表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
56/86

56 説明責任とは何か

 シュレナの嫌味を聞きとがめ、

「言い過ぎ、シュレちゃん!」

 さすがに、サミヤがたしなめてきた。

 が、教頭は微笑して、

「一理あるね。裏を返せば、説明責任は最重要だということ」


 けんかにならずに済んだので、シュレナも一旦は素直に教えを請うことにして、

「説明責任って、つまりどういうことですか?」

 中学生のシュレナにとって、分かりそうで、もやが掛かった単語だ。

 教頭は、

「要するに、後から理由を聞かれた時に、きちんと言葉で説明できるように、あらかじめ筋道を立てておくこと」

「理論武装……」

「そうとも言うね」

 シュレナの口から思わず出た言葉に、教頭はうなずいた。

 引き続いて、シュレナはせりふを発する。

「私のロボットを文化祭へ出すことは……」

 教頭は再び首肯し、

「どうしても、外部の目からは奇異に映るよね。前例はない、うちは工学系の学校でもない」


(前例、前例ねえ……)

 怒る元気も失せてきた。

 黙っているシュレナへ、教頭は締めくくる。

「まして、市民ギャラリーで問題を起こしたわけだ。

 この状況でロボットの展示を認めると、保護者や来賓から説明を求められた時、返答に窮する。たとえ事故を起こさなかったとしてもだ」


(けっ)

 小さく舌打ちするシュレナ。せめてもの抵抗として、

「でも、やはり、やり方が雑でしょう」

 しかし、その論についても教頭なりの答えはあったようで、

「それはそうなんだが、雑だと言うのなら、そもそも論としては、理学研究部の創部の経緯から考えても、丁寧だったとは言えないよね」

「えっ。何。どういうことですか?」


 妙にスラスラした口調が不気味だ。シュレナが警戒し、身構えると、教頭は続ける。

「さっき、私が一理あると言ったのは、このことなんだよ。

 昨年度、あなたが部を立ち上げたいと申し出た時にも、やはり、職員室では異論も出たんだ。一年生の、それもたった一人の活動に、プレハブの部室を与えるなんて、優遇し過ぎだとね。女子一人で、安全面でもどうかと。

 でも、ゆっくり検討する余裕もなく、その場の雰囲気や勢いで許可したんだ。サミヤ先生のプッシュもあったし」

 シュレナとサミヤの目が合う。軽くうなずくサミヤ。

「あれも雑な対応ではあったのだよ。もし、まともに検討していたら、あれも不許可だったかもしれない」

 淡々と述べる教頭。


 シュレナには予想外の説明であった。

「お、恩着せがま、そ、それとこれとは……」

 言葉が途切れる。言い返したかったが、全くのこじつけでもなさそうだ。

 多忙でラフな雰囲気の職員室だからこそ、恵まれた部室をもらえた。

 ただし、文化祭の出展申請も、後回しにされた。

 背中合わせで、どちらも成り行きにすぎない。

 それなりにつじつまは合っているし、その事実を理解する聡明さも、シュレナは持ち合わせていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ