28 いちいち謝んなよ
シュレナ様
まだ会期が残っているにもかかわらず、切り上げたということですか?
もし、そうなら、大変申し訳ないことをしました。
ロタ
「真面目だなあ、ロタさん。いちいち謝んなよ。無理言って、来させたのは私だっつーの」
スマホでメールを読んだシュレナは、そう一人つぶやきつつ、椅子の上であぐらをかいた。
画面に指先を滑らせ、返事を打つ。
まーそうなんですけど、あと二日でしたしね。友達もみんな来てくれたんで。
ロタさんとイリカさんにも見ていただけて、満足!
また、改良して、すごいの作りますから!
イリカさんにもよろしく伝えてくだされ。
シュレナ
「ほい、送信っ」
かけ声と共に、返信ボタンをタップ。最後の一文は、わざとくだけた表現にした。
スマホをカタンと机に置き、シュレナは立ち上がる。
荷物をまとめ、帰り支度を始める。窓からは夕焼けの光が差し込んでいた。
このプレハブの部室は、昔は予備体育用具の置き場として使われていた。
やがて少子化で生徒が減り、空き教室が幾つも出来たため、用具置き場も校舎内へ移設。
ここのプレハブは使われなくなった。
昨年度、シュレナがそれを部室として使わせてもらうこととなったのだ。
普通の教室の半分ほどのスペース、しかも建物は老朽化しており、さびた金属製本棚や、上部のない飛び箱や、ゆがんだバケツや曲がったハードル等、古いガラクタも放置されている。
きれいとは言えぬ。
だが、シュレナはここへ、好き勝手に中古部品を持ち込んで、ロボットなどを造っているのだ。
恵まれた環境ではあろう。
(床にほこり溜まってきたなー。
来週、掃除すっか。で、ロボット持ってきて、改造だな)
室内を見回していたシュレナは、机のスマホがブルブルと震えたので振り返り、新着メールを開く。
やはりロタからであった。
シュレナ様
本当に済みませんでした。
今回の件で、また問題が起きたら連絡してください。
いずれ、何か埋め合わせが出来ればとは思っています。
イリカにも伝えます。それでは。
ロタ
腰の左右に両手を当て、スマホ画面を見下ろし、
(ロタさんが未来人だとしたら、どこでこのメール送ってるのかなあ。
年と、日時を指定して送信すれば届くとか?
それとも、今はこっちの時代に滞在中?)
色々と考えをめぐらせるシュレナ。
ロタからのメールを読み返し、
「埋め合わせ、ねえ」
シュレナはつぶやき、一言だけ、
埋め合わせについては、ゆっくり考えておきます!
シュレナ
と返信しておいた。
気まずさもあり、当面は会えまい。
しかし、これっきりというのも惜しいところ。次回へのつなぎや含みは残しておきたかった。
「帰っか」
シュレナはカバンを持ち上げた。




