29 プール開き、セパレート水着、ラップタオル
桜が散り、新たな教室にもなじんだ頃、四月が終わる。
五月の大型連休が明け、やがて梅雨入り、湿度も高まる。
そのうち、晴れ間がのぞく頻度が上がると、今年も夏が来るなあと思う。
六月中旬。
「あっ、シュレ、珍しく今日はスカートじゃん」
薄曇りの朝、シュレナがケミホ中学の校門を入ると、他クラスの女生徒・マキが声をかけてきた。髪型はポニーテール。時々立ち話する友人。
マキが着ている制服は、ほとんどの女子と同様、スカート。すそは、太ももが半分隠れるほどの短さ。
シュレナのスカートは、やや膝下。長めではある。
メインの制服を、シュレナがスカートからズボンへと変えたのは、昨年の秋。女子の制服が選択制になって、すぐのこと。
今年、このスカートを履くのは二、三度目となる。
どう返そうか浮かばず、シュレナが笑って「ん……」とあいまいに視線を合わせると、マキは、
「やっぱり暑いから?」
確かに、それもある。ズボンの制服は、気温が高いと腰に熱気がこもり、意外と暑く感じることに気付いた。
だが、それよりも、
「プール開きだからさ、今日」
「あっ、そうか。うちらは明日からだ。
着替えやすいよねー」
と、納得顔のマキ。続けて、
「もしかして、もう水着着てる?」
「まさか。一限じゃないし」
昇降口をくぐると下駄箱だ。
マキは、更に気付いたように、
「あと、トイレも面倒かー」
上半身とつながったワンピース型の水着を中に履いたら、という意味である。
シュレナは首を振りつつローファーを脱ぎ、
「それは大丈夫なんだけどね。セパレートなんだ」
「あっ、セパレートなんだ?」
上履きのつま先で床をコンコンと突きながら、目を丸くするマキ。
「ワンピース?」
と、シュレナが聞き返すと、
「そうなんだよね。脚が出るんだよ。私も変えよっかなー」
マキが答えた。
体育は三時限目。
体育の授業は隣のクラスと合同で、男女別に行われる。
本日、水泳は女子のみ。
二限が終わると、他の女子たちと更衣室へ。
シュレナはまず、筒型に縫われた大タオルを脚から履いて、腰まで引き上げる。タオルには腰ゴムが入っている。いわゆる「ラップタオル」と呼ばれる物である。
制服の上から包んだため、二重にスカートを履いた感じ。
次に、もぞもぞと両腕を動かし、制服の内側に着けたシャツなどを順番に取る。肌に制服のみをじかに着た状態。
続いて、紺の水着を着てゆく。上下セパレート型。
水着の上を脚から履く。
スカートの中をくぐらせ、ブラウスのすその下を通し、腹、胸まで引き上げ、肩を通す。
水着の下も、同様に脚から履く。
この方法ならば、制服を着たまま水着に着替えることが可能なのだ。ラップタオルは念のための「保険」である。
他の女子も、似たような着替え方をしていた。




