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伸ばした手の先 4

「別に難しく考えなくてもいいんだよ。ただ、自分は此処に居る、って向こうに分からせるだけで」



え?と目を見張る。最近言われた…感じたことと同じこと。

「世界中が敵に回っても味方でいる、なんて絵空事じゃなくていいんだ。ただ『知っているよ』っていう奴がいてくれるだけで、結構安心ってできるもんだからさ」



――俺は知っているから――



耳の奥に蘇った言葉。ああ、そうかと思う。確かに私も救われたんだ。

なら簡単な事。それを返すだけ。

「なんか、気分は古賀君と一緒のキリちゃんだけどね」

硬派の大物、学年で1,2を争う美形の「お守り」をしていた友達の苦労の日々を思い出して苦笑いが浮かぶ。

彼女の場合、対象は古賀君だけじゃなかったけど…お兄さんとか、その他もろもろの先輩たちとか。


「…あいつほど大変じゃないさ、多分」

「対象は一人、だもんね」

それに、と口に出さずに思う。また、あんなふうに笑ってくれる久住くんを見てみたい…なんてね。

「噂になるだろうな、久住くんおモテになるから」

「黙って見ている分にはイイオトコだもんなぁ」

「話しても、イイオトコだと思うよ」

勿論結城君もね、と笑うと気取って頭を下げてくれる。

オーダーしたカフェオレは凄く美味しかった、サービスだよとマスターが出してくれたパウンドケーキも優しい味がして幸せな気分になる。


大丈夫、いける。なんて、脈略なく思えるほどに。



驕る、という結城君の好意を素直に受ける。男の子が驕ってくれるときは、女の子は笑顔で「ごちそうさま」よ。

そういったのは、忍さん。彼の双子のお姉さんは彼氏以外の男性に厳しい。

「近いうちにみんなで遊ぼうぜ。計画立てておくから」

「うん、楽しみにしてる」

同じ校区だから、と家まで送ってくれた結城君を門のところで見送って、部屋に戻るとアルバムを取り出した。

生徒会長だった小林君、副会長の忍さん、彼らを中心にした学年の主軸だったメンバー。こうやって見てみると結構な確立で久住くんも一緒に写っていたりするのは、直接ではなくても共通の友人がいたからだ。直接話す事は少なかったのに、気が付くと共有する思い出は沢山ある…と、改めて気づかされた。

少ないと思っていたのは、他のコ達と一緒に動いていたから。











翌日。





立ち上がって、久住くんの机へと向った。何となく視線が向けられているのが判るけど…まぁ、いいや。

優ちゃんが意味ありげな笑いを浮かべたのが目に入った。…後が正直恐いなぁ。


「おはよう、久住くん」

流石にわざわざ傍まで来て挨拶したことは無かったから、少し驚いた顔をしている。まぁ、こんな顔がみれるならいいか、なんて思いながら自然に浮かぶ笑顔に彼も微かに目を細めてくれた。


「…キリ、見てるみたいだ」

「それは、過分な評価をありがとう」


まぁ、多少意識しなかった訳ではありませんでしたが。キリちゃんの「たくらんでます」的な笑顔。本人に言えば「しっつれいな」って返ってきそうだけど。




「おはよ、どうした?」

言外に近づいてくるなんて珍しい、って言われているね。こうやってちゃんと話すと、思った以上に久住くんって人を知っている自分に驚く。なんだかんだと間接的に関わってきたんだなぁ。

それは向こうも同じだろう、笑い顔ひとつでキリちゃんを思い出すくらいだから。



「昨日、結城くんに会ったよ」


始めてみよう、彼が示してくれた好意を自分なりに返すために。


そして、心の隅に芽生えた「何か」に正直になってみよう。


まず、一歩。




「今度、遊びに行こうって」






とりあえず、この二人は一旦終了です。ご縁がありましたら、また。

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