第二十七話 「認知」
「なんだ?また例の幹部か?」
「なんか、それほど強そうには見えないな。」
「もしかして今アタシの事、弱いって言った?」
「ご名答。」
「ひどいな〜。自分だって一応リーダーに認められてるんだよ?」
思った。
また、キャラの濃い奴が来たな。
三人の考えは一致していた。
「それで…お前さんの能力は何だ?」
「それは言えないな〜。」
「んじゃお名前聞いとこうか。」
「アイリス・グレイア。」
「アイリスか。覚えておこう。」
「もうナンパ終わり?」
「そうだな。後は君が退いてくれれば一番良いんだが。」
「それは出来ないかな。」
「んじゃ消えろ。」
クロブの手から銃弾が放たれた。
一直線にアイリスの頭を貫く。
そのまま倒れた。
「え、どこ狙ってるの?」
アイリスは三人の背後にいた。
「何?」
「なんか、ノートと同じような能力?」
「いや違う。今のは少し違う原理のはずだ。」
「その根拠は?」
「順を追って説明しよう。」
俺の輪廻は、ほんの一瞬だけこの世界の時間軸から外れる事によって発動させている。
下手すれば、そのまま時間軸の狭間に流されて消滅するけどね。
時間軸から離れ、次に俺が入ってきた時に
それまでの俺の行動は上書きされる。
それまでの俺は「消去」されるんだ。
つまり、この能力では
俺の姿は一つしか出来ないんだ。
「…だが、見てみろ。
ヤツの姿は今もハッキリと二つある。
指した方向には倒れ込んだアイリス。
そして現在こちらへ向かってきているアイリス。
確かに二つの姿がある。
ノートは一瞬で全ての状況を把握していた。
「じゃあ一体、どんな能力なんだ?」
「それはこっから考えるしかない。」
「何を話してるの?」
右手にはライフルらしき銃が握られていた。
「あれも心か?」
「そうだろうな。」
ノートの右手にも大剣が握られていた。
「向かってくるの?いいよ。来なよ。」
「…」
そこまで馬鹿じゃない。と、睨み返したようだった。
「ここで向かっても、やつの秘密が分からない限り手出し出来ない。」
「分かってるね。それじゃ、
こっちから行くよ。」
自然な動きでライフルを差し出した。
アイリスの顔は照らされ、弾が雨の如く降り注いだ。
「なんだこの速さ…!」
もはや機関銃の連射だ。
「弐の型『双竜』!」
ふわり浮く二本の剣が、その光で暗闇を灯した。
器用にも、弾一つ一つを見事に跳ね返していく。
「…もしかして、跳弾狙ってる?」
アイリスに向かった弾丸は右足を掠め
更に後方へ飛んでいく。
さらに二、三発の弾がアイリスへと向かう。
だが今度は掠りもしない。
「…!まさか!」
四方八方から弾が飛び交う。
もう安全地帯など無い。
「…ッグ…!」
右肩に一筋の放物線が当たった。
「にしても、背中ガラ空きじゃん。」
声はノートの背後から聞こえた。
おそらくレドやクロブの更に後ろだ。
「ノート!後ろに」
「見るな!レド!」
ノートの声が響いた。
「え?」
「もしかして、もう気付いた?」
「今の弾丸で分かったよ。お前の能力。」
「しくったな〜。ちゃんと受けるべきだったかな?」
「…?どういうことだノート?」
「ヤツはまだ数発しか撃っちゃいない!」
「…勘が鋭いとは言ってたけど、ここまで鋭いのね。」
「勘じゃないさ……今跳ね返した弾丸で分かったんだって。」
「数発しか撃ってない?どう見ても何十発も撃ってるだろ!」
「それがコイツの能力だ!
…レド、もっと後ろに下がって見てみろ。」
「え、あはい。」
言われた通り、かなり後ろに下がった。
「…!これは!」
レドの目には、確かに数える程度の弾しか写っていなかった。
記録Ⅱ
研究の第一歩目をここに書き記す。
能力は発現した時点で、
持ち主はそれがどんな物か分かる。
また、守護者については、
特定の条件が満たされない限り、それを見る事は不可能。
今回は、これまでとする。




