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ピコーン。ピコーん。「新着メッセージです。」
家中に、スマホの通知音が鳴り続けていた。働き始めてから初めての休日。初日の気楽さからは想像もつかない程、俺は心身共に疲れ果てていた。昨日も残業が終わり、終電で自宅に帰り、夕食も食べずに倒れるように寝ていた。とりあえず、煩わしいスマホの通知を確認する。
「母です。元気ですか。働くって大変だと思うけど頑張ってね。(よく分からない顔文字)暇なとき電話ください。」
同じようなメッセージが何件も来ていた。最初の通知が、昨日の夜から来ていた。息子の社会人生活が心配なのだろう。その気持ちもわかるが、今はその通知に返信する気が起きない。俺は社会人生活という学生の頃からは想像もつかなかった現実から目を背けるように、夢の中に逃げ込んだ。
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完全に目が覚めたのは、午後4時だった。何も食べずに寝ていたため、空腹に耐えかねて冷蔵庫を開けた。中にはペットボトルの水が何本かあるだけ。「地震が来ても大丈夫だな」とつまらないジョークを呟いた。相当疲れているのが自覚できた。
とりあえず、コンビニでパンとミルクティーを買い、乾いたパンをミルクティーで流し込んだ。タバコに火をつけ、ふー、と煙を吐き出した。煙が目に入り、涙が出てきた。何度もため息にタバコの煙を乗せて吐き出した。太陽が夕日になり、西の空に沈んでいた。




