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イデア  作者: 天汰唯寿
第2部 「守護の旋律」
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第二十八話 「天上」

「ど、どういうことですかこれ!?」



「やつの能力は」

「言わせないよ?」


ノートに襲いかかるもう一人の姿。


「伏せろ!」


クロブの銃弾は眉間を正確に撃ち抜いた。




銃声は響き渡る。




同時に二人程の足音が聞こえた。


「な!」


それは、二人のアイリスだった。



「燃えろ!」

レドの放った炎は、その二つの姿を消した。



「待て、これ何人いやがる!?」




見渡す限り、


アイリスがいる。

四方八方同じ顔の人間だ。




「どうすんだこれ!?」

「本体を見つけるしかない! レド!」


「もう流石にあの竜巻は出せませんよ…」


「なら…!」



思い切り振りかぶり、大剣を投げた。




剣の重さ故に、たやすく天井が壊れた。

次にノートは



飛び上がった。


止まる事を知らず、高度を上げる。



先ほど開けた穴を抜け、玉座の間の天井に辿り着いた。




「…!まずい!」


アイリスが後を追う。








そして、今、アイリスが穴から出てきた。


「想定通りだ。」



「あっ!」

「そう。今、俺の目に幻覚は見えていない。


いうなれば、射程距離の様な範囲から出ているからな。」



ゆったりと天井から落ちていく。



「でも、まだ!」

「いいや、結果はもう決まってる。」




一心不乱に銃を撃つ。

されどノートには当たらない。


ノートを守る二本の剣が全て捌いている。




左腰に大剣を当てた。



「…一式居合……」




大剣が怪しく輝く。




「『死の鎌』!」



激しく咲き誇り、一瞬にして消えた。

空間さえ切れて見えた。


真っ赤な一輪の花が咲いた。


天へ届く程の花弁を伸ばして。




そして、球根はそこに倒れた。




「……」

「なんだ、結構効いたのか?」


鋭い傷を負った人間は、無言で闇へ溶けていった。












「にしてもアイツ、敵を倒すスピード。早すぎじゃないか?」

「そりゃぁ、なんせあと5sy」

「それ以上はいけない。」






「残りは、あと二つか。」

「さっさと終わらせよう。」

「そうだな。」
















ブランシュ城


「あぁ、帰ったか。三人とも。」

「ラスター王。『影』について何か分かりましたか?」



「…悪いが、全く思い当たる人間が居ないんだ。」


「じゃぁ、アイツらの目的とかは?」


「わからん。」




「アイツらについて、完全に調査が行き詰まった…って事か。」

「あぁ。後は実際に会ってみる方が良いと思ってな。」



「それってつまり?」

「私も同行しよう。」






















止まる事のない火山


「…いや暑。」



一行が訪れたのは、火山地帯だ。


足元にも溶岩が流れ、一歩間違えれば

一瞬で御陀仏だ。




「それで…どの辺りにあるんですか?」



「この一帯の、火山の中心部だ。

その火山だけは、中央が空洞になっている。」


「じゃあつまり、溶岩が噴き出てない火山を探せばいいんだな?」


「そういうことだ。」

「おー、頭良い。」















数分後、


ノートはふと目についた火山を登っていた。


なにせ、何処へ行こうと暑い。

とうに限界など超えていた。


硫黄の匂いが立ち込めるこの空間では、

立っている事すら不思議な事かもしれない。


しかし懸命に歩いた。







やっとの思いで頂上へたどり着いた。


「……!」


見つけたのだ。

溶岩の流れ出ていない火山を。




急いで山の中腹まで戻った。


「砕けろ!」


山に剣を突き立てた。



異音が聞こえた。




すると、大地は脆く崩れていった。






そこには、確かに奥へと続く空洞があった。

「あった…あったぞ!」




「ご苦労さん。ノート。」









寒気がした。


これほどまでに暑いのに、寒いと言うのはおかしいかもしれない。



だが、


確かに寒気がした。







「俺を忘れたのかい?ノート。」



背中をとっていたのは、ガルフィスだった。

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