、違和感に気付いた。

前に進もうとする意思が足にリンクしていない。



「お前の動きのベクトルをイジった。もうマトモには動けまいッ!!」


「ノート!!」


クロブの拳銃が火を吹く。

三発のマグナムがガルフィスに向かって牙を剥く。


「そんな物で視線を変えるとでも?」



彼は振り返りもせず、銃口を背後に向けた。

流れるように拳銃が火を吹く。



徐々に近づき合う弾。



ついに爆発音が辺り一帯に轟かせた。




彼は見えていない筈の弾を正確に射抜いたのだ。


「な!?」

「…この程度、普通分かる。

聴覚であれ何であれ、感じ取れない感覚はない。

さっきのは間合いがメンドかっただけだ。




特にお前の『爆風マグナム』。

火薬のニオイが染み出てる所為でよく分かったよ。

一番の手掛かりだった。


起爆点は弾の先端。


そこを射抜けばいくらでも防げる。」



全て見切っていた。

狂った感性だけでなく、高い戦闘能力も垣間見えたこの瞬間だった。



「よくまあベラベラと話すなぁ…そんなんじゃ、周りだって見えないぞ?」

「何を言って」



瞬間、彼の目元を弾丸が掠める。


「な…ッ!?」


それこそ1秒もかからずに頭を下げた。

しかし避けきれない。




「ッグァ…ぁ!!!」


紅の群れが流れ落ちる。

手で押さえようにも、その隙間から零れ落ちていく。




「ァッ…しまッ…!!」


目の前に視線を戻すも、ノートはいなかった。






「『だるまさんが転んだ』って感じだな。その技。」

「…キサマ…今のは…!!?」




「跳弾さ。この速さじゃ普通狙える技じゃないが、『疾風マグナム』の風があればイケる。」


「つまり…最初の三発は…囮…ッ!?」


「正解だ。囮に爆風マグナムを使ったのは爆発音に銃声を紛らわせるため。


簡単な話、お前の視線さえ外せればなんでも良かったのよ。」


右手に銃をクルクルと回し、気怠そうに笑った。





「……お前は、生かしておいてはならない…」


それまで見せていた背を返し、ハッキリとクロブを認識した。


「やっとその気になったか?」

「全くもってやる気は湧かない。だが、この目の代償を払ってもらう……!!」




彼は目を見開いた。



その時。




地鳴りが聞こえ始めた。

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