43 リケジョ再挑戦、対少女型ロボット
続いて、虫型のミニロボットは、「お尻」の部分から淡い光を放つ。オレンジがかった白色の光。極小のダイオードである。
「きれい!」
右手を眺め、イリカが歓声。
直後、ロタも、
「ホタルか!」
「正解っ!」
場が盛り上がって、シュレナの声も自然と大きくなる。
先ほどロタはコガネムシかと尋ねたけれど、実際にはホタルを模したロボットであった。
ホタルロボットは、イリカの手にとまったまま、じっとしている。時折、光を消したり脚を動かしたりする程度。
「名前は、やっぱり、シュレナボタル?」
ロタが陽気に聞いてくる。茶化しているわけではなく、前回の「シュレナビートル」に引っかけているのだろう。
シュレナは首を振り、
「特に決めてはいないです。あえて名付けるなら」
軽く息を吸って、
「むしろ、イリカボタルかも」
「どういうこと?」
「私?」
ロタ、イリカが、シュレナに問い返す。
二人ともキョトンとした顔。
(息、ピッタリだなあ)
シュレナは内心で笑いつつ、
「そのロボットは、イリちゃんの手にとまるように設計したから。
初めて会った日の握手で、イリちゃんの手は、人間よりも温度が高いと感じました」
「ロボットだからねえ」
ロタが相づちを打つ。シュレナは、
「はい。それと、ボディーを制御する関係上、微弱な電波や赤外線などが手からも出ているのではと仮定しました」
「うん、出てるね、それは」
と、イリカ。
(おお、よかった。まさに「本人」のお墨付きだ!)
仮説が正しかったことにシュレナは喜びながら、
「前回の失敗は、私の作ったロボットが、その熱や電波に過剰反応し、エラーを起こしたのだと結論づけたのです」
ロタはひらめいたように、
「今度は、逆にそれを利用したってわけか!」
「鋭い。そういうことです」
シュレナはうれしかった。ロタが正解したことが、ではなく、自分の話を真面目に聞いていることが分かったから。
引き続き、シュレナは説明する。
「そのホタルロボットは、背中の電源を入れると、付近の赤外線や電波を発する熱源を探し出して、そこへ跳ねるようにプログラムされてるんですよ」
「まさに私か」
イリカがつぶやく。うなずくシュレナと視線が合う。イリカは、オッドアイを細めた笑顔だ。
「跳ねるということは、飛ぶ機能はないのか」
ロタのコメントは、またも的確であった。シュレナは、
「はい、ありません。最先端の虫ロボットでも、その小ささで羽根で自律飛行が出来る物は、まだないはずです。
あるのは、プロペラ式か、ケーブルでつながれた有線の物しか」
「へえー」
感心した表情で、ロタは首を縦に二、三度強く振る。
「羽根を広げてたけど?」
「跳ねた時の風圧で、空中でのみ開いただけ。今は元通り閉じてるでしょ」
「なるほど」
シュレナの答えに、イリカも首肯した。




