表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
77/86

77 ソフトロボット

 「未来の私」は首をかしげて数秒考え、

「遠い昔のことだからね。正確なところは覚えてない。だけど、中学生の頃に、あのレベルの物は造れなかった気がする。そもそも、私の時間軸では、未来のロタさんにも出会ってないし」


「あっ、そうか」

 シュレナは納得し、

(あの出会いが、最初の枝分かれ、パラドックスだったのかも)

 などと考察する。


 そこへ、「未来の私」は口を開き、

「ただ、今の私なら、あのホタルロボット、もう少し柔らかく造るかもね」

「柔らかく?」

「ソフトロボットって知ってる?」

「何となくは。人と触れ合うために、メカの手先を柔らかい素材で造ってあったり」

 二回、「未来の私」はうなずいて、

「そう、そう。あとは、制御する頭脳の部分と、実際に動く体の部分の境目があいまいなの」

 シュレナは素直に、

「それは知らなかったな。あいまいだと、どうなるの?」

「例えば虫型のロボットなら、歩く地面のでこぼこに合わせて、脚の形や角度を変化させるの」

「その場で?」

「その場で。それで、変化させながら、くせや勢いを素材自体が記憶して、その先の形、角度も予測するわけ」

「形状記憶みたいに?」


 首肯した「未来の私」は、

「発想は同じかな。例えば、災害救助で狭いがれきの下を撮影する際に、臨機応変に潜り込むためには、いちいち人工知能から命令を出すより早いんだよね」

「故障も少なそう……」

「まさに。ロボットの一部が欠損しても、部品自体が別々に考えることが出来るから、機能は停止しないしね」

「うーん、そう考えると、私のホタルロボットは、ガチガチに人工知能で制御してあるからなー」

 と、シュレナは、自作したロボットを思い出す。「未来の私」は、

「中身を調べさせてもらったけど、まさにそうだったよね。プログラミングは正確だったよ。それ自体はすごい。でも、融通が利かないかも」

「決められた動作しか出来ない……」

「ということだね」


 シュレナは、テーブルのホットコーヒーを一口飲んで、

「けどさ、仮にそのソフトロボットを究めて、リアルできめ細かな動作が出来るようになったとしても、それは、本来の人間からは遠ざかってるよね?」

「どうして?」

「だって、人間は、まず脳があって、脳の決定に従って体を動かしてるわけだから」

 だが、意外にも「未来の私」は疑問を挟む。

「本当にそうかな。手足には意志は含まれない?」

「と思うけど。まあ、臓器移植では、ドナーの記憶が引き継がれるみたいな話も聞くけど」

「だよね」


(この話、どこに向かってるんだろう?)

 いまいち、それが見えてこないシュレナは、

「一人の人間を小さく小さく細分化しても、体内の隅っこに自我は残ってるのか、みたいな話?」

「そのこととも関連はするけれど、より的確には、順番の話かな」

 真顔になって、「未来の私」が答えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ